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【くらしの東洋医学 鍼灸で元気に】 気と水の通り道 めぐる三焦!
千葉市内、千葉駅すぐ、女性と子ども専門鍼灸院『鍼灸 あやかざり』です。
いつも【くらしの東洋医学 鍼灸で元気に】の記事をお読みいただき、ありがとうございます。
読者のみなさまは、五臓六腑って、一度は聞いたことがあるのでは??
これは、東洋医学における、いわゆる内臓に対する考え方の分類であり、以下のものが含まれます。
五臓:(肝・心・脾・肺・腎)
六腑:(胆・小腸・胃・大腸・膀胱・三焦)
今回とりあげるのは、『三焦』です。
『三焦』は六腑のひとつされていますが、他の臓腑のように直接結びつく臓腑はなく全身と関係するものである、とされています。
今回は、東洋医学における『三焦』とはどういった腑なのか、ご紹介をしていきます。
1.三焦の字解き
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まずは、三焦という言葉を、『三』と『焦』とういう漢字にわけて、三焦の意味をひも解いてみましょう。
『三』は数字の三であり、全身は三つにわけた部分から成る、その部分の集合体が全身である、という意味合いを表しています。
三つの部分とは、上から順に上焦・中焦・下焦といい、全体で三焦となります。
『焦』は、焦がすと読みますが、バーナー(火)のようなもので下から炙っている、そんな様子を表しています。
この2つの漢字の意味を組み合わせてみると、三焦とは、全身3つの部分とバーナーとなりますね。
つまり、人体は、バーナーのようなものによって作り出される熱パワーにより気や津液が全身をめぐることで、活動的に元気に生きていることができる、そんなイメージが三焦の字解きとなります。
2.三焦の役割とは
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①孤の腑
三焦は結びつく臓腑がない、特別な腑であるとご紹介をしましてきましたが、そのことに関して、古い文献では「孤の腑(みなしごの腑)」と表現されています。
②気の出入りする通路
三焦は気(エネルギー)の通り道であり、気が三焦をとおって全身に巡らされることで身体は温められます。
③水液運行の通路
三焦は水液を全身に巡らせる通路として働きます。
水液の運行と代謝は複数の臓腑が協同して行われるものですが、三焦を通じて行われ、水液は蒸気のようになって巡らされ、腠理(毛穴)より汗として、膀胱からは尿として排出されます。
③上焦・中焦・下焦としての三焦
先に字解きのところでご紹介をしたように、三つにわけた各部分を、上焦・中焦・下焦とよびます。
上焦は、胸腔、すなわち心と肺の臓腑がある横隔膜よりも上の部分のことをいいます。
この部分は、呼吸を主り、血脈を主り、精気を全身に巡らせて、肌肉を温め、腠理(毛穴)を整えて発汗作用の制御を担います。
全身へ気を霧のようにあまねく昇発・宣発・粛降させることから「上焦如霧」と表現されています。
中焦は、上腹部のあたり、脾胃がある横隔膜から臍の間の部分のことをいいます。
この部分は、口から取り入れた飲食物を細かく消化して(腐熟するという)、栄養となるものを取り出し血を生成する役割を担います。
その様子が、泡のようにぶくぶくとしていることから「中焦如漚」と表現されています。
下焦は、下腹部のあたり、肝・胆・腎・膀胱・小腸・大腸がある臍よりも下の部分のことをいいます。
この部分は、中焦から送り届けられた消化物の中から、栄養になるものと不要なもの=排泄物(大便や尿)を分別する役割を担います。
その様子が、排泄物を体外に排出する溝(みぞ)のようであることから「下焦如瀆」と表現されます。
3.三焦に関係する経絡、経穴
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経絡とは、経穴(いわゆるツボ)をつなぎ、気血水を体中に巡らせる、まるで川の流れのようなものであり、臓腑の数と同じ12個(臓腑に関係する以外のものもあることから正確には12個以上)存在している、といわれています。
三焦の腑に関係する経絡は、手少陽三焦経といいます。
<手少陽三焦経の流れ>
手の少陽三焦経の脈は、手の厥陰心包経の脈気を受けて、手の薬指の端の部分(関衝)から始まる。
小指と薬指の間から手背(液門、中渚)、手関節のほぼ中央(陽池)、前腕後面(外関、支溝、会宗、三陽絡、四瀆)をめぐって、肘頭の部分に至る(天井)。
さらに上腕の後面、手太陽系の前、手陽明経の後ろをめぐり(清冷淵、消濼、臑会)、肩(肩膠、天髎)に上って、肩井(足少陽経)を通過して、足少陽経と交わる。
その内向する経脈は、缺盆から入り、膻中(任脈)に下り広がって、心包と表裏関係をなす。
その外に行く支脈は、膻中(任脈)から上行して、缺盆に出て、天髎を巡って大椎(督脈)に会し、項(天牖)を巡り、耳後ろ(翳風、瘈脈、顱息)につながり、耳上角(角孫)に出て、懸釐、頷厭(足少陽経)を過ぎ、耳と頬を下行して、目の下に至り、顴髎(手太陽経)に至る。
耳の下で分かれた支脈は、翳風から耳中に入り、耳前に出て(聴宮(手太陽経)、耳門、上関(足少陽経)、和髎)をとおり、外眼角に至り(糸竹空)、瞳子髎(足少陽経)につながる。
手少陽三焦にある、代表的な経穴(ツボ)としては、以下のようなものがあります。
<要穴>
原穴 : 陽池
郄穴 : 会宗
絡穴 : 外関
募穴 : 石門
背部穴 : 懸枢、三焦兪、 膏門
<五行穴>
井木穴 : 関衝
滎火穴 : 液門
兪土穴 : 中渚
経金穴 : 支溝
合水穴 : 天井
4.まとめ
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どうでしょうか? 今回は『三焦』についてご紹介をしてきましたが、『三焦』が、タイトルのとおり、全身の気と水の通り道である、ということがおわかりいただけましたでしょうか。
この記事を読んで、東洋医学的な治療を受けてみたい、あるいは鍼灸治療に興味を持った、そんな方々は、ぜひ近くの鍼灸院に相談をしてみて下さいね。
それでは、鍼灸でからだも心も元気になりましょう!
鍼灸 あやかざり
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画像の出典:https://www.photo-ac.com/
参考文献:鍼灸臨床北辰会方式理論編、臓腑経絡学、経絡の流れ ほか