見出し画像

当時の日記より109@2010 5/29

救急車で急遽病院に向かったため、最低限の荷物だけしか支度出来なかった。診察と入院手続きのあと、夫に再び実家まで送り届けてもらい犬と夫は自宅へ帰って行った。

翌日改めて荷物を持って病院へ。ところが「私の荷物は私しか分からない」と常日頃文句を言う姫(母)が、私の用意した物で納得するわけがない。

あまりにも意識消失が頻繁なので検査。でも何の問題も見当たらず、腹痛による迷走神経反射といういつもの診断が下った。しかも一時増大かと思われた箇所の癌がまた小さくなってきているとのこと。風船じゃないんだから...。

今日はとても寒い一日。空調管理されている院内だが姫は寒がってパジャマの上に別のパジャマを羽織っている。

「カーディガンいれておいたよ。見つからない?」

そう尋ねると

「あのカーディガンはねっちょっとした時に羽織るためのものだから薄くて役に立たないのよっ」

と激怒。

私が薄手の物と厚手の物をちゃんと荷詰めしなかったことに対してご立腹の様子。ちょっとした時ってどんな時だよ。更に

「何で入れなかったのよ!」

「待って、何を?」

「2Fの部屋に次に病院へ持って行くためにと思ってパジャマの上へ肌着を乗せておいたのよ。なんで荷物に入れなかったのよ!」

滅茶苦茶だよ。説明されてもいない、あっちもこっちも洋服だらけの部屋でどうしたらこれは病院用だと私が判別出来るのか。

言葉を操るのが下手な姫は相手が分かりやすいようにする『前置き』や『説明』を省略し、いきなり本題から始めることが多い。私の考えは相手が理解していて当然という口ぶり。

何故持ってこなかった!と怒る姫に『言われてなかったからです』と正論なんかぶつけようものなら、火に油を注ぐようなもの。だから私は反論しない、黙る。この人に何言ったって通用しない。

救急車騒動の翌日からすごく寝ている。夫が何かの病気ではないかと疑うくらいとにかく寝ている。姫の世話しなくていいのなら病気でもいいと思いつつ調べたら、人間はあまりにも強いストレスがかかると眠って現実から逃避しようとする傾向があると知った。これだ...。

私は何かの罰を受けているのだろうか。修行?試練?どうしてここまで大変な思いをしなきゃならないの?前世ではどうしようもない極悪人だったの?

姫からのんきに電話がきた。また時系列で起こったことの報告だ。そして最後に

「ちょっと便秘だったから座薬してもらったの。解消したから明日は問題なくアリムタ出来るわ」

「あのさ、前にも言ったけど座薬を自分で入れられるようになってよ。自分で排便コントロール出来たら家でも倒れたりしないよ」

「あらだって、看護師さんがこれは私たちの仕事なんだから気にしなくていいのよって言ってくれるもん。私は出来ないわ、そんなこと」

「どうしてそう何でも人任せなの?自分のことじゃん」

「じゃあ今度ね。今度教わるわ」

ついにキレた。

「教わるも何もケツの穴につっこみゃいいんだよっ!」

隣でコーヒーを飲んでいた夫が盛大に噴いた。初めて見た、そんなコントみたいなこと。(いや、私こんなこと口走るキャラじゃないです、念のため 笑)

もう寝る。



いいなと思ったら応援しよう!