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ブックデザイナーの仕様書展✧♡
林住期で、お出かけする気は0(ゼロ)だが、時々面白そうなことが町で催されてる。自分の町で行けるなら、最高です!
しかも、無料( ´艸`)(←そこ、重要)
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またとない機会じゃないですか!
行ってきました。
とても身近な本をデザインされている新進気鋭のデザイナー達!
めっちゃ面白かったです。
トークを聴く前に、まずは3人の作品を知らないと・・・と八戸ブックセンターのギャラリーの展示を見てから、会場である美術館へ。
今回は、トークは順不同で、写真のそばにわかりやすく置きます。
例によって聞き書きの乱雑なメモ故、聴き間違いはご容赦を!
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仕様書というのは、ブックデザイナーが作家の書いた作品の中身を、本という物質の形にするためにデザインする設計図のこと。
1ページの文字数、フォントの大きさ、紙の種類等を書いたカルテのようなもの。
①重実 生哉さん(1979年生まれ)
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重実さんは筑波大学で、絵本と漫画を描いている教授との出会いがあったそうだ。
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下の2冊の本のカバーを外して広げて裏返すと、上に展示してあるポスターが出現する
重実さんの指示が赤ペンで細かく書かれてある
この仕事のおかげで、暮らしの手帖社で、暮らしの手帖ポスターの原画をたくさん見るという貴重な機会を得た。
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この題字の字体をどうしようか悩んでいたが、著作権継承者の方が、志功の彫った作品のなかから、すべて本に使う文字を探してくださった。
この志功のフォント、いいね!使いたいの声、アリ。
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そこそこ売れたらシリーズに!ということで始まったが、今のところ27冊が刊行中。
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岡潔の名前の文字に、その作家に関係したものをデザインするのは気に入っていたが、その後、27人もデザインが続くと考えたら、これが採用にならずに良かったと笑っていた。
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私も読んだ方がいいような気がする( ゚Д゚)
名前しか知らない人たちも多い!
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デザインは、版画だったり、イラストだったり、いろいろな方法で作られている。素朴なテキスタイル風に、作家の作品の中身がデザインされているのが、親しみが湧く。
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手法は様々で、基本的にモノクロで作ったものをデジタルで着彩している。自分でもいつか絵本を作りたいと重実さん。ブックデザインは、是非、別な人にしてもらいたいなあと笑った。
今日は、自分の仕事について話す機会を頂き、嬉しかったです。
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②名久井直子さん(1976年盛岡生まれ)
終始、会話の中心になってトークをリードしてくれた陽気な女性。
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トークの始まりにあたり、「3人とも、アナログなところがあるよね」と名久井さん。「重実さんはイラスト、水戸部さんはデザインと、表現に向かっているタイプの作家だけど、自分にはそういうクリエイティビティはなく、広告で売れるものが作りたい。」
広告代理店出身のブックデザイナーだ。
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この本の表紙をどのようにして作ったか。
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イメージに合う家の模型を探し、イギリス製の模型を、ネットで注文したら、組み立てキットが届く。アルバイトで来ていた芸大生(建築科)に作ってもらい、上から黄色い絵具をだらだら垂らしながら撮影。別な仕事でも、池に水を溜めて撮影したり、動いて出かけてデザインするのだという。
M(水戸部)「本を建物に見立てる感じが面白い。発想が広告的だよね。
現場監督みたい。広告代理店出身だから、アートディレクターの素養が
高いと思うんだ」
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てんとう虫コミックス『ドラえもん』豪華愛蔵版全45巻セット(小学館)!全巻ハードカバー。表面は布クロス装に箔押し!製本は「かがり綴じ」。
ページが喉元まで開き、見開きページもしっかり楽しめる!
本文用紙は経年劣化が少ない「オペラクリアマックス」を使用しています。
装幀はブックデザイナー名久井直子氏
名久井氏は、昨年刊行された辻村深月氏の『小説「映画ドラえもん のび太の月面探査記」』の装幀も担当。遊び心満載、ドラえもん愛いっぱいのデザインをお楽しみに。
こんなメジャーな本のデザインって、凄い。
傘籤さん垂涎の本ではないか( ´艸`)
名久井さんが、本の紙にこだわっている話をしていたので、ついつい、紙のことが気になって情報を入れた。
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画像が欲しくて、どこでもドア型本棚と検索したら、
アクセス数(先月):1億回以上( ゚Д゚)という数字が出てきた!
