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綺麗事かもしれなくても。

金曜日の仕事帰り、久しぶりに神保町へ行ってきました。

目的は二つ。
一つは、吉祥寺にある出版社、夏葉社の島田潤一郎さんの新刊『古くてあたらしい仕事』を手に入れるため。
もう一つは、島田さんのお話を聞いてみたいな、と思ったためでした。

わたしが夏葉社を知ったのは、お笑い芸人で作家の又吉直樹さんが、何かで紹介されていたのがきっかけ。

そこから、夏葉社の本は何冊か読ませていただいていました。本の中身はもちろん、「家の本棚にあったらいいなあ」と思えるような、とにかく装丁が素敵な本ばかりなのです。

「こんな本を作っている人って、どんな人なのかなあ」という、ただのファンとしての単純な興味もあり、とにかく楽しみにしていました。

あっという間の時間でしたが、どのお話も印象に残るものばかりで、実は、まだまだ自分の中で、きちんと整理できていないのです。

ただ、島田さんがお仕事をされる上で、心がけていることに話が及んだ時、「仕事相手やこれまでお世話になった人に対して、ちゃんとしなきゃ、誠実でいなければ、という気持ちは常にあります」とおっしゃっていてたことが、今のわたしには響くものがありました。

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個人的な話をすると、今、現職の契約期限がもう少しで終わろうとしているのですが、今年はずっと次の仕事を考え、探しながら、今の仕事をしていました。

正直、気持ちが宙ぶらりんというか、自分の仕事にも、一緒に仕事をしている人にも、きちんと向き合えていない、という気持ちと、それに対する後ろめたさみたいなものが、常にどこかにあったように思います。

というのも、「誠実」という言葉も、そういう姿勢でいる人も、やっぱり素敵だと思っていたし、自分もそうありたいと思っていたから。

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この「誠実」という言葉、学生時代、就職活動をしていた時には、「綺麗事」と一蹴されたことがありました。

それは、ある会社の面接で、「どんな姿勢でうちの仕事をしたいですか」というか質問に対し、「何の力もないですが、自分にできることをして、貢献していきたいですし、仕事にも、一緒に働く人たちにも、とにかく誠実でありたいです」と答えた時のこと。

別の面接官の方から「利益ありきで考えないと、それだけじゃ困るよ。綺麗事だけじゃ、仕事は出来ないからね」と、言われた当時のわたしは、それに対して何も答えられませんでした。

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今思えば、この言葉は、もう至極ごもっともだと思います。あまりにも青臭く、ふわふわしたことしか言えない、何の力もない人間を、誰が雇いたいとも思えないです。それに、自分が「誠実」という言葉に頼りすぎていた部分があったのも確かでした。

それでも、島田さんのお話を聞き、今回のイベントのために、話す内容を5分刻みの原稿として起こし、準備されていた島田さんの姿を見ていたら、やっぱりわたしも「誠実」でいたいと思ったのです。仕事に限らず、わたしと関わってくれる全ての人やことに対して。

こんなこと言っていたら、また誰かに「それは綺麗事だよね」と言われてしまいそうです。
でもわたしは、やっぱりそうありたい。今週は、そんなことを思ったのでした。




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