見出し画像

日本画と洋画~影と立体の考え方の違い~

最近、日本画の世界も洋画に寄ってきていることが多くなっており、一概には言えないのですが。
私の知っている部分だけで、本当にざっくりまとめてみました。
ご制作などの参考にして頂ければ幸いですm(_ _)m
 
※(注)以下、「洋画」「日本画」は、昔からの一般的なものを指します。全ての作品に該当するものではありません。
 

1.光と影

1-1.光源の違い

ざっくり乱暴にまとめてしまうと、次のような傾向があると言われています。

・洋画は「光源」がはっきりしている
・日本画は「光源」がはっきりしない(光があらゆる所から当たる)
 
色々な説がありますが、私の聞いた説は、「建物の違い」から来るものです。

西洋は、石造りの建物で、窓は四角く切り取られ、そこから光が差し込みます。
 
かたや、日本(東洋)は木造建築が主で、野外と室内の区切りはもっと大きくとられています。(障子を思い浮かべて頂ければ…)
そのため、光は部屋全体にぼんやりと広がります。
 
このため、西洋と日本では、室内での物の影の付き方が違っていました。
 
西洋での見え方は「光」があって「影」が出るので、明るい所と暗い所のコントラストがハッキリしています。
かたや日本では、「物」があって「影」が発生します。

日本画家である主人は、「その物自身の影」と表現します。
洋画=直流 日本画=交流 とは、主人の説です。


1-2.日本画の「線」と洋画の「面」

洋画は「光」があり「影」が出るということを強く意識して発展してきたため、絵は「面」の集合として捉える事が多い様です。
 
かたや、日本画は、物とそれ以外の区別として、物を「線」で表す事が多いようです。
実は、日本の漫画の考え方が近いのかなーと思います。

2.立体の捉え方の違い

2-1.   視点が違う

西洋画は、視点は、基本1つです。
例えば、物を描く時、観察者がどこに立っているかを意識して表現します。
俗にいう「透視図法」です。

かたや、日本画は、「視点は一つではない」という独特の考え方があります。
物を描く時、全ての高さからその物を見る前提で、それを絵にしたりします。

※日本画例。あくまで一例です。ご参考までに。

例えば、昔の絵巻物には、吹抜屋台図という日本特有の技術があります。
物をまず平面であらゆる方向から観察し、それを立体的に組み上げていました。
 
日本画は、「物そのもの」の形をとらえるという事に重きを置いているように感じます。
 
※江戸後期あたりには西洋画の透視法の技術が入ってきて、以降の作品は透視法(透視図法)を用いたものも多くなってます。
 

3.日本画と洋画の壁


実は、ここで一つ問題が生じます。
 
例えば、公募展で、洋画専門に活動してきた審査員が「日本画」を見た時、洋画と比べてしまい、立体感や空間の使い方など細かい所で違和感を感じることも多いようです。(もちろん全員ではありませんが)

日本画の作家は、洋画→日本画と勉強する方がほとんどですが、逆は少ないのも一因だそうです。
 
公募展で、「日本画部門」「洋画部門」と別れている所があるのは、その辺りも一因かもしれません。
 

4.さいごに


もちろん例外もあると思います。
が、細かく話を掘り下げていくとキリがないので、本当に簡単にまとめてみました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?