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どうしたってつながってるんだぜ


親友がいる。

親友だと迷わずに言えるのは

実は勇気がいるのだけれど

彼女に関しては

一度も迷いも遠慮もせずに

親友ですと胸をはっている。

たとえば、ずっと会っていなくて

こまめに連絡もとらなくて

それでも。

彼女が生活する東京の雑踏をイメージして

いつだって自分の道を歩いている彼女を

頭の片隅においている。


初めて出会ったのは、高校1年生だった。

スタートはクラスメイトだ。

外国語を一生懸命勉強するそのクラスには

帰国子女も天才もたくさんいたが

彼女の話す英語は度肝を抜いた。

ラジオで勉強したんだよ。と話した。

彼女には、その頃から自分の価値観や

信じるものや大切にする世界があり

同じ年齢でありながら、飛び抜けた

感性にノックアウトされた。

ふにゃりと笑う顔。

読んでいる文庫本の背表紙。

会話の中の言葉のセレクト。

緻密で地道な勉強を積み重ねる背中。

今の私になるのに

彼女のエキスが入っている。

自分の身体のいちばん真ん中の部分に

共鳴する人間に出会えた奇跡を

私は高校生で経験できたことで

生きることはすばらしいと

思える大人になることができた。

彼女は昨日45歳になった。

私は今日45歳になった。

私達は今日も生きていて

離れていてもきちんと命を宿している。


彼女におめでとうを伝えたLINEの

返事に

残りの30年は好きなことだけして

生きていこうぜ。とあった。

もちろんだよ。

17歳の頃、生きづらさを嘆き

社会や既存の価値観に翻弄されながら抗い

それでも生意気な持論を展開させ

自分達の未来に怯えたり、期待していた私達は

今、全く違う人生を

それぞれの場所で歩いている。


いつも一歩私の先を歩き、

1日お姉さんの彼女をいつだって追いかけている。

彼女の名前には羽がついている。

お父さんとお母さんは、きっと

彼女が羽ばたき自分を謳歌する人生を

45年前に祈っていたかもしれない。

私の名前には当時活躍する女性の名前が

使われた。

あんなに男尊女卑な父が、その名前を選んだ

ことに、はっとするけれど

娘には社会での躍進や居場所をと、もしも

望んでくれたなら、

親バカ万歳と思っている。


私達は、生きている限り

お互いの幸せを祈るだろう。

ねえ。

どうしたってこの空の下

つながっているんだぜ、私達。

昨日リボンをつけておめかしした

おめでとうは、今朝、にやにやして

私のとこに帰ってくるんだからさ。

#友よ
#45歳


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おだんご
お気持ちありがたく頂戴するタイプです。簡単に嬉しくなって調子に乗って頑張るタイプです。お金は大切にするタイプです。

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