「できない約束はしない」と、2歳児から学ぶ
「できない約束はしない」
これは、わたしの話……ではなく、我が家の2歳の娘ちゃんの話。
先日、夕方頃に「おそとにいきたい」とお散歩をご所望してきた娘ちゃん。もう日も暮れ始める頃だったので、正直あまり乗り気でなかったわたし。「お外行って、帰ってきたら、ちゃんと晩ご飯食べるって約束できるんやったら行こう」と、娘ちゃんに言ってみた。いつも夕飯に時間がかかってしまうので、夕方にお散歩に行って、夕飯開始の時間が遅くなってしまうのは、その後のあれこれに支障をきたす。だから、ちゃんとご飯を食べられると約束できるのなら、お散歩に連れて行ってあげようと思った。
それに対する、娘ちゃんの返事がこちら。
『ごはんたべない!』
おっと。ごはんたべない宣言をされてしまった。
「ごはん食べるって約束できるなら、お散歩いけるよ?」
『おさんぽいく!』
「じゃあ、ちゃんとご飯食べれる?」
『ごはんたべない!』
「ご飯食べるって約束できひんかったらお散歩行かれへんで?それでもいいん?」
『おさんぽいく!ごはんたべない!やくそくできない!』
ずっと、この押し問答だった。お散歩に行きたい、でもご飯は食べたくない、だから"ご飯ちゃんと食べるの約束"もできない。本当に、意思がはっきりしていて、そしてとてつもなく頑固だった。
途方に暮れながらも、そんな我が子に、なんだか関心してしまう自分がいた。
何があっても、できない約束はしないのか、と。
ひとまず口だけでも「ごはんたべる」とさえ言えば、すんなりお散歩に連れて行ってもらえたかもしれない。でも、娘ちゃんはできないことをやるとは言わなかった。絶対に、嘘はつかなかった。
これ、わたしが逆の立場だったら、ご飯を食べるつもりがなかったとしても「ごはんたべる、やくそくする」って言ってしまいそうだ、と、自分のことを省みる。
社会に出ても、できない約束をする人は往々にしている。「これ、いついつまでにやります」→「やっぱりできませんでした」なんてこと、仕事をしていると決して少なくはない頻度で発生する。でも、娘ちゃんはちがう。できない約束は、しない。だって、できないって自分でわかっているから。
娘ちゃんはまだ2歳なので、嘘をつくという概念を得ていないだけなのかもしれないけれど(いや、でも、いたずらで「やっぱりちがいました~!」的な嘘をつかれることもあるしな……!?)、彼女のこういうところ、見習いたいなと思う。
間違いなくわたしのお腹から産まれてきたわたしの子のはずなのだけれど、全然違う意見や考え方を持っている。れっきとした、異なる人間。まさか、2歳の我が子を「見習いたい」と思う日が来るなんて思っても無かった(もっと先の未来だと思っていた)。子育ては、面白い。
わたしも、自分の本当に気持ちに目をつぶって、できないことを「……できます」「やります(本当はやりたくない)」って言うの、やめようと思った。