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当時の日記より116@2010 6/24

医療チームから密かに「気がする病」とあだ名されている件を以前書いた。

長年に渡って皮膚に強く副作用が出る薬を服用し続けているので、肌がとにかく刺激に弱い。今では就寝前手に塗る薬、顔につける薬、顔の湿疹部分にだけ塗る薬、赤みのある場所にだけつける薬と呆れるほど沢山の薬を塗らなくてはならない。

21日の夜

「頭が痛くなってきた気がする。薬!」

「今日はちょっと湿疹の数が増えたから三叉神経を刺激してるんじゃないかな。だから頭が痛いのとは違うよ、きっと薬飲まなくても大丈夫」

10分ほどすると

「あ、ホントだ。頭痛くならなかったわ」

ただでさえ服用している薬が多いのに、気がするといって飲む薬の量が増えて気になっていた私は姫(母)を暗示にかければいいのかと学習した。やっぱり気がするだけで薬飲んでしまってるとこの時判明したから。

22日の夜。

鏡を見ながらせっせと薬をつけていた姫が呟いた。

「こうやって赤いのがいっぱい出てくると頭が痛くなってくるんだったわよね」

と私の発言を勝手にアレンジし、自分で自分を暗示にかけてしまった。その言葉から5分と経たぬうちに

「あーっやっぱり。ものすごく頭が痛くなってきた気がする。薬、薬!早く出してよ」

23日の夜。

薬をつけながら

「なんか昨夜より赤いとこ増えてるじゃない。こういうの見てると頭が痛くなってくるのよ、ほらほらすごい痛くなってきた。くすりー!」

本人に鏡を見せず私が塗ってあげればこの騒動は起きないと分かっている。でも、もうこれ以上世話するのは無理だ。

イレギュラーな薬の時はお湯の水割り作業をしろと言わない。本人に余裕がないから。今夜も絶対頭が痛くなると言うに決まっていると先を読んでいた私はテーブルに水と薬を用意していた。

はいはい、どうぞ飲んでくださいとベッドまで持っていくと当の本人、なんとテレビに夢中である。旅番組で山形の放送をしていて、自分の故郷の訛りに似ているとかぶりつき。

テレビを見終わって薬が視界に入ったらまた痛いと言い出しかねないのでそっと隠した。この人絶対痛いって言わずに気分よく寝るはず。

大人しく寝た。やっぱりな。

今夜。

さて今晩は何て言うのだろうと思っていたら

「昨夜頭が痛かったのに薬飲むの忘れたから今夜こそ飲むわよ。だって頭が痛くなるに決まってるんだから!」

本当に痛いなら忘れないでしょ、そんな大事なこと。そして薬はまだ塗っていないのに

「頭痛い!薬!!」

ねぇ、お笑いのプロですか?たまらず口を挟んだ。

「姫はね、自分で自分に暗示をかけてるの。薬を塗ると頭が痛くなるって。それ自分で病気を作ってるのと同じことだよ。わかる?試しに今夜は薬塗らないで寝てごらん。一日くらい塗らなくてもどうってことない。頭痛薬も飲まずに済むよ、どう?」

少し考えこんだ姫は

「薬飲む。頭が痛い気がするもの」

はいはい。好きにしてください。

薬を飲んだ姫は言った。

「今夜は薬塗らずに寝よう」

意味ないっつーの!!




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