当時の日記より166@2010 11/17
毎朝お茶の時に並べる3種類のお茶請けにラップをかけ始めると『お茶は飽きた。ご飯出せ』の合図。冷蔵庫に私がそれらをしまう時、必ず文句を言う。あの恐怖の繰り返しがまた行われる。
「ほら一つしまい忘れてるわよだらしないわね」
片手にタッパー2つ抱え、片手で冷蔵庫のドアを開けたら両手が塞がってしいることくらい分かるだろうよ。毎回だらしないと私を責める。言われると分かっている私が諦めれば済む話だろうが、腹が立つのだ。
「これ以上持てないの見て分かるでしょ」
冷静に答えても結局逆ギレされる。
「あーあ。言わなきゃ良かった。黙っていようと思うのについ親切心で教えてしまう。それで怒られるなんてひどいわよね。あーあ」
腹立つ腹立つ。
昨夜ネットスーパーが届いた時、唐突に
「ねぇアジの開き買った?」
と聞かれ
「へ?買ってないよ、頼まれてないし」
「なんで?!食べたかったのに!」
「いや言われてないから...」
そこでアジの開きスイッチ点灯。
朝食をとっている時
「アジの開きがおかずかと思ったわー」「アジの開き食べたいわー」「アジの開きはいつ買ってくれるのかしら」「今夜はアジの開きかしら」
止めてーっ!!気が狂うから。
「もういいっ分かった!もう言わないで。ご飯食べ終わったら魚屋行ってくるからっもう黙ってくれない!」
「本当に卯月とは普通の会話が成り立たない。何話してもすぐ頭にきて親にそんな口の利き方をする。あーあ。なんでこんな育ち方をしたのかしらね」
黙れ、マジで。
訪問医がやって来た。退院中にインフルエンザの予防接種を受けたいと姫(母)が熱望していたのだが、胸水をひかれた痛みが続いている。予防接種後にだるさや咳の症状が現れる人もいるが、今の状態ではどちらの痛みか判別がつかないので止めておきましょうという結論に。
手持無沙汰になった医師は私にくるりと向き直って「打っとく?」
要らんわ 笑。
ノリのいい先生で話しやすい。このあと姫そっちのけで探偵ナイトスクープネタで盛り上がってしまった。その和やかな雰囲気にひきずられて姫がカミングアウト『実は退院当日朝から具合が悪かった。でもそれを言ったら退院を引き延ばされると思って黙っていると採血だレントゲンだとあちこち連れまわされ、挙句胸水までひかれて散々だった』と言い出す。
「そういうのが一番いけないですっ」
きりりと医師の顔に戻ってピシャリ。
なんでも毎朝廊下を歩いているけれどその日は少し息苦しかったと。
「それが胸水の溜まっている証拠なんですよ。ひかれて良かった。主治医のいい判断だったと思いますよ」
「っていうか、あれこれ喋るクセに肝心なことだけ黙ってるんだ..」
と呟いた私に思わず先生がつられて頷いてた。
「卯月、明日はアジの開きが食べたいわ」
頼む、黙れ。