ayatoyuuki

劇作家。キュイ主宰。仕事のご依頼はcui99iuc@gmail.comにお願いいたします。北日本新聞社 ゼロニイにて「幕間の読書」連載中です。

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マガジン

  • 戯曲連載プロジェクト

    これまでに執筆した戯曲を掲載したり、これから上演する戯曲を掲載したりします。2018年1月から12月まで、毎月欠かさず更新していました。その後に執筆した戯曲についても、不定期に、追加しています。

  • 『予想で泣かなくてもいいよ』(戯曲)

    『予想で泣かなくてもいいよ』(戯曲)パート1、2、3、4、5、6を公開しています。

  • エッセイなど

    綾門優季の執筆した、どちらかと言えばエッセイ寄りの文章をまとめました。

  • 「呆然」

    2020年3月に、衝動的に結成した、「呆然」での活動をまとめたマガジンです。

  • レビュー、劇評、インタビューなど

    綾門優季が執筆したレビュー、劇評、インタビューなどを不定期に掲載していきます。

最近の記事

  • 固定された記事

『予想で泣かなくてもいいよ』パート6(戯曲)

○第三部 アルバイト 日曜日 明日から 新しい バイトに 行く らしい から がんばらない ように がんばろう と 思う がんばる と がんばり すぎる と その バイト を すぐに やめて しまう 癖が 前から ずっと あるから 絶対に がんばらない と 誓う 決めた 決めたから 適当に やり過ごす と 決めたから なんだったら 仕事中も なるべく ぼんやり していよう と 心から 思う 思うから 思っているから なんか 明日は 上司から なんか よくわからない 説明が

    • 『蹂躙を蹂躙』を蹂躙せずに大切に大切に育てること

      綾門優季+三橋亮太『おまおまいういう』が、5月7日(日)に終わりました。 ご来場のみなさま、ありがとうございました。 そもそも『おまおまいういう』って? という方は、上記の公演詳細をご確認ください。 ここでは、『蹂躙を蹂躙』ワーク・イン・プログレス公演(2023年2月 北海道・シアターZOOスタジオ)、『蹂躙を蹂躙』(2023年5月 東京都・アトリエ春風舎)、これからの『蹂躙を蹂躙』(2023年9月 兵庫県・そぞろ座)について、記述しながら、「演劇」の捉え方がさいきん変わ

      • 『蹂躙を蹂躙』オープンスタジオ/『蹂躙を蹂躙』ワーク・イン・プログレスのご案内

         全国小劇場ネットワークのシアターホームステイという事業で、東京都・こまばアゴラ劇場から推薦をいただき、現在、北海道・シアターZOOに19日間(長い!)滞在しています、綾門優季と申します。  普段は劇作家を主な活動として、戯曲を書くのはもちろん、劇評や書評をいろんな雑誌に書いたり、日本大学芸術学部演劇学科で演劇を教えにいったら、教員じゃなくて大学生にたまに間違われたりする日々を送っているのですが、今回は趣向を変えて、下記の企画を実施する運びとなりました。  シアターZOO

        • 戯曲『蹂躙を蹂躙』2023年版(冒頭)

          戯曲『蹂躙を蹂躙』2023年版 ○登場人物、あるいは登場概念 無数の学(学のなかに幾人かの学がいる、それぞれの学の関係は学自身にも把握出来てない、学の中に実際に何人の学がいるのかについては、演出家と観客の想像に委ねられる) 学ではないもの(しかし学と対話は出来る) 秩序(わたしたちは従わなければならない) ○あらすじ 赤ん坊の頃から何者かに監禁された学は、分裂した人格、内と外の区別のつかない世界観、過去と現在と未来の混同、幻聴と実際の音を平等に認識するなどといった

        • 固定された記事

        『予想で泣かなくてもいいよ』パート6(戯曲)

        • 『蹂躙を蹂躙』を蹂躙せずに大切に大切に育てること

        • 『蹂躙を蹂躙』オープンスタジオ/『蹂躙を蹂躙』ワーク・イン・プログレスのご案内

        • 戯曲『蹂躙を蹂躙』2023年版(冒頭)