さすがのどこでもドア人気である!
本物のどこでもドアなら私も欲しいもの!
本棚の入らない値段で全巻、7万円+税!限定10,000セット!
#なんのはなしですか
ドラえもんが、面白過ぎて、話がずれていく( ´艸`)
ブックデザインの話に戻ります!
中でも一番目を引いた次の本のデザイン。
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小川洋子さんの小説は私も好き💛この陶板と本をそれぞれ見てみよう!
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N:名久井 M:水戸部
N「陶器感が出て、自分でもびっくり!箱から出して落としそうになった」
M「僕から見ても、すごく悔しい仕事でした」
N「私は人に頼みたい。私はパソコンの前にいる時間が少ない。
私のデザインの仕方はもっと大づかみな感じ。」
M「名久井さんのデザインには力みのない良さ、行動して軽妙ないいところ
があるよね。自分が創りだすってことにこだわっていないのがいい」
今日来てくださった方も本が好きな方だと思うのですが、買った本を愛して下さるとうれしいな💖
③水戸部 功さん(1979年生まれ)
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M「ロゴで世界観を出す。カバーや帯の巻き方で構成する。多層的な錯覚を
与えたい。フォーカスをずらした写真を帯にした」
N「心憎いデザインだなあ!かっこいい!」
M「僕は初めのデザインのゲラも捨てられなくて、全部とっておいてある。
途中のやつも、いつか必要になるんじゃないかと思って」
S(重実)&N「あり得ない!どんどん捨ててるよ!凄い量になるでしょ」
M「自分でコンテンツ作れた方が、好きなデザインできるでしょ。僕は自分
で全部やりたいんだよね」
S「僕は人にお願いするのが下手だから自分でやってるところがある」
N「私は人に頼みたいタイプ」
M「今回全集のデザインで見返しの所の模様を作っていた。
テキスタイル好きなんですよ」
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N「荒木飛呂彦さんと名前が並ぶんでしょ?凄いじゃない!
定期的に〆切がくる仕事もあるの?」
M「ハヤカワポケットミステリのデザインもやってる。ミステリを読んで
絵を描く。モチーフ何がいいのか。ライフワークと思っているけど、
いつまでできるかな。時代が変われば求められるものも変わると思う
んだ。ポケミスも編集者が若返ってる。自分にとって、絵を描くことが
喜びでないときつくなってきた。僕は基本タイポグラフィが好きだから」
N「私も長い仕事と言えば「ちくま」のデザインを8年やってる」
M「僕は菊池信義師匠の仕事を受けついているんだよね。
100分de名著とか、角川の短歌とか、そういう定期的な仕事はある」
N「重実さんとか〆切とかちゃんと守っているんでしょ?」
S「高知に移住してから、色とか構成のやりとりとか簡単にできないから、
締め切りは守ってます。あと、ぼくは諦めが早いですねw」
M「僕は、締め切りは忘れちゃうタイプw。ずっと手が遅いんだよ。直前
まで作っちゃうタイプ」
N「この仕事をしていると好きな作家に詳しくなる。勉強させて頂いている
って感じがあるね。本をデザインしているといろんなことを知れる。
でも、忘れちゃうのも早いなw。仕事だからかな?あと、アマゾンにまだ
自分が入稿していない本が、すでにあるのは恐怖w」
ブックデザイナーの名前も見て、本を買ってもらえたら嬉しいです。
3人のトークが続きます。
司会「アイデアに行き詰まる時もあると思うのですが、そういう時はどうしているんですか?」
N「私は作品を読み直す」
M「哲学書を読む。テキストの内容に戻る。あとは現代美術や建築がヒント
になる。高松次郎のドローイングからヒントをもらうとか、僕は、表現の
方からヒントを探すかな」
S「テキストに戻る。ネタ探しをしますね。職業読み、をします」
司会「商品価格とか店頭価格とか、デザインをするときの壁になったりしますか?」
M「部数とか定価がヒントになることがある。制約の中で何ができるか?
