見出し画像

令和6年6月議会  清水彩子の一般質問①【読書バリアフリーの推進について】

【質問した背景】
図書館は、「図書館の自由に関する宣言」をしており、宣言の中に次のことがあります。
図書館は、基本的人権のひとつとして知る自由をもつ国民に、資料と施設を提供することをもっとも重要な任務とする。
この項目の中に、「すべての国民は、いつでもその必要とする資料を入手し利用する権利を有する。この権利を社会的に保障することは、すなわち知る自由を保障することである。図書館は、まさにこのことに責任を負う機関である。」としています。

子どもの読書活動の推進に関する法律第2条、基本理念にも、「すべての子どもがあらゆる機会とあらゆる場所において自主的に読書活動を行うことができるよう、積極的にそのための環境の整備が推進されなければならない」と定められ、文字・活字文化振興法の中でも、第3条において、文字・活字文化の振興に関する施策の推進は、すべての国民が、等しく豊かな文字・活字文化の恵沢を享受できる環境を整備することを旨として、行われなければならないと定められています。
「障害者の権利に関する条約」の締結、日本図書館協会による「図書館利用における障害者差別の解消に関する宣言」の公表、「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」の施行、「盲人、視覚障害者その他の印刷物の判読に障害のある者が発行された著作物を利用する機会を促進するためのマラケシュ条約」の締結と、条約締結に向け著作権法の改正もあり、年々、障がいがある方への読書環境が整備されてきています。

このような時代の流れがあり、読書環境が整備されてきている中で、武蔵村山市の図書館は、どのように変化をしてきたのか確認するために質問しました。

武蔵村山市役所の花壇

令和6年6月議会  清水彩子の一般質問①
【読書バリアフリーの推進について】

令和元年に「視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する法律(読書バリアフリー法)」が成立してから、この6月で5年になります。

読書バリアフリー法は、障害者の権利に関する条約や障害者基本法の理念にのっとって、障害の有無にかかわらず全ての国民が等しく読書を通じて文字・活字文化の恵沢を享受することができる社会の実現に寄与することを目的としています。

障がいの有無に関わらず、全ての人が、読書による文字・活字文化の恩恵を受けられるよう、本の内容にアクセスできる環境が必要です。

文字を読むことが困難な方が、情報を得る機会が限られる情報格差が生じぬよう、読書バリアフリーの推進について、①市立図書館のバリアフリーについて、②学校図書館のバリアフリーについて伺います。

【教育長答弁】
視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する法律、いわゆる読書バリアフリー法におきましては、障害者の権利に関する条約や障害者基本法の理念にのっとって、障害の有無にかかわらず全ての国民が等しく読書を通じて文字・活字文化の恵沢を享受することができる社会の実現に寄与することを目的としているところでございます。

本市の市立図書館では、点字図書や大活字本などのバリアフリー図書を蔵書しているほか、令和4年10月に開設した「むさしむらやま電子図書館」においては、文字サイズの拡大や内容を音声で聴くことができる電子書籍を御利用いただけます。
次に、2点目について、お答えいたします。
学校図書館では、視覚障害のある児童・生徒に向けた取組は行っておりませんが、本に親しんでもらうための工夫として、点字図書や大活字本などを取り扱っております。また、今後は1人1台端末を活用し、市立図書館の電子書籍の活用を周知してまいります。

(市立図書館 再質問)
1項目めの市立図書館の読書バリアフリーの推進について再質問します。
東京都立中央図書館が行っている「東京都公立図書館調査 障害者サービス調査」ですが、武蔵村山市は中藤図書館が調査の対象ですが、点字図書の購入以外が全て0です。点字資料の冊数もHP上で一番古い調査結果のある7年前のままです。令和5年度、障がい者サービスに関する図書の借受が0件になっているのは、26市中不明な市の1件と武蔵村山市だけです。利用登録者数が0人なのは、区部と市部合わせても武蔵村山市だけです。この状況を改善できないでしょうか。

(答弁)
毎年、東京都に報告しております「東京都公立図書館調査」の「 障害者サービス調査」の内容についてでございますが、他市に比べて点字図書などの蔵書数が少ない状況にあり、また、利用登録者数も令和3年度の「4人」令和4年度、5年度は「0人」の状況が続いております。
バリアフリー図書の購入数につきましては、一般書や児童書に比べて少なく、PRも十分ではなかったこともあり、このような状況になっているものと認識しております。
今後につきましては、バリアフリー図書を周知するなど、このような状況の改善に向けて取り組んでまいりたいと考えております。
また、一方で、令和4年10月に導入しました「むさしむらやま電子図書館」におきましては、文字の拡大や音声読み上げ機能もありますので、その周知に努めてまいりたいと考えております。

(清水)
冒頭述べましたが、読書バリアフリーは大切なことなので、購入と周知をお願いします。
また、電子図書館については後ほど伺います。
りんごの棚という取り組みがあります。「りんごの棚」は、特別な配慮を必要とする子供を対象とした、アクセシブルな本のコーナーで、この棚には、布の絵本、点字図書、拡大図書、録音図書(音声デイジー)、マルチメディアデイジーなどを置きます。
1993年にスウェーデンの図書館で始まり、世界各地に広がっており、都内でも導入している自治体が増えています。武蔵村山市の図書館でも、「りんごの棚」を設置できないでしょうか。

