うつ病で諦めかけたとき人生経験全部が味方になった
うつ病になった。
仕事のストレスという、ありがちな原因で。
眠れないっていうか寝ても途中で起きる。当然休まらない。固形物が食べられない。夫にベッドまでウィダー持ってきてもらって飲んでた。そのくせ嘔吐する。ようやく外出できたと思ったらお店で吐いてしまったので、店員さんに多大な迷惑をかけてしまった。
嘔吐した瞬間、「あ、これもうダメだ。私一生働けない」と思った。
でもお金は稼ぎたい。
私たち夫婦には「子育てをする」という夢があるのだ。
まだ見ぬ我が子のために、できるだけお金を貯めておきたい。
じゃあ、どうするか。
私は回らない頭で考えた。
「そうだ、作家になろう」
作家なら家で仕事ができる。それに比較的マイペースにできるだろうし、最悪体調が悪くて動けない時期でも印税が入ってくる可能性がある。
なんてったって、私が人生で一貫して褒められてきたのは「文章」だ。
なんとかなるんじゃないか。
そう思ったら、すぐにnoteの街に来て、気づけば文章を綴りはじめていた。
うつで頭は働かないはずなのに、なぜだかポンポン記事のアイディアが浮かんでくる。執筆スピードが追いつかない。スマホでしたためる指が止まらない。
なぜだろう?
私は、私の人生経験を延々と書き連ねていた。
小さいころはお花博士だった。
小学生でソフトボールをはじめた。
両親の影響で野球が大好きになった。
中学のテストは学年1位だった。
友達がほとんどいなかった。
高校で部活の後輩にいじめられた。
大学は勉強もそこそこにサークルの子たちと遊びまくった。
社会人になったら仕事がうまくいかなかった。
転職を繰り返した。
今度はお局にいじめられた。
そうこうしているうちに眠れなくなった。
精神科に駆け込んだら「発達障害」と診断された。
絶望と「やっぱりそうか」が同時に来た。
就労移行支援に通った。
簿記の資格を取った。
経理として仕事をがんばった。
会計が大好きになった。
岩手と京都と大阪と名古屋と仙台に住んだ。
4つも下の優しい夫とマッチングアプリで結婚した。
未来を見据えて「子どもが欲しいね」なんて話している。
ぶわっ、と人生のすべてが文章の種になった。
うつ病になってよかったなんて1ミリも思わない。とっても苦しかったから。
でも、過去は変えられない。
だとしたら、することはひとつ。
人生すべてを糧にして、書き続けることだ。
種は蒔かれた。
水やりをして、育てて花を咲かせるのは、私自身だ。
それが私の心の傷を癒すいちばんの方法。
そして、私の文章が誰かに届いて、何かを感じ取ってもらえるかもしれない。
そう思ったら、やるしかない。
書き続けて約半年。
まだまだ書きたいことは尽きない。
「書く」こと、けっこう向いてるのかも。
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