それは足かせではないよね」
N「今、紙代の高騰がすごい。紙から作る場合は、紙の量をギリギリで作っ
てしまうと増刷がすぐできない。本の値段をつけるのは難しくなってる。
CDが3000円ぐらいで、本が1200円ぐらいなのは、今までが安すぎたんじ
ゃないかしら?足かせといえば、東野圭吾さんとか、超売れてる作家の本
のデザインには足かせがある!!すぐ増刷しなきゃいけないからwww
すぐ手に入る紙で印刷しないと」
司会「最近は本もデジタルコンテンツになりつつありますが、それもデザインに何か関係ありますか?」
N「オーディブルのアイコンをつくることがある。今は紙ベースのデザイナ
ーであるけれど、新しいデザインが出てくるのかもしれない。今はカタチ
になっていない、思っていない仕事があるような気がする。自分が知らな
いカタチが出てきたらオモシロイ」
紙から作った谷川俊太郎の詩集の話
最後に、名久井さんが本の紙を作ることからデザインしている話を紹介します。
N「紙を作る機械を知ってる?抄造機っていうの。新聞とか大量に刷る必要
がある紙ってあるでしょ。その機械だけで、この部屋(50人の椅子が並べ
てある、教室一つより大きい)の半分の幅で、長さが2キロぐらいある。
紙が作れるイチオシの機械なんだよ。最低ロット5000冊分は作らないと。
紙のことなら経験と知識で相談に乗れるよw。八戸市には三菱製紙がある
し、岩手県には石巻製紙、あと日本には王子製紙とかね。
和紙もいろいろあって、土佐和紙とかは不織紙とか薄いものが得意。
マスクの需要が多い時は大変だったそう。信玄餅のパッケージとかの薄い
紙。内雲とか越前紙も、最近、光る君へでも出て来てる」
名久井さんは、紙にそうとう詳しいようだ。
抄造機と言う言葉を初めて聞いたのでネットで検索してみると「抄紙機」という紙を作る機械が出てきた。たぶん同じものだと考えることにする。
![](https://assets.st-note.com/img/1732136238-vuWSCqhJyrxAPmidfU0kla5z.png?width=1200)
この図は紙ラボさんのページからお借りしました。
M「紙から作るって増刷コストがかかりすぎるんじゃない!?」
(ここで名久井さん、一冊の本を紹介する)
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N「箔、金、青、黒、クロス装で、2000円の定価。この本を作ってから10年
経っているのだけど、毎回5000部作って、ちゃんと掃けるって凄い。
もう、6刷だから、3万部は売れている本。新刊はちやほやされるけれど、
よくて一か月。ナナロク社さんの売り方に合った本ですね」
先日、ナナロク社の木下龍也の歌集を読んだ。もしや、歌集や詩集を中心に出している出版社なのだろうか?記者なのに調べないで書くw
しかし、出版してから10年も経っているのに、静かに売れ続けている美しい詩集。さすが、谷川俊太郎氏である。この詩集の中身の紙を作るところからのデザインだったと名久井さんはいう。
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谷川俊太郎さんの詩集「あたしとあなた」。
印刷された紙から作られたこの詩集を見ていこう。
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![](https://assets.st-note.com/img/1732154902-WckC0B2replVYX1vOGdxbQ8S.jpg?width=1200)
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この美しい詩集を手に入れたくなる。
河合隼雄さんを見送って、捧げられた谷川俊太郎さんの詩をお借りして、自分の記事のヘッダーにしてきた。
このブックデザイナーのトークについての記事を書くにあたって、たまたま話を聴いたブックデザイナーの担当した本に、偶然、お二人の名前があることを、不思議に思う。
三人三様のとても面白いデザインで、印象深い出来事と本でした。
![](https://assets.st-note.com/img/1732156597-IYplrmaZtdL4yOk6AJ0FRwMU.jpg?width=1200)
恐るべきシンクロニシティが起こってる。
河合隼雄先生のいたずらだとしか思えない( ^ω^)・・・
河合隼雄『で』語り合おう✧♡
谷川俊太郎さんのご冥福をお祈りいたします🌒