女性のエンパワーメント〜Lessons in Chemistryを読んで〜
今日は今年出会った素敵な小説をご紹介。
Bonnie Garmus 著、Lessons in Chemistryです。
あらすじ(goodreadsより英訳)
エリザベス・ゾットは「平均的な女性」ではない。というより、「平均的な女性」なんてものは存在しないということを初めて言い出したのがエリザベス・ゾットその人だ。しかし、それは1960年代初期、ヘイスティングス研究所の男性陣が持つ平等に対する考え方は非科学的だった。ただ一人を除いては。その人はカルヴァン・エヴァンズ。孤独で聡明、ノーベル賞候補にもなった、ねちっこい性格の彼が何よりもエリザベスの頭の良さゆえに彼女と恋に落ちる。ただただ化学のなせる業。
科学同様、人生は予測不能。数年後、エリザベスはシングルマザーになり、なぜかアメリカで一番愛される料理番組、6時の夜ごはん、のホストを渋々務めることになっていた。エリザベスの料理に対する姿勢(「大匙1の酢酸に塩化ナトリウムを少々混ぜます」)は革命的だった。しかし、人気ができるにつれ、それをよくは思わない人も出てくることになった。なぜなら、結果的にエリザベスが女性たちに教えていたのは料理ではなく、現状を変えようとする勇気だったからだ。
感想
ヒストリカル フィクションのジャンルに入る一作です。
私はヒストリカル フィクションとの相性がすこぶる悪いらしく、
途中で飽きてしまって、辞めてしまうことが多々あり、
ここ数年で10冊くらいトライしたけど、
最後まで行けたのはたった2冊という散々な結果。
この作品を読み始めた時も、
「大丈夫かな、また辞めることになるかな」
思いながら読み進めてましたが、余計な心配でした。
コミカルに1950−1960年代の女性を描いていて、
飽きる暇もなかったです。
もちろんコミカルだけでなく、当時の女性の扱いの悪さに
腹が立ったりもしました。
作品の中のエリザベスさんは科学者であり、のちに母になり、
共感を覚える点が多々ありました。
私は、大学院まで行って得た職業を手放して、
専業主婦で3人の子供の子育てをしています。
もちろん私の選択であり、
たった一回の人生、人に預けるのではなく、
全てを自分たちでやってみて、
初めての言葉、初めてのハイハイやタッチや一歩を
自分で見届けたかったのが大きく、
それをさせてくれている夫にも環境にも大大感謝なのだけど、
それによって取り残されてる感っていうのはやっぱり否めなかったりする。
それが当たり前だった当時の女性がエリザベス・ゾットの番組で目が覚めていく様は感動でした。
中盤で番組中にスタジオに観覧に来ている女性を指名して、
質問を受け付ける、というシーンで、
その女性は本当は心臓外科医になりたかったけど、
「もう遅いわよ」って呟いた女性に
と力強くいったエリザベスさんの言葉に思わずほろりとしてしまいました。
私にも夢があるけど、
どこかで「本当にできるのだろうか」って懐疑的になってしまう自分がいて、
背中を押された気がして、不覚にも涙が出ました。
4語なのにこんなパワフルな言葉があるだろうか。
また、エリザベスさんが初めての子育てに奮闘する様子も共感の嵐。
他にも、良き理解者になってくれた近所の先輩ママさんに、
「子供なんか欲しくなかったけど、できちゃって、恥を隠さずにいうと、もう少なくとも二回もこの子を誰かにあげちゃいたい、って思っちゃったんだよね、こんなのおかしいよね、私。」
と、相談すると、
近所のママさん、
「え?二回?たった二回?二十回思ったとしてもまだまだ素人の域よ」
って(笑)
こんな感じで、親としての葛藤だったりがリアルに感じられて、
私だけじゃないかもって思えたのはすごく心強かったです。
今回図書館で借りた本だったので、
自分でも買って読み直したい気持ちでいっぱいです。
蛍光ペンで大事なところを線引きまくりたい。
親としても、キャリアを目指す身としても、
背中を押してくれる本作品をそばに置いておきたいな、と思いました。