外と内の乖離
他に合格していた私立大学なら、隣の県まで自宅から通わなければならなかった。
公立の短大なら学費が20万円。
これならある程度学費が浮くし、弟たちの分も大丈夫なはず。
一人暮らしも出来て、家族とぶつかることもない。
学科も興味範囲だ。
・・・そんな風に安易に考えていた私だったが、
「車で30分の距離で一人暮らしなんかしたら、家庭に問題があると思われる」
そういった理由から却下されてしまった。
落胆した私だったが、新たに希望を持ち直した。
これからは思う存分好きな格好が出来るし、それで怒られることもない。
アルバイトだって出来る。
早速髪の毛を茶色に染めた。長さがもっと欲しかったのでエクステをつけた。
コンプレックスに思っていた肩幅が隠れ、ちょっと安心した。
他にも紫のカラコンをつけたり、赤のエクステを混ぜてみたり。
雑誌は毎月3〜4冊ほど買っていた。
服もスカルや激しいデザインのロックテイスト、アースカラー中心の民族系、
ボディラインくっきりのワンピース、モノトーン多めのモード系、
当時流行っていたギャル寄りのガーリー+カジュアル系など、
気分によってあらゆる系統に手を出した。
こんな格好をし始めたので、街では目立っていたのだろうか、
毎日何人ものナンパやキャッチにあうようになった。
ちょっと怖そうな知らない人にもよく絡まれた。
ちなみに、ナンパやキャッチではトラウマになるような怖い目に何度もあったし、
ど根〇ガエルのTシャツを着た人やおじいちゃんまで、何でも寄ってきた。
今思えば自信がなさそうだった分、隙が沢山あったのかもしれない。
外見が派手とはいえ、中身は自信のないままだった。
心理学では「自信がないほど着飾る」と言われているが、その通りだと思う。
むしろ外見への執着心が強くなっていき、益々自信がなくなってしまった。
髪型やメイクに納得がいかなかったり、
服の組み合わせに失敗したと思ったりする日には、
人に見られるのが怖くて俯いて歩いていた。
聞こえてくる笑い声は、自分が嘲笑われているような気がした。
その結果、髪形・格好・メイクの仕上がりに納得がいかないと、
恐怖心でとても外に出られなくなってしまった。
学校の講義も休みがちになった。
この時いろんなタイプの友達がいたのだが、
みんなには本当に救われていたと思う。
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