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当時の日記より145@2010 9/23
今日は雨。何処にも出かけたくないけれどそんなの姫(母)が許さない。病院近くのスーパーでダノンと果物と惣菜を購入し、びしょぬれで到着。カーディガンを渡したら怒り出した。
「なんで家に行くなら前もって知らせないのよっ!私はオユワカシを持ってきてもらいたかったのよっ!!」
「オユワカシ...?」
なんだか妖怪の名前みたい。
「あっ電気ポットのこと?」
「そうよっ!」
変な名前つけないでよ。とてつもなく大量の荷物を持ち込む姫はその置き場所を確保出来ない。当然だ、大部屋なんだから。
「無理だよ、何処に置こうと思ってそんなこと言うの?」
「ちょっと!!私が着たいと思っていたのはこのカーディガンじゃないわよっ」
「じゃぁ今回は我慢して着ててよ」
気分が悪い。
9/24
突然寒くなったせいか喘息を起こした。ストレスもあるはず。家でじっとしていたら姫から電話がきた。
「〇〇さんから韓国海苔を戴いてね、もう大切に大切に食べているのよ」
「えっ姫韓国海苔嫌いじゃない」
「何言ってるの?好きだけど」
いやいや冗談言わないで。海苔が大好きな姫は韓国海苔なんて海苔とは認めない!と拒絶。いいから食べてみてよと食べさせた時もすごい文句を言われた。忘れてしまったのか。忘れて味覚も変わったのか。
「好きだの嫌いだのって勝手なことばっかり言わないでよ」
「私は嫌いだなんて言った覚えはないし、例え一度嫌いだと言ったからってずっと嫌いなままって訳じゃないでしょ!」
「は?意味分かんないけど。要するに私は姫の気まぐれに振り回されてるだけだね。その日の気分で好きだ嫌いだって食べ物選り好みしてるだけじゃん」
「何失礼なこと言ってるの!」
食べ物バトルは日に日に激化している。つい先日も同室の患者さんのご家族が里芋とイカの煮物を作ってきた。それをお裾分けして貰ってとても美味しく食べたと言い出した。
一つの食材から一つの調理法しか認めない姫。私はイカと大根の煮物が得意だし大好きなのだが「イカは煮ると変な匂いになって嫌いなの。私は焼いたイカ以外は食べませんから」とずっと言われてきた。これは認知になる以前から。
「一度嫌いだと言ったからってどうしてずっと嫌いなままだと考えてしまうのかしら。卯月って本当に変わってる」
問題は常に自分以外に原因があると捉える姫。だから全ての出来事は私が悪いという結論になる。
嫌いと言ったものが食べられたり、また嫌いになることを世間一般には「気まぐれ」と言うんだよ。