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当時の日記より143@2010 9/15

抗がん剤がビノレルビンに変わって起きたこと。右腕に投与したところ点滴漏れとなり、腕がはれ上がった。ところが今日病院に行くと左腕にも包帯が巻かれている。点滴漏れ同様の痛みと腫れが起こったのだというフランケンシュタイン状態。点滴して日にちが経過してるのに今さら?

前の医療チームにいた看護士くんに会ったのでその経過を告げると

「血管の弱い人はその時ちゃんと入っても数日経って腫れることよくあるよ。特に姫(母)は治療期間が長いから血管はぼろぼろだと思う。だから右腕も点滴漏れじゃないかもね」

こういうことを即座に答えてくれるのもやはりずっと看てくれたからこそ。日替わりの担当制ではどんなに申し送りがなされていても、一から順に話さなくては伝わらない。もどかしい。前の医療チーム体制とスタッフに戻して欲しい。

医療チームは解散して色々な科に配属されましたが、そのうちの多くが個室フロアに配属されています。個室を希望すればスタッフのほとんどが顔見知り。でも金額的なこともあり即断出来なかったことと、姫が個室を嫌がっていました。

病室に行くと今日から入院してきた患者さんが旧病棟でよく同室になっていた方だったので姫も元気に喋っている。

「〇〇さんね、娘さんたちが旅行に連れて行ってくれたんですって。いいわねぇ。羨ましいわねぇ。連れて行っても貰えない私の人生なんて寂しいものよね」

ガンが分かってから一体何度旅行に連れて行ったと思っているのだろう。旅先で倒れたらどうしようとものすごい緊張感で同行していた。自分が行きたいと大騒ぎして何から何まで手配させた上「自分たちの分は自分で出しなさいよ」でどれほど出費してきたことか。

そして次に姫の口から出る言葉はもう分かっているが、やはり予想通りの展開。

「〇〇さんのお嬢さんはしまむらでお洋服を買ってくれるんですって。いいわねぇー私も着てみたいわ、しまむら。うちの娘なんか買ってもくれないもの」

9/16

雨で肌寒い。一日だらだらしたいが実家近くまで出かけなくてはならない。ケアマネとの面談があるのだ。今年の1月夜間の往診対応が可能な病院を知りたいとメールをした。その時にメールが不慣れだと電話を下さり、対応がとても親切だったので勤務されている介護施設にてこれからの相談をする運びとなった。

半年以上も前に電話で交わした内容のほぼ全てをこの方は記憶していてくれた。そして

「お父様もお一人で看てらしたんですよね。もう介護生活16年ですか。大変でしたね。お嬢さんに今大切なことはストレスの軽減です。そしてお母さまに関わる情報を共有出来る人を沢山持つことです。命に関わる決断を全て一人でされてきたのは想像がつかないほどの重責を負ってきたということ。私たちはお母さまの為にというより、お嬢さんを助けるために存在しているんですよ」

との言葉に安堵した。姫を看始めて初めて得られた安心感だった。

「本来同居の家族がいるなら身体介護以外のサポートは不可能です。でもお嬢さんはあまりにも疲れ果てている。私がちゃんと手続きを踏んで可能にしますから安心してください」

とも。更に

「1月にご連絡いただいた時は往診可能な病院をお探しでしたよね。介護保険とは別の実費になりますが、いい先生がいます。夜中の往診が難しくても医師の指示を受けた看護士が対応に来てくれることも出来ます」

と紹介をしてもらえた。

こんなに気持ちが軽くなれるのなら、もっと早く相談すれば良かった。私はどうして一人で戦ってきたんだろう。

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