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当時の日記より159@2010 11/1

入院だ、やっと入院だ。本当にケアマネがお見送りに来て下さって姫(母)もご機嫌。

病院到着。最初の難関は入院受付。いつもなら一緒に連れて行くが、姫は私が個室の手配をしたとは知らない。「受付混みあってるね、ちょっと待ってて」と夫とロビーで待たせ私だけ行く。案の定「個室ご希望でしたね」と尋ねられたので姫に聞かせることなく難関クリア。

ロビーに戻ると「勿論8Fでしょうね!」と詰め寄るので「今回は15Fだったんだよ」とがっかり顔の小芝居。「どういうことよっ」と怒り出したそのタイミングで偶然、以前の医療チームだった看護士くんが通りかかったのだ。

「あっ!ひめー!!」

と手を振りながらやってきて「僕ね15Fで姫の担当だよ。っていうか、15Fのナースは全員姫の知ってる人だよ」

と話しかけたものだから一転、にこにこ顔に。あぁもう、彼が天使に見える。

本人は大部屋に入れるつもりでいたが、電気ポットを持参すると言ってひかなかった。置き場所がないから無理だけど、姫の入院中は私が自宅で使いたいから持って帰ると車に積み込んでおく。そして今度は夫が

「あ、お義母さん。個室なら電気ポット使えるじゃないですかっ車から取ってきますね」

総出で小芝居に次ぐ小芝居 笑。

見知った顔ばかりでとにかく姫は機嫌が良い。ようやく辛い2週間から解放された。ウキウキで帰ったのでつい金時豆とチーズを置いていくのを忘れた。

夜になって姫から電話があり、文句を言われる前にと先に謝って明日持って行くと伝える。すると

「お昼も夜も何も食べられる物がなくて困ったわ。ほとんどお菓子で過ごしたのよ。お茶だって荷物に入ってないんだからお湯沸かしたって意味ないじゃないの。果物だって柿しか入ってなかったわよ!」

お茶の準備をするのはいつも姫だ。自分でお茶っぱを用意し忘れたのに私のせい。

「何言ってんの?柿だけ持って行きたい他の果物は入れるなって言ったじゃない」

「お昼は柿を半分食べて、夜はその残りの半分のリンゴで我慢したんだからっ」

「柿ね」

「パンもなかったわよっ」

「要らないって言ったから」

「明日は色んなもの揃えて持って来なさいよっ」

「色んな物とは、具体的に何?」

「パン」

「食べられるんだ、はいはい。あとは」

「りんごとかいろんな果物よっ」

「お菓子と果物以外で、ご飯のおかずになるような物を言って」

「中村屋のお菓子」

「うん。今私の話聞いてたかな、ごはんのおかず」

「ちょっと!金時豆とチーズはどうしたのよっ」

「だから忘れて持って帰ってきてごめんねって言ったじゃない」

「そんなこと分かってるわよ!確認の意味で卯月が本当に忘れたかどうか確認してるだけじゃないのっ」

意味分からん。興奮するとどんどん話はおかしくなる。

「〇ちゃんが今日の担当なの。卯月が帰ってから私の部屋に来て治療も検査もないので明日から外泊しませんか?って」

「は?今日入院したんだよ。大体〇ちゃんは一年生ナースだよ。そんなこと勝手に決める訳ない」

「卯月一体何を言い出すの?〇ちゃんは一年生ナースよ。そんな新人が買ってに外泊決めるわけないじゃないのっ」

いやもう頭おかしくなるから電話切っていい?

頭は本当に怖い。父は脳梗塞の後遺症で性格変化を起こし、晩年は何処が怒りのポイントかってくらいに何を言ってもキレまくってたけど、姫のようなヒステリータイプとは違った。父の時も本当に大変な介護だったが、まさかまた同じ状況を辿る未来が私を待ち受けていたとは。脳転移しても穏やかになる人がいる一方、なんで私は一度ならず二度までもこんな目に遭うのか。私はどうしてこんな運命を背負わされたのか。


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