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ボーカルコーチングレッスン:1ちょっとキツめのフューシャピンクちゃん
黄色の強いオレンジみたいな
きゃんきゃんのキンキン声の生徒さん。
有名なうるさいハイトーンボイスの曲、
ピンク色なイメージの
『君の知らない物語』を持ってきた。
***
その日の彼女はご機嫌斜めだった。
不満は曲に対する文句。
そもそも、自分は真っ黒なので
こんな黒い私にこんな曲ピンクな曲は合わないし、歌えない気がするよ、先生
と言う。
そうね、なら気持ちも暗くなる
自分に合ってると思ってる黒い歌を選んで歌おうよ、
とは言わなかった。
***
ちょっとだけ、ボイトレの話になるが
今まで彼女が選んできた曲は
ウィスパーボイス気味に歌う、暗くてアンニュイな路線。
それが全く合ってないわけじゃないけど
①楽曲のメロディが難しい(テンションノートばかりで音程が取りにくい)
→
②声の閉鎖も弱い段階で、アンニュイな息漏れ声の曲をやる
→
③閉鎖をしてないからピッチがなかなか不安定なままで、いまいち上達が掴めない
と、こんな状況。
良くないスパイラルで2.3曲やってきた段階。
今までのライブ、本人も私も満足のいくパフォーマンスができたと思えなかったし
何より私はトレーナーとして!
もう少し声門閉鎖できて、ピッチが確実に取れるようになって欲しかったのである。
***
ピンク色な『君しら』、今まで練習も積み上げてきたから
彼女は声門閉鎖もさることながら、ピッチも随分良くなってきた。
音の跳躍が激しい難しい曲なのに、本当に頑張っているのがわかる。
(やっぱり、歌の基本は音程なのだ)
加えて彼女の声は眩しいオレンジ、絶対に声が曲に合ってる、と考えた。
キツイハイトーンボイスが出せる人って、なかなか居ないし、それはせっかくの個性。
それを、発表会1ヶ月前にしてモチベーション理由に放棄しちゃうのはもったいない。
***
ピンク色な曲のなにが気にくわないの?ってことを問いただしていくと
この歌詞の女の気持ちに全く共感できないとのこと。
よし、じゃあどんな女なのか言ってみ
思い描くその女のキャラ設定をプロファイルしていこうよーって話になり。
高校生の時マックでたむろしてる
男も女も友達超いっぱいいる
キラキラグループのリア充女
ってのが具体的に浮かび上がってきてw
自分は
全然そーゆーキラキラ系好きじゃなかったから
歌っててムカつく
という答えがでた。
(最高♡)
私:ならさ、そのムカつくって思い前面に出してみて歌ったら?
オーバーに小馬鹿にして歌ってれば思いっきり他人事みたいに映るわよ〜
生徒ちゃん:えーーーー笑
そうするとこの歌詞は全体的にもっとウザキャラでやりきんないとじゃん
私:ウザいくらいに嘘満載でキャピッてやって
一番美味しいところで目ぇ見開いて
真実は残酷だーって恐ろしく落としてやればいいじゃん
生徒ちゃん:ヤバイ!ひどい!怖い!せんせー黒!!
二人:ゲラゲラゲラ🤣
***
…そんなわけで捻くれた、小馬鹿にしたい、優越感と劣等感との戦いを抱えてる自分
と、いう個性をしっかり把握し、笑笑
また曲に落とし込んでもらったら
あら不思議!!!
卑屈でも頑張ってる可愛い(地下)アイドルみたいな歌になったーーーーーー!!!!!!酷
キラキラピンクよりも、ちょっときつめのフューシャピンクが出来上がり♡
(大丈夫です、生徒さんとの信頼はあるので。承諾済みです。笑)
***
自分の個性ってなんだろう、って
なかなか気づきにくい。
型にはめられたボーカリスト像って
ものすごいキラキラしてたり純真だったり、無垢だったり美しいもの、
かっこいいもの、色っぽいもの
で、居なくてはならないって
無意識のうちに思い込んでることもある。
でも、じゃあその美しいものを目の前にして
自分が言葉を発した時の第一声ってなんだろうと。
こちらは模範解答なんて求めてない。
特にゾクゾクするのは
そう思えない卑屈な自分とか
嫌味、コンプレックス、嫉妬、捻くれ目線
そんなマイナスな感情を見せてくれた瞬間。
そんなもの持ってるから、
いい歌歌えるボーカリストになるんじゃん!!
って、思っているし、伝えている。
だって
超金持ちで何不自由なく妬み嫉みを全く知らずしクリアでいい人で美しくて聡明でコンプレックスない人の歌なんか聴きとーない。
マイナスな感情や性格、状況があるからこそ
人に優しくなれるし、
寄り添える歌が歌えるのだ、と信じてる。
***
小さな言葉の違和感とか、感情サインの一つ一つを
私は生徒さんから見逃さないようにします。
それが、あなたの大事な個性だよって
言ってあげられるヒントがたくさんあるから。