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当時の日記より139@2010 9/7
プルーンを買ってパンを買って、惣菜を買って病院にたどり着く。すると開口一番
「このパンはもう買ってこないでね。こんなの食べきれないっ」
腹が立った私も応戦。
「甘いパンはイヤです。惣菜パンは嫌いです。固いパンは嫌い、大きいパンもイヤ。私はもう何を買ってきたらいいのか分かんない。どれも食べきらないで捨ててるんでしょう?黙って受け取ったらどうなのよ」
「何言ってんのよ、私は惣菜パンは昔から食べてたじゃないの」
「あぁそうですか。じゃこれからは惣菜パンだけ選んで買ってくるので絶対に食べてくださいねっ」
これ以上公開喧嘩を続けるのもみっともないので、一旦病室を出た。そこで今日の担当ナースにばったり。(今までのようなチーム体制を取らなくなったので、フロアナースが日替わりで担当制に。私も知らない顔ぶればかりで困惑している)昨日心配して話しかけてくれた唯一の顔見知りナースから報告があったと話しかけられた。
「ヘルパーを入れる件、お母さまはあっさり了承したそうです。気が変わらないうちに早く手続きしたほうがいいですよ」
「えーホントですか?あの母親が他人を入れることをすんなり認めたとはどうしても思えない」
「大丈夫よ、それでいいわよって答えたんですって。これで卯月さんもやっと楽になれますね」
少し気持ちが落ち着いたので病室に戻り、確認した。
「ヘルパーをいれていいって言ったんだってね。早速明日にでも手配するから」
「何が?」
「ヘルパーを雇うの」
「何のために?」
「いや私も介護保険使うの初めてだしよく分からないけど、ご飯作ってくれたり話し相手になってくれたりするんじゃないの?」
「は?卯月は私の食事の世話をするのがイヤなの?」
「イヤとか以前に何作ったって食べないじゃない。食べたい物をリクエストしてそれを作ってもらったほうが楽でしょ」
ここで姫(母)は大激怒。
「冗談じゃない。誰がヘルパーなんか雇っていいって言ったのよ」
「姫が」
「言ってないわよっ」
「姫がオッケーしたから話が動いてる」
「ヘルパーの話は聞かされたわよ。聞いた話に相槌は打ったけど私がお願いするとは言ってませんからっ」
ナースステーションに行き事の顛末を報告。ナースは目を丸くして
「えぇぇーっだって確認したんですよ。その大丈夫ってお返事は「私には必要ありません」って意味じゃなくて「話を進めて欲しい」の大丈夫ですよねって。そしたらはいって答えたのに」
「あの、うちの母親は読解力にかなり問題があって。分からないことを適当な返事で切り抜けるところがあるんです。おそらく全く理解しないままはいって言ったんだと思います」
「...作戦、練り直しますね」
現在のフロアナースに意地悪そうな人は見当たらない。慣れればコミュニケーションも取れるようになるだろう。でも旧体制で4年過ごしてきてみんなと意思の疎通がうまくいっていた。あの状態になるには時間がかかる。それを再び一から丁寧にやっていくほど残された時間はない。