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漂う煙が言葉を掬う
部屋に入ってくる光の色が徐々に赤みを増しつつすみれのような色に移り、穏やかにその光を別の国の明日へと繋ぐ。
光がこの国の空に留まる時間は、日に日に短くなっている。
それでも光の去り方は、部屋の電気のように刹那的ではない。
まるで線香花火のようなゆったりとした変化は、雲の姿も動きも、光の彩度も一瞬たりとも同じものがなく、その儚さがとても美しい。
そんな儚さを、昨日の私は見ることなく暗くなった道を歩いていた。
そして家に着いた途端、全ての力が抜けたように椅子に腰をかけ、ぼんやり手元の液晶画面を眺める。
誰かと会って話したり、本を読んだり、SNS上での交流があったりすると、感情が心の中でいっぱいになり、ポップコーンのように言葉という形で弾け飛ぶ。
その言葉たちを、いそいそとかき集めてキャラメルでコーティングしてみたり、塩をかけてみたりして、私はいつも文章を作っていた。
昨日は違った。全く言葉が出てこない。
そして今日、昨日は見れなかった移り変わる光を部屋の中からぼーっと眺める。
昨日の言葉が出ない感覚に対して、不思議な気持ちが自分の中で大きくなってきたのを感じて、少し考えてみる。
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