心気症が軽くなるまで

心気症は、些細な身体の変化で「自分は病気なんじゃないか」と不安になる。

私は中学生の頃から心気症で、およそ10年間、心気症に悩まされていた。
今も悩まされてはいるけど、かなり軽くなったと思う。
なので、軽くなった理由について思い当たることを書いてみようと思う。

心気症が軽くなった理由として思い当たるのはいくつかある。
『日常から予防を心がける』
『治療法の把握』
『森田療法の実践』
『慣れ』
それらを順番に話していこう。

『日常から予防を心がける』
については文字通り。
疾患のリスクを低減させる行動を日常生活に習慣つけた。
運動習慣や食事、睡眠などで、いわゆる健康な生活を心がけた。
週に1〜2回は運動する。
食事も、暑いものを食べないとか、高脂肪食を避けるとか、野菜を摂るようにする、血糖値が上がらないようベジファーストを心がける。
睡眠時間は7時間くらいはとるようにしている。
この生活習慣を身につけるのにも数年単位でかかったし、今もうまくいかない時はあるが、身につけてよかったと思う。
なにより、生活習慣を健康的なものにするだけで、心気症はそれなりに良くなった気がする。
「日頃からこれだけ心がけているから、世の平均よりは疾患にかかるリスクは低いはず」という安心感を得られる。
それに、安定した生活習慣により安定した精神を作り上げることは、病気について不安になる頻度自体も減らす。

『治療法の把握』
心気症で怖く感じるのは命に関わる病であることが多いように思う。
しかし、現代にはさまざまな治療法があり、医療も日々進歩している。
自分が恐れる病気を調べたくなった場合、同時に治療法を調べるのは有効な手段だと思う。
病気について調べてしまいたくなった場合は、治療法に重きを置いて調べた方が、心気症は良くなりやすいように思う。

『森田療法の実践』
個人的にはこれが一番効果があったと感じた。
森田療法とは、ざっくり言うと「不安なことを無理に消そうとしない」「自分が病気を不安に思うのは、仕方のないことでもある」と受け入れる方法だ。
不安を消そうとすればするほど、不安は脳内から排除しないといけない存在になり、排除できないことに不快感を覚え、気持ちが落ち込み、不安が強くなる。
しかし、不安なことを「今自分は不安になっている。でも、不安になるのも仕方のないことだよね。病気って怖いし。」と思いながら生活すると、不安は些細なものとして脳内で認識される。

例えるなら、自分に嫌味を言ってくる嫌いな人を相手にすると、自分の中でその人の存在を強く認識するようになり、その人に対して感じる不快感は強くなる。
逆に、嫌味を言ってくる嫌いな人を無視したら、自分の脳はその人を価値の少ないものとみなして、その人に割く思考や感情を少なくする。
そう言った感じ。
それができるようになるまではそれなりの時間がかかるが、森田療法を実践できるようになる頃には心気症以外にも、生きるのがだいぶ上手くなるのではないか?と思う。

私が参考にした森田療法の本を一応ここに載せておく。

私は不安が出るたびに読んでいたし、今もお守りのような本として、いつでも取り出せる場所に置いてある。


『慣れ』
今までになかった異常が身体に出た場合、恐怖を感じるのは仕方のないことである。
そうして、恐怖を感じるたびに病院に行き、検査を何回も繰り返して、特に大きな疾患ではないと言われ続けると、人間は慣れてくる。
そのうち診察に行かなくても「怖くはあるけど、どうせ○○だろうな」というように、それまでよりも恐怖心を感じなくなる。

私は良性腫瘍(と分類されるはずのもの)を摘出したことが2度ある。
最初は悪性だったらと恐れたものだが、二回摘出して、どっちも良性。
なんなら今では、手術の痕の方が気がかりだったりもする。
ここ最近も気になるところがあったが、どうせ良性だろう。という気持ちになっている。
他にも気になるところについて診察に行っては「大した疾患ではないですね」と言われ続けているし、私も「まあなんとかなるだろう」くらいになってきた。

何度も不安に思い、行動をしてきてわかったことは、重い病気にかかるリスクは、想像するほど高くないかもしれないということだ。

心気症に悩まされている間は不安でどうしようもなくて、恐怖心が強すぎて行動することも困難かもしれない。
そういった場合は無理に行動した方がいいとは思わない。
そんな辛さに耐えながら生きていること自体、努力だと思う。
ただ「心気症をよくしたい」と思った場合、調子が良くて、病気不安があるものの行動ができそうな場合には、行動してみるといいかもしれない。

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