《聖書-10》ダヴィデ
こんにちは。
Ayaです。
今日はイスラエルの王・ダヴィデについてとりあげます。
士師たちによって率いられてきたイスラエルの人々でしたが、力強い王をもとめるようになってきました。人々は士師・サムエルに王の擁立を願い出ます。サムエルは王政の問題点を列挙しましたが、人々が聞かないので、神に相談することとしました。神は『わたしがこれから遣わすものを王としなさい』と命じると、ベンヤミン族のサウルが現れます。サムエルは彼に聖油を授けました。こうしてサウル王が誕生したのです。
ダヴィデ
当初は神のいいつけどおり統治を行っていたサウル王でしたが、次第に神の言葉に従わなくなってきました。神は怒り、サムエルに命じて新たな王を擁立しました。彼こそダヴィデです。
サウル王は自分を陥れる存在としてダヴィデを警戒します。しかし、息子のヨナハンとダヴィデは親友であり、娘のミカルとは恋仲でした。その上、精神的に病んでいたサウル王自身もダヴィデの竪琴の演奏で癒されていたのです(初期の音楽療法といわれています)
サウル王はペリシテ人との戦いに先立って神託を伺おうと儀式を行います。しかし、とっくに彼を見捨てていた神は無視します。すでに亡くなっていたサムエルの亡霊からはペリシテ人との戦いに敗れると答えられます。
サムエルの亡霊の言葉通り、イスラエル軍はペリシテ軍に大敗します。サウル王は目の前で愛息・ヨナハンが殺され、自ら命を絶ちました。
サウル王の別の息子が後継者を名乗りましたが、すでに民心はダヴィデに移っており、この息子を滅ぼして、ダヴィデは即位を宣言しました。ダヴィデ王の誕生です。
バテシバ
ダヴィデ王は若い頃巨人のゴリアテを殺すなど武勇の誉れ高い人物でしたが、欠点がありました。無類の女性好きであったことです。
ある日、ダヴィデ王は宮殿の屋上を散歩していて、女性の水浴を覗き見します。この女性は人妻のバテシバで、彼女に一目惚れしたダヴィデ王は呼び出して関係を結んでしまいます。
旧約聖書内で女性のヌードを描ける格好のエピソードですので、バテシバの入浴は多く描かれています。
不倫の一夜にしてバテシバはダヴィデ王のこどもを身籠ってしまいます。ダヴィデ王はなんとか誤魔化そうと、バテシバの夫を戦地から呼び戻して、バテシバと一夜を過ごさせようとします。しかし、義理高いバテシバの夫は自分だけ妻と過ごすのは戦地の皆に申し訳ないと、帰宅しませんでした。誤魔化す計画が失敗したダヴィデ王は、彼を激戦地に飛ばして、殺してしまいます。未亡人となったバテシバを正式に後宮に入れました。
勿論、こんなまやかし、神には通じません。バテシバが産んだ子どもはすぐに死んでしまいました。息子の夭折と側近の諫言で、ダヴィデ王が心をあたらめたため、バテシバはソロモンたちを出産することができました。しかし、この不倫の罪の代償はダヴィデ王の子どもたちがはらうこととなるのです。
アブサロム
ダヴィデ王にはバテシバ以外にも数多くの妃がいて、たくさんの子どもたちを儲けていました。特に三男のアブサロムは長髪の美男子で、その妹タマルの美貌も抜きん出ていました。そんなタマルに邪な恋情を抱いた者がいました。異母兄のアムロンです。
恋情に耐えきれなくなったアムロンは仮病を使って、タマルを寝室に呼び寄せます。
二人きりになったとき、アムロンはタマルに襲いかかり、強姦します。そのうえ、目的を果たすと恋情も薄くなったのか、タマルを寝室から追い出します。
異母兄に無理やり犯され酷い扱いをうけたタマルは、兄のアブサロムに泣いて惨状を訴えます。アブサロムは大事な妹を犯されたことに怒り、アムロンを殺害、逃亡しました。
この一件を知ったとき、ダヴィデ王は自身のバテシバとの不倫を思い出し、アブサロムを厳しく罰することができませんでした。ダヴィデ王によって許されたアブサロムでしたが、父の威厳の低下を読み取り、クーデターを計画します。
数年後、アブサロムはクーデターを決行、ダヴィデ王は都落ちを余儀なくされました。しかし、イスラエルの人々の支持は得られず、復活を遂げたダヴィデ王との戦いに敗れてしまいます。この逃亡中、自慢の長髪が木に引っかかり、討たれてしまいました。
息子の死に嘆き悲しんだダヴィデ王でしたが、こうして復位することができました。
晩年、バテシバとの息子・ソロモンを後継者に指名し、ダヴィデ王は亡くなりました。在位は40年ほどでした。
『ダヴィデ』についてはここまでです。
第5話の『ロトとロトの娘たち』のエピソードを取り上げたとき、もうひとつの近親相姦エピソードがあると書きましたが、本稿でとりあげた『アムロンとタマル』のエピソードです。こちらではアムロンもタマルの復讐を果たしたアブサロムも非業の死を遂げていますが、諸悪の根源の父・ダヴィデ王はベッドの上で天寿を全うすることができました。しかも体が冷えてしまうからと、若い女性を左右に侍らせて寝ていたらしく、女好きは生涯治らなかったようです。
さて、次回はダヴィデ王の後継者にして、名君の誉れ高いソロモン王について取り上げます。