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ジョン・ウー節炸裂
ミッション・インポッシブル2を観た。
このシリーズは楽しみにしてすべて映画館で観ているのだが、なぜか、細部の記憶がない。2がどんな話だか、3がどんな話だか、思い出せない。
久々に見直した始まりのミッション・インポッシブルがいい作品だなと思ったので、観たくなったのだ。見て、監督の名前がジョン・ウーだと知った時に、この映画に持った印象をすべて思い出した。
そうだ、そうだった。
ジョン・ウー監督の撮ったミッション・インポッシブルだった。
ジョン・ウー監督のことは嫌いじゃない。
むしろ、好きなぐらいだ。
「男たちの挽歌」シリーズで、ストーリーは全く記憶にないが、クライマックスに起きる銃撃シーンがめちゃくちゃカッコいい。チョウ・ユンファのふくよかな美顔と、屈辱と、怒りの爆発に、銃撃戦で、カタルシスを運んでくる。今、現在だと、そんな映画は興味がないかもしれない、若い時はなんとなく好きだったのだ。そんな胸のすくような映画の終わりが。
監督の映画が好きで買ってしまったものもある。
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「フェイス・オフ」
勝手に、監督の最高傑作と、決めてる。
ジョン・トラボルタとニコラス・ケイジ。
トラボルタが刑事で、ケイジがテロリスト、まったく憎たらしい男なのだ。刑事は息子をテロリストのせいで失っている。
ところがテロリストの情報を掴むためにトラボルタは整形して・・・というよりケイジの顔を自分の顔に移植して潜入捜査をすることになる。
ただ、その時、事件が起こり、トラボルタが潜入している間に、ケイジがトラボルタの顔を移植して、彼として行動するのである。
フェイス・オフって、顔をはがすとか?顔をとるっていう意味?
「face off/face-off」はもとはホッケー用語で、向かい合った二人の選手のあいだにパックを落として試合を開始することですが、そこから1対1で対決する、にらみ合うという意味で使われるようになった。
この映画で観どころなのが、
トラボルタとケイジの役柄が途中で入れ替わるところ。
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さっきまで正義の味方だった苦悩の警官(トラボルタ)の人柄が大胆不敵なテロリストの性格になり、ずぶとくて憎たらしいテロリスト(ケイジ)の中身が、息子を失って憎む男の顔をつけている苦悩の警官になるのである。
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この2人の大スターの演じ分けが面白い、一粒で二度美味しいグリコのキャラメルのような映画なのである。
そうやって中身が変わってしまった2人は、
トラボルタが、図太い自信たっぷりのテロリストがぴったりで。
ケイジは、苦悩する警官がピッタリなのである。
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ジョン・ウー節がいい意味であちこちに炸裂していて、テロリストのケイジの登場の仕方、ジャケットが舞い上がって、腰の後ろにでかい銃を2本差してあるのが見えるとか、めっちゃカッコいいのである。
大好きな映画であった。(長い間観ていないけどw)
しかし、ミッション・インポッシブル2では、それがびみょ~に裏目に出ていた。岩登りしているプロローグ中にミッションが届くのはかっこいいけど、すぐ、女と恋に落ちるのはどうか?
スパイって、恋とかしないからスパイなんじゃないのかな?と思うのだ。
仕事に、友情は多少あってもいいが、恋が入ってくると甘ったるくなる。見たいのは、そういう恋ボケしたイーサン・ハントではないとつくづく思った。もっとシャープでぎりぎりで、カラダ張ったイーサンが観たい。
あと、トム・クルーズって、何をやってもトム・クルーズだから。
トム・クルーズをかっこよく見せようとする演出をすると、時折、それが嫌味に映ってしまうのではないか。トム・クルーズとキャメロン・ディアスの「ナイト&デイ」と言う映画はそのせいで、全く面白く感じなかった。
大げさに演出しなくても体力があり、運動神経も良くて、ハンサムで、どんなに撃たれても弾が当たらないイーサン・ハントだ。
ジョン・ウー監督には、ただ男たちのストイックな戦いのカタルシスに徹して欲しかった。ジョン・ウーに期待していただけに失望は大きかった。
恋人を助けるという大甘の一線が加わったことで、どこかお涙頂戴浪花節が、映画の魅力を半減したように感じた。また、本人そっくりのマスクで変装し、べりべりべりと顔から引き剝がす面白さがこのシリーズの醍醐味だが、一つの映画の中で、何回もやられると、またか!という気分になる。
何でもありの映画になってしまうから、2回ぐらいにとどめて欲しいと、うちのダンナからの意見である。
私には、ミッション・インポッシブル2はもう一息の映画だった。
かっこいいトムのかっこよさをかっこよく演出すると嫌味になる。
引き算が必要ですねw( ^ω^)・・・