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当時の日記より142@2010 9/13

病室に戻ってしばらくすると担当医とナースがやってきた。少し世間話で気を緩ませてから

「卯月さん大変だと思うし介護サ...」

話し出したナースを遮って姫(母)が話始める。

「この間は下がった白血球を無理矢理上げて退院したでしょ。そのせいで気持ち悪くてご飯が食べられなかっただけなの。今度の退院の時はもう何でも食べられるようになってるから、卯月も別に大変じゃないし平気よ」

「でも姫、あぶらっこい物好きじゃない。私揚げ物怖くてそうしょっちゅうは作れないし」

この私の言葉で激怒スイッチが全開。

「次に退院した時あぶらっこいものが食べたくなるかどうかなんて分からないじゃないのっ!!それにね、食事は自分で作ったほうがいいのよ。私動けない訳じゃないでしょう?みんなに動かないとボケるって言われているから今度から自分が食べたいと思う物を自分で作るわ」

とナースに向き直って話す。

「せっかく介護保険料を払っているんだから使わないのは勿体ないよ。使いましょうよ。お願いしたらずーっとってわけじゃなくて『今日は来てくれなくてもいいです』って言うのは幾らでも可能なのよ。今からそういう人たちと面識を作っておくとラクだし」

相手の話す言葉から単語一つだけをクローズアップしてしまうアスペルガー。「今日は来なくていい」だけをがっちりキャッチした。

「そうなのね!来なくていいわって言っていいのね」

「いやいやいや、毎回言ってはダメよ。たまにはって話だから。常に断ってたら行かなくていいですかって言われちゃうじゃないの」

「だって今断っていいって言ったじゃないの」

「いやだからそういうことじゃなくてね」

ね、姫と会話するの大変でしょ?

「年金から天引きされてるのよ、使わなきゃ勿体ないじゃない。使いましょうよー」

「はぁ...。だったらお願いします」

姫のいない場所で3人ミーティング。

「いいよ、お願いしますって言ったからもうこれ以上確認しなくて。あんまり理解出来てないし納得もしてないようだけど、それで卯月さんにまたあたるようだったら私たちが仲裁するから進めて」

その夜、姫から電話。

「ちょっと!スーパーで買ってきた焼き芋、大きくて生焼けだったわよ!」

「私が焼いたんじゃないし」

「そうそう昨日卯月が出かけたお店ね、名前忘れたけど。ずーっと考えてたんだけど、お菓子も売ってるのかなって。でもっとよく考えたら洋服屋さんだったことを思い出したの」

まだユニクロに執着してるのか。おそらく思い出した自分はボケていないと言いたいのだろう。

「電話がかかってきた時から洋服屋さんだって言ったよ私。姫のパジャマを探してるって」

「秋になったからみんなパジャマの上に何か羽織ってるわよ」

なに?どうしていきなり話が変わったの?それをユニクロで買ってこいと言いたいのか。

「先生がね...」

ダメだもう次の話題だ。

「先生が続けて抗がん剤したいけど今週は無理かなぁって」

「いやいや違うよ。続けてやったとしても次は24日なの」

「そうなのよ」

「そうなのよじゃないって。抗がん剤は毎週打つものじゃないの。だから先生が言ってるのは早くても24日なの。その24日も姫の体力考えるとどうかなって言ったの」

「そうなのよ。だから24日みたいよ」

認知症怖い。私の頭がおかしくなる。


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