動物の毛とファッション
アルパカ店長:
メール講座読者のK様から、
ちょっと難しい質問をいただいたよ。
刺激が強いところがあるかもしれないけど
一緒に考えてみてほしいんだ。
「 アルパカは 毛を刈るので
動物の身体は傷つかないですよね。
ヤギもかな?
心配なのは 兔です。」
さて皆、どう思う?
アシスタント吉田:
アルパカの毛刈りは、
ペルーで何か所か見たけれど、
アルパカが動かないように
しっかりおさえて、
バリカンか、大きいハサミで
カットしていたよね。
アルパカ店長:
うん、やっぱりこわいから、
ジタバタ動いちゃって、
その時に、
少しだけ傷ついてしまったり
することもあるんだけどね。
でもペルーでは、
ケガをしないように、って
足を動かないように固定して、
さらにしっかり男の人たちが
数人がかりでおさえて
カットしてるよ。
アシスタント吉田:
ウール(羊)もそうだよね?
アルパカ店長:
そうだね、羊もやっぱり
バリカンで刈られるよ。
気になるのは、
「ミュールジング」と呼ばれるものなんだけど…
聞いたことがあるかもしれないけど、
毛にどうしても虫がついたりしてしまうと
使えるところと使えないところの毛を分けたり、
きれいにするのにより手間がかかるから、
虫がわかないように、
あえて羊のお尻の近くの皮膚を
切ってしまうという方法なんだ。
アシスタント吉田:
聞いたことある、
痛そう…
アルパカ店長:
特に頭数が多いオーストラリアなどでは
まだ一部で使われている
飼育方法でもあるんだ。
逆に、
「ミュールジングをしていない毛です!」
ときちんと説明や、
証明を出している場合も
あるんだよ。
特にニュージーランドでは
国をあげて、
「ミュールジングはしません!」
と宣言しているから、
ブランドやメーカーによっては、
できるだけそういった国の
ウールを使っていこう
と動いているところもあるよ。
アシスタント吉田:
カシミヤやモヘアのヤギや、
ウサギ(アンゴラ)はどうなんだろう?
アルパカ店長:
ヤギは基本的には毛を梳いてとるんだ。
大事に育てているところなんかは、
丁寧に丁寧に梳いてとっているけど、
ときどき、かなり速く力強くとかして
梳いている場合もあるようだよ。
梳いて毛をとるのは時間がかかるから…
アシスタント吉田:
絡まった髪の毛を
急に強く梳かされたら、
痛いよね…
アルパカ店長:
そして
メッセージをくださったK様も気にしている、
ウサギ(アンゴラ)は、
基本的には、
毛をバリカンとかで刈るのだけど、
2014年くらいに、
中国のある工場で、
アンゴラうさぎの毛を
むしり取るような採取方法を
しているのが
NGOの調査で明らかになって、
You Tubeでもその映像が
世界に流れたんだ。
多くの人が驚きや、怒りの声を上げて、
H&MやZaraも、
この数年は、アンゴラ製品の取り扱いを
ストップしているんだよ。
きちんと健全な環境で採集された素材だと
生産背景がわかるようになるまでは
アンゴラ製品は作りません と。
アシスタント吉田:
そっか、この数年確かに
アンゴラを使った製品て
お店から減ったような気がしてたんだ。
アルパカ店長:
もちろんすべての生産工程が
ダメだ!っていうのではなくて、
きちんと動物と向かいあって、
動物を尊重しながら、
伝統ある産業として
継続されているところもあるよ。
そういったところで作られたものだと、
なんだか、
大事に着よう、とか
ちょっと傷んだけど、直してまだ着よう、とか
より愛着をもって
着続けたくなるんじゃないかな。
商品自体だけではなくて、
ついている下げ札や、
それを作っているブランドについても
目を向けてみることが大事だね。
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