        マガジン

        • 戯曲連載プロジェクト
          19本
        • 『予想で泣かなくてもいいよ』(戯曲)
          6本
        • エッセイなど
          16本
        • 「呆然」
          3本
        • レビュー、劇評、インタビューなど
          6本
        • 『きれいごと、なきごと、ねごと、』(戯曲)
          3本

        記事

          戯曲『あなたたちを凍結させるための呪詛』(冒頭)

          戯曲『あなたたちを凍結させるための呪詛』 ◎登場人物 わたし ◎本編    空間は三つある。    闇と職場と家。    三十歳前後の女性が一人いる。    印象には残らない。    街ですれ違ってもあなたたちは、    決して振り返ることはないだろう。    2022年2月。    かけがえのない日々。 0    開演前。    黙々と職場で仕事をしている女性。    どうやら事務職らしい。    開演。    PCを消して、仕度をして、家に帰る。    この

          戯曲『あなたたちを凍結させるための呪詛』(冒頭)

          青年団リンク キュイ『まだなにもはなしていないのに』公演中止のお知らせ&キュイ10周年記念大感謝祭のお知らせ

          青年団リンク キュイの綾門です。東京都からの外出自粛要請や昨今の新型コロナウィルスの感染拡大を踏まえまして「まだなにもはなしていないのに」12月公演を中止することといたしました。10月にワークインプログレスは上演したにも関わらず、肝心の本公演が中止となり、ワークインプログレスが本公演だったと思い込もうとしてみたのですが、どう考えても起承転結の起承、ぐらいしか観た記憶がなく、やはりあれはワークインプログレス以外のなにものでもなかったのだと思いました。 予約していただいたお客さ

          青年団リンク キュイ『まだなにもはなしていないのに』公演中止のお知らせ&キュイ10周年記念大感謝祭のお知らせ

          戯曲『まだなにもはなしていないのに』(冒頭)

          戯曲『まだなにもはなしていないのに』 ◎あらすじ ある日、次女が帰ると家中が何者かによって荒らされている。簡単に考えれば空き巣だが、現金など金目のものに手をつけられていないことが、なおのこと何が目的で行われたことなのか、不安を増大させる。残業で遅れて帰ってきた父、ずっと2階にいたにも関わらず部屋から出ることのなかった長男、ただの空き巣として済ませてこの件についてはなるべく話したくない次男など、これを契機として、ここまでに積み上げられた様々な、家族の鬱憤が爆発する。 ◎登

          戯曲『まだなにもはなしていないのに』(冒頭)

          第1回呆然戯曲賞応募要項

          ◎入賞特典 入賞した作品は、必ず未来に「呆然」による、リーディング公演を行います。会場、時期は未定です。その際、戯曲使用料を別途、公演の規模にあわせてお支払い致します。 ◎呆然戯曲賞について コロナ禍により、多くの上演台本が発表されないまま、闇に埋もれてゆきました。が、それはまだ消滅していません。 未発表のまま、葬り去られようとしている傑作が、どこかに眠っているかもしれません。 また、数々の災害を記録するフィクションがこれまでの歴史で生まれてきたように、未曾有の事態の渦

          第1回呆然戯曲賞応募要項

          noteで戯曲賞をはじめませんか? という提案

           この文章を書いている今、北九州は第二波の懸念が薄れてきた一方で、東京都は感染者数が47人と急増、第二波が来るのではないか、というニュースが立て続けに報道されています。僕は東京都に住んでいますので、そのニュースに一喜一憂してしまうところもあるのですが、それはそれとして。どうも綺麗に収束しないで、長いあいだ地味にこの問題について悩まされ続ける未来のことを思うと、せめて疲れに疲れた演劇人たちのために、オンライン上で楽しめるコンテンツが今後より充足していたほうが良いのは、確かなこと

          noteで戯曲賞をはじめませんか? という提案

          「呆然」について

          「呆然」という場を立ち上げます。報酬も未定、人数も未定、場所も未定、公演をする時期も未定、何もかもが未定です。ただ私は、新しい上演について皆で思考する場を、新たに立ち上げたいです。3月末までに、私のTwitterのDMに、呆然としたことを300字以内で送ってください。応募条件はそれだけです。 DMは誰でも送れるようになっています。立場は問いませんが、募集人員を5人以内とします。リモートワークにも限界があると判断し、意思疎通可能な人数で取り組みたいからです。今のところ、舞台芸