(答弁)
「りんごの棚」につきましては、多摩地域の7市で設置されている状況は把握しており、図書館の本棚の空きスペースやワゴンタイプの本棚を活用している例もあるようです。
本市の図書館ではスペースの問題もありますが、すでに設置されている他市の状況を確認するなどして、まずは雷塚図書館に設置してまいりたいと考えております。

(清水)
公益財団法人 文字・活字文化推進機構は、公共図書館や学校図書館を対象として、主な種類のバリアフリー図書を取りそろえた「読書バリアフリー体験セット」を貸し出します。貸出、送料も無料です。こうした取り組みを利用して、読書バリアフリーの啓発をできないでしょうか。

(答弁)
これまでは、読書バリアフリーに関して、特段の啓発活動を行っておりませんでしたが、先ほどの「りんごの棚」の件と併せまして、本市の図書館として、どのような形で啓発ができるのかを考えてまいります。

(清水)
今年度から、できることは取り組んでいただきたいので宜しくお願いします。「読書バリアフリー法」の第9条には、視覚障がい者等が利用しやすい媒体、点字図書・拡大図書・電子書籍等の充実と、円滑な利用のための支援が行われるよう、国や自治体が必要な施策を講ずることが記されていますが、武蔵村山市の、点字図書の蔵書数や購入についての状況を教えてください。

(答弁)
本市の点字図書の状況でございますが、一般の点字図書と児童用の点字図書を合わせまして233冊蔵書しており、平成8年以降は購入していない状況でございます。

(清水)
平成8年だと、28年前になりますので、その233冊についても、劣化具合の確認や、新しい書籍が長年読めない状況になっているので、内容の確認と購入をお願いします。 
年齢と共に、文字が見えにくくなります。高齢者の数が多いほどに、読みづらさで困る方も多いと思いますが、私達が普段ワードで使う時の文字の大きさは10.5ポイントが標準設定ですが、文庫本は8ポイントほどです。大活字本は、14~22ポイントで作られており、読みやすくなっています。このような書籍は誰にとっても読みやすいと思いますが、大活字本はどのくらいありますか。貸出はありますか。

(答弁)
大活字本につきましては、図書館全体で163冊蔵書しており、最近では、令和4年度に購入しております。
なお、利用貸し出しの実績につきましては、令和5年度に、全体で60冊の利用がございました。

(清水)
LLブックはあるのでしょうか。

(答弁)
ピクトグラムなどを用いるなど優しい言葉で書かれている本、LLブックにつきましては、雷塚図書館に10冊蔵書しており、シリーズものを毎年1、2冊ずつ購入しております。
利用貸し出しの実績につきましては、令和5年度に、5冊の利用がございました。

(清水)
聴覚障がいのある子どもに、手話と単語の対応をわかりやすく伝えるために、手話のイラストと単語を組み合わせた図書である、手話付き絵本は、武蔵村山市の図書館にあるのでしょうか。

(答弁)
手話付き絵本につきましては、残堀・伊奈平地区図書館で平成6年度に購入した1冊のみとなっております。

(清水) 
手話付き絵本の読み聞かせをしている自治体もあります。対象を聴覚に障がいがあるお子さんに限らず、手話や聴覚障がい者への理解にも繋げるために、子育て支援の催しの際に、1冊手話付き絵本を読んだり、手話のサークルさんに来ていただいて、1冊手話付きで読んでいただいたり、親子に手話を知ってもらう機会があるといいと思います。平成6年に購入した1冊のみになっているようですが、障がい者への理解啓発としても活用していただきたいと思いますので、購入と、読み聞かせによる啓発もご検討宜しくお願いします。

ディスレクシアの人達にも読みやすい電子書籍の国際規格があります。それがマルチメディアデイジーです。読み上げ音声付き電子図書で、読んでいるところが画面上でハイライトされ、それが読み上げに追随していきますので、ディスレクシアの人達にも文章の内容が容易に理解できます。これは、武蔵村山市で利用できる状況にあるのでしょうか。

(答弁)
「むさしむらやま電子図書館」における現在の蔵書数は13,130冊であり、そのうち、読み上げ音声付き電子図書につきましては、9,431冊ありますので、利用することが可能でございます。

(清水)
マルチメディアデイジーについては、著作権法により、障がいがある方のみが利用できる、わかりよい内容になっていますので、こちらの導入もご検討宜しくお願いします。電子図書館が導入され、読み上げ音声付きを9,431冊購入されているとのことで、バリアフリーが進むことになりよかったです。電子図書館は、電子書籍のアクセシビリティ機能については、どのようになっているのでしょうか。

(答弁)
電子図書館のアクセシビリティ機能につきましては、トップ画面で、文字の大きさや文字の色、背景と文字の色を変えられるようになっているほか、購入している電子図書によっては、音声読み上げ機能がついていたり、1面の縦と横を変えたりなどの機能がございます。

