素敵なドイツ語の表現と翻訳
前回は「お下品なドイツ語の表現と翻訳」について書きました。
公平を期すために今回は素敵なドイツ語として、日常の言葉とパートナーの呼び方、ドイツ語の文学作品に見る美しい言葉を紹介します。
1.日常でよく耳にする素敵な言葉
① schön
非常によく使い、前回書いた「Scheiße」とは真逆の意味の言葉です。「綺麗な」「素敵な」「素晴らしい」といった意味があり、自分が持つポジティブな気持ち・印象を伝えるための言葉です。
Schön, dich kennenzulernen! お会いできて嬉しいです。
Es war schön, mit dir zu sprechen. 君と話せて良かった(楽しかった)。
Schön gemacht! うまくできたね!
② Schmetterlinge im Bauch haben
直訳すると「お腹の中に蝶々がいる」ですが、人に恋をしたときの嬉しさやドキドキする気持ちを表す言葉です。恋をした時の気持ちと、蝶々がお腹の中で舞っているというイメージがとても合っていますよね。
③ zaubern
「魔法をかける」「魔法で何かを作り出す」という意味の言葉で、料理など、何かを手で作り出している相手に対して使うことがあります。作り出されているものに対する好奇心と、相手のしていることへの尊敬が滲む素敵な言葉です。
Was zauberst du?
(まるで魔法をかけているみたいに)何を素敵に作ってるの?
2.パートナーの呼び方
ドイツでは、パートナーに呼びかけるときに使う愛称が色々あります。代表的なところでは
mein Schatz 僕の宝物
mein Liebling 僕の大好きな人
などです。「僕」と訳しましたが、女性から男性へも使いますし、この二つの表現は自分の子供や孫に対しても使います。
ただよく使われるだけに、ありきたりで心がこもっていない印象を持つ人もいます。
また頻繁には使われませんが、少し古風で “特別さ” を出すものとして
mein Herzblatt 僕の心の一片
meine Angebetete 僕が崇める人
Herzallerliebste mein 僕の心からの最も愛しい人
などもあります。
人それぞれ、自分の好みによって愛称を選んで使っているようです。
1.や2.で挙げたような素敵な表現は日本語に訳すときもできるだけ元の意味を表したいと思っています。多少、日本語として不自然になってしまっても、やはり元の言葉の良さを日本語訳を読む人にも知ってほしいからです。
3.文学作品にみる美しい言葉
最後に、私の好きな詩人、ヨーゼフ・フォン・アイヒェンドルフの詩から一部を抜粋します。
各行の最後で踏んでいる韻が美しいですね。ドイツ語の詩は韻を踏むことが一般的ですが、私はアイヒェンドルフの詩の韻は特に美しいと感じていて、好きな詩人の一人です。
また、 Schimmer(ほのかな光)という言葉も意味と発音がぴったり合っていて私は好きです。アイヒェンドルフはこれにBlüten(花々)という言葉をつけてBlütenschimmerという造語を作っています。月明かりが花々をほのかに照らしている様子がこの言葉に表されていて実に美しいです。
私のサイトにはこの詩の全文を掲載しているので、良かったら読んでみてください。
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