          「呆然」について

          『景観の邪魔』AプロとBプロの違い/ワークインプログレス/シンポジウムについて

          こんにちは、青年団リンク キュイ主宰の綾門です。 http://www.komaba-agora.com/play/8503 『景観の邪魔』ウェブページの紹介に最初は記載しようと思っていましたが、割と長くなりそうだったのでこちらに移しました。 今回の公演『景観の邪魔』はAプロとBプロがありまして、どちらの稽古も進めている最中なのですが、そう聞いて恐らく想像する「同じ台本をキャスト違いで上演」ということとは種類が異なりますので、この文章はその説明になります。 まず、はじ

          『景観の邪魔』AプロとBプロの違い/ワークインプログレス/シンポジウムについて

          『ザ・ワールド 2019』大橋可也直前インタビュー(後半)

          【人数と音楽と空間】 綾門 長い尺であることにも関連することかなと思うんですけど、前回拝見した新作、市川春子『宝石の国』を下敷きとした『The Lustrous』※ の出演者は2人だったわけなんですが、今回はかなりの大人数。といっても私が今日拝見した稽古は全員出てるところじゃなかったので詳細はわからないんですけど。やっぱり多くの人数が関わることによって、ダンスの中で生まれていく関係性って、戯曲の登場人物だと人間関係が複雑になる、みたいなことだったりするわけですけど、そういう

          『ザ・ワールド 2019』大橋可也直前インタビュー(後半)

          『ザ・ワールド 2019』大橋可也直前インタビュー(前半)

          (2019年7月15日、森下スタジオにて) 【記憶を呼び起こすために】 大橋可也 今日の稽古見学でみてもらったのは、4部構成で出来ている全体の中の、いちばん短い第2部、30分ぐらいのパートと、第1部、だいたい1時間半ぐらいのパートなんですが、本来はその後に映像を使用する50分ぐらいの第3部、それが終わったあとに、空間全体を使った、2時間20分ぐらいの第4部があります。14時に始まって19時30分に終わるので、あいだの20分の休憩も含めると、全体では5時間半あることになりま

          『ザ・ワールド 2019』大橋可也直前インタビュー(前半)

          戯曲『プライベート』(冒頭)

          『プライベート』 ◎密着 (劇作家は、演出家の稽古場に密着する。そこで行われる稽古は架空の作品であっても、実際に上演される作品の稽古であっても良い。劇作家の稽古場での発言権は、演出家及び俳優との話し合いによって決定される。架空の作品である場合は、どのようなシーンを稽古するかの提案も劇作家はしても良いが、その提案の採用不採用についても、演出家に委ねられる。劇作家はそこで行われることを記述する。記述の内容については劇作家に委ねられる。) ◎プライベートの濃淡 (この作品に

          戯曲『プライベート』(冒頭)

          アフタートークのアフタートーク(10連発猛省モード)

          ありがたいことに11月12月1月と本番が立て続けにあり、喜ばしいことではあるのだけれども目の前のことで脳味噌フル回転状態がずーっと続いていてあああああ「パーン!!!」ってならないよう、リフレッシュのために「特にいま言う必要のないこと」をバババッと書きつけることで気持ちを落ち着けたいと思います。せっかくだから誰かの役に立つ部分が少しでもある文章ならいいと考え、テーマをアフタートークにしました。今や避けて通れないアフタートーク(いやゴリゴリに依頼を断り続けられる猛者であれば避けら

          アフタートークのアフタートーク(10連発猛省モード)

          『予想で泣かなくてもいいよ』パート5(戯曲)

          水曜日 上司に殺意を抱く 化粧ぐらいしたら? と言われて してますと訂正を入れるのすら癪で 黙っていた 黙って席について 怒りをくすぶらせながら キーボードを強く叩いた 痩せたら? と言われたときも 死ね と一瞬で思った 上司はわたしに事実を伝えることで 心を改めると思っている 逆だ わたしは想像の檻の中に閉じこもる 意思をますます頑なにする わたしの想像では (以降、想像上の「わたし」が演じている俳優の姿に近いことを示し、観客が今観ているのは現実の姿ではなく、想像上の姿の

          『予想で泣かなくてもいいよ』パート5(戯曲)