(清水)
わかりました。「サピエ」は、視覚障がい者を始め、 目で文字を読むことが困難な方々に対して、さまざまな情報を点字、 音声データなどで提供するネットワークですが、26市の図書館で加入している市がいくつくらいあるのか教えてください。

(答弁)
26市の加入状況についてでございますが、19市が加入しております。

(清水)
武蔵村山市も加入をご検討いただきたいので宜しくお願いします
今年度、図書館で購入予定の障がい者サービスに関するものがあれば教えてください。

(答弁)
今年度につきましては、電子図書館以外のバリアフリー図書の蔵書を充実させるとともに、障害のない方も一緒に楽しめるユニバーサルデザインの図書なども購入するなど、啓発にも努めてまいりたいと考えております。

(清水)
しっかりと充実させていだくよう宜しくお願いします。図書館によって、バリアフリー図書の種類や冊数にばらつきがあるようなので、同じように揃えていただきたいことと、雷塚図書館のように、絵本があるコーナーは階段になっていて入れないなど段差があるところもありますので、新しく図書館をつくる際にはバリアフリーについて考えていただき、障がいがある方がどの図書館に行っても自由に本を読める環境づくりの推進をお願いします。

武蔵村山市が、新しい図書館を建設する時が来たらの話ですが、車椅子でも通れるスペース、届く低めの棚、オストメイトの利用者でも安心して利用できるトイレ、災害時には緊急表示をするデジタルサイネージやモニター、防音の録音室などの設備など、ユニバーサルデザインと、バリアフリーを考えた図書館を作っていただきたいことをお伝えしておきます。
視覚障がい等の障がい者をはじめ、高齢者、認知症、日本語が母語ではない方など、様々な方にとって、利用しやすい図書館づくりをお願いします。

(清水)
続きまして、②学校図書館の読書バリアフリーの推進について伺います。
平成20年、教科書バリアフリー法が成立しました。障がいがある児童・生徒に対して、一人ひとりに合った教科書が必要とのことで成立したものですが、武蔵村山市では、教科用特定図書等の利用はあるのでしょうか。

(答弁)
令和6年度の状況でございますが、教科用特定図書を利用している児童・生徒はおりません。

(清水)
現在利用者はいないということでわかりました。読書バリアフリーについては常に整備しておくものですので伺っていきたいと思います。デイジー子ども夢文庫は、小学校の国語の教科書で推薦している児童書を中心に、マルチメディアデイジーで製作・提供を行っています。著作権法により利用できるのは障がいがある方に限りますが、特別支援学級等で活用されたり、保護者に情報提供されているのでしょうか。

(答弁)
教育委員会では、デイジー子どもゆめ文庫についての情報提供は行っておりませんが、学校では、特別支援学級やきこえとことばの教室において、必要に応じて保護者へ活用の周知を行っているとのことです。

(清水)
わかりました。チャティ文庫は、ディスレクシアの児童・生徒にも読みやすいように、全ての漢字にルビが付与され、単語単位の分かち書き表示も可能になっています。また、教科書作品の方は、読み上げ時のハイライト単位(フレーズ)が2~3文節程度に短くしてあります。チャティ文庫は活用されているのでしょうか。

(答弁)
教育委員会では、チャティ文庫についての情報提供は行っておりません。また、学校についても知っている教員がおりませんでしたので、情報として周知させていただきます。

(清水)
周知を宜しくお願いします。特別支援学級も含め、電子図書館の有効的な使い方を教えたりはしているのでしょうか。

(答弁)
必ずしも特別支援教育でというわけではありませんが、市図書館が実施している電子図書の活用については周知を行っています。

(清水)
図書館で借りることができるシステム、自分の端末で読める、この2つにより、「継続可能な読書環境」ができると考えられます。国会図書館からわいわい文庫を学校図書館経由で児童の端末に貸し出すことができるようですが、わいわい文庫の活用はしているのでしょうか。

(答弁)
わいわい文庫については活用をしておりません。

(清水)
わいわい文庫は、障がいがある児童・生徒の読書を充実させることができるものだと思いますので、活用をご検討いただければと思います。司書教諭と、学級担任や通級の担当者、特別支援教育コーディネーター等の教員間の連携はあるのでしょうか。

(答弁)
司書教諭、学校司書を含め、読書活動についての連携は校内で行われております。

(清水)
連携がとれているとのことでわかりました。学校図書館でも、障がい者サービス用資料を置いておき、子どもたちがいつでも触れるようにしておくと、その子に適した読み方が見つかることもあるようですが、学校にはリーディングトラッカーなど補助具はあるのでしょうか。

(答弁)
お答えいたします。
学校にはございません。個人で使っている子供はいます。

(清水)
わかりました。読書バリアフリーというものを子供達が知ることも教育のひとつだと思いますので、子供たちが読書バリアフリーを知るきっかけが学校図書館の中にもあるといいと思います。
アクセシブルな書籍や電子書籍が普及することにより、必要な情報にたどり着きやすくなりますので、読書バリアフリーの推進をしていただきますよう宜しくお願いします。

以上で1項目めの質問を終わります。

いいなと思ったら応援しよう!