当時の日記より104@2010 5/2
院内の売店が新装オープンし、パン屋さんが入った。焼きたてのパンが購入出来るとなればもうパンの購入に頭を悩ませることから解放される。
と思ったが、姫(母)曰く甘いもの系に偏りすぎていて好みではない、と。そしてこれからは毎回買ってくるパン屋さんを替えて私が飽きないようにしてねとのこと。
骨が折れる作業。いくら乗り換え駅が新宿でデパ地下寄り放題だとしたって、他にも荷物は沢山持っているのだから。小田急を散々うろうろしてやっとパンを購入。
ゴールデンウィーク中なので外泊患者も多く、現在4人部屋を個室状態で使用。それならば、昨日天丼が食べたいと騒いでいたので買っていくことにした。
個室と天丼の関係性。それは姫の食べ方にある。私が幼少期から姫との外食が辛かったのはその食べ方。嫌なら残せばいいという考え方な上、偏食なものだから恥ずかしいのだ。
天丼が食べたいと言っても実際口にするのはししとうとエビくらい。そもそも姫は白米が好きじゃない。だったらししとうとエビだけ買えばいいだろうと考えるのは早計だ。そんなみみっちい見た目を姫は許さない。
人の目が無ければ自宅でしているのと同じような食べ方が出来るから、私も恥をかかなくて済む。姫は自分が贅沢病だと見られていることに気づいていない。
ただ面倒なのは他人との会話が少ないと記憶障害が如実。
一昨日病院に来た時、同室の仲良しの方から柏餅を頂いた。その方が病室を出た瞬間
「卯月、あの方が戻ってくるまでに食べちゃってよ。私食べたくないの」
それなら遠慮なくと食べてこの件は終わったと思っていた。
「卯月が帰ってから、もしかして卯月さんが食べたんじゃない?って尋ねられたから『そうなのよぉー』(残念そうな顔)って答えたら、また一つ頂いちゃったわ」
聞き流せ、聞き流せと思ったが聞き流せなかった。
「ねぇ、食べたくないって私に食べさせたよね。姫のしてることは滅茶苦茶だよ、どうして自分で食べましたって答えなかったの?娘に横取りされた話になってるよ。そんな残念そうに答えたらそう思うよ、誰だって」
すると姫が大激怒。
「卯月って変わった性格よね。どうして物事をそんな風に考えるの?あぁ言うんじゃなかった。失敗したわ、卯月には何も話さないようにと思ってるのに結局私がイヤな思いをする。これからは一切話さないように気をつけなくちゃ!」
このままでは大喧嘩になるので一旦売店に逃げた。少し落ち着いてから部屋に戻る。
「そういえばるりこさんも入院中だよね。顔出してこようかな。それとも外泊してるかな」
「廊下で会ったわよ。朝だったからおはようございますって、あらもうお昼近かったからこんにちはって言ったのかしら」
どっちでもいい。
「じゃ居るんだ」
「卯月ってどうして私の話をちゃんと聞かないの?昨日から外泊してるって言ったじゃないのっ」
「言っ...てない」
「何聞いてるのよっ人の話はきちんと聞きなさいよっ!」
大激怒。
もう帰ろう。