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当時の日記より146@2010 9/29
認知症。とにかくイライラしている。私の顔を見れば何から何まで言いがかり。
病室に入ると例の赤い病。アイスノンをもらってくるか尋ねたが要らないと言う。それより何より姫(母)には気がかりなことがあるのだ。
「手配してくれたのよね!」
京王に行ってハムを友達に送るよう言われていたのだ。
「あのね、ハムのお店は無くなったんじゃないかな。探したけどそんな専門店なかったよ。他の物でもいいなら適当に選んで送るけど」
この言葉に大激怒。
「卯月は一体何階を探してきたの?私ちゃんと言ったわよね。京王の1Fのエレベーター近くにあるお店だって。どうして頼んだことをきちんとやれないのよ!」
「姫、聞いて。京王の1Fは昔から化粧品や靴があるフロアなの。食べ物は売ってないんだよ」
「そんなことないわよっ。私が何十年通ったと思ってるの。本当は行ってないからって適当な嘘つくんじゃないわよっ」
「多分地下一階と間違えてるんだと思う。そこは見てきたけどやっぱりハムの専門店は無かったんだよ」
「地下一階って何階よっ!!」
え...。なんて答えりゃいいのさ。困惑して黙ってると
「ねぇっ私今日顔が赤くなってるんじゃないの?!」
「だからそうだって。アイスノンもらってこようかって尋ねたら要らないって言ったじゃない」
「言ってないわよっ早くもらってきなさいよっ」
なんだかもう...本当にもう...。
ナースステーションに行くと師長に手招きされた。
「この間は本当に申し訳ありませんでした」
「へ?なんのことですか?」
聞けば腕の痛みが激しくて夜中にナースコールをし、包帯を替えろと要求。看護師の対応が悪く包帯を替えてくれなかった上にひどいことを言われて私は傷ついたんだと師長を呼びつけて泣いて抗議したと言う。
自分の起きたことを時系列で全て話さなくては気がすまない姫が私にそれを言わないはずはなく、絶対にその出来事を記憶していないと思われる。
その看護師は夜間専門のため、私は一度も会ったことがない人。色んな抗がん剤の副作用で皮膚がボロボロになっているので「頻繁に交換したらもっと皮膚を傷めることになってしまうから痛み止めの薬を飲みましょうか」と言ったら激怒し、ひどいことを言われて傷ついたと言い出したらしい。
それ、看護師さん何も悪くない。自分の要求が通らないから相手を攻撃しているだけだ。師長曰く
「腕の傷はどんどん悪化しているし痛みもひかないから本人は相当イライラして不安だと思います。こちらも気をつけますから」
と平身低頭。いや、絶対みなさんは悪くない。
病室に戻ると左腕の包帯が外れたと喜んで見せてくれた。ものすごく皮膚が薄い状態なのは私でも分かる。
「右のほうもこんな感じなの?」
と尋ねると
「そうなの。塗り薬が強いものに変わってね。昨日から右腕は一日一回の包帯交換」
「ふーん。毎日替えてるんだ」
ここで姫が大激怒。
「卯月!!一体何を聞いてるのよっ人の話はちゃんと聞いてなさいよっ!毎日じゃなくて一日一回だって言ったでしょ!!」
「え...それを毎日と言うんじゃ...」
「言わないでしょうっ!!毎日じゃなくて一日一回!卯月は私の言うことが気に食わないの?!」
帰ろう...。