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書体設計の世界。書体は情報を伝えるためのインフラ。

突然ですが私はApple製品の信者です。(ちなみに林檎も好きです🍎)
スティーブ・ジョブズのプレゼンテーションが大好きでした。
この記事を読んでくだっている方は、スティーブ・ジョブズのスタンフォード大学卒業式の伝説のスピーチを見られたことはあるでしょうか。
リンクはこちらから⭐︎
そのスピーチ冒頭で大学を中退したことや、それがきっかけで時間ができたジョブズがタイポグラフィに出会った事を話されています。

「大学では国内最高のカリグラフィ(書体)の授業を実施していた。。(省略)私は活字印刷を立派に見せるタイポグラフィを学びました。」

ジョブズは様々なプロダクトを生み出してくれましたが、そのデザインが素晴らしい理由の一つに、このタイポグラフィを学んだ経験が活かされています。
アップル製品を使っている方は実感されていると思いますが、製品に使用されている文字はとても綺麗だと思いませんか?
欧文だけでなく、日本語までも、、、

2000年にスティーブ・ジョブズはMacOSに「ヒラギノ」を搭載すると発表しました。その発表の際、ヒラギノ明朝体W6の「愛」という文字をスクリーンに大きく映し出し、「クール」と声を上げたエピソードがあります。

このヒラギノシリーズの制作に携わられた方をご存知でしょうか?
「鳥海 修(とりのうみ おさむ)」さん
という書体設計士の方です。(書体設計士!かっこいい!!)
ジョブズの話で前置きが長くなってしまいましたが、
先日まで京都のdddギャラリーで開催されていた鳥海修さんの「もじのうみ」展に行ってきました!
しかも、その日は鳥海さんがギャラリーにいらっしゃるという嬉しいことが!
会場にいた方々に解説をされていました!
チキンな私は話しかける勇気はなく、ちょっと離れたところからジトーっと熱い視線で見つめさせていただきました(笑)

展覧会の様子を少し_φ(・_・

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鳥海さんの生まれ育った山形県、鳥海山のイメージ?この看板でお出迎えいただけます。
よく見ると、もじのうみ、が面白い形で配置されています。
山々のイラストの下にはたくさんのヒラギノ明朝が!田んぼのイメージで展示されています。
もじのうみを自転車で駆け抜ける。。。鳥海さん?展示方法がめちゃくちゃ可愛い。
こちら、全て「手描き」ですよ、、、!!!
ヒラギノ明朝W3、23,000字体!のうち1,980字体の48ミリ原画を展示。
日常で見かける表示など様々なものに鳥海さんが手がけられた書体が。

日本語って、漢字・ひらがな・カタカナと、文字と言っても様々な形がありますよね。日本語の書体を作ろうと思ったら、それら全てを網羅する必要が出てきます。1書体につき、一体何個作らなければ、、、??
展示では手描きのヒラギノ明朝W3を見ることができた(写真3枚目)のですが、そのキャプションには「ヒラギノ明朝W3 約23,000字体〜」の表示が!
一つの書体、さらにウェイト(太さ)も考えたら途方もないことに。。。

もじのうみ「展覧会のあとがきに寄せて」の鳥海さんのあとがきに
『「書体は一人では作れない」。これは字游工房初代社長の故鈴木勉が、ヒラギノ書体が完成し、それを宣伝する段になって、鈴木の名前を前面に出して売りたい旨を関係者から伝えられたときに、申し訳なさそうに言い返したことばだ。』
と、書かれていました。
確かに!膨大な日本語書体を作るなんて、一人でできることではありませんよね。。
また、この言葉に鈴木勉さんのチームを思う気持ちを感じて、素敵なチームだったんだろうなと思いました。

今、私たちは簡単にパソコンや携帯のキーボードを叩くだけで日本語の文字入力ができますが、これは鳥海さんたち書体設計士の方々のお陰です。
本当にありがとうございます。。。

さらに鳥海さんはあとがきで、書体は情報を伝えるためのインフラだと書かれています。
情報を伝えるためのインフラをどのような形にするか(どの書体を選ぶか)で、情報の受け取り方が変わります。例えば、悲しいニュースをポップ体で掲載してしまうと、読み手はよくわからない感情になっちゃいますよね。
伝える情報も大切ですが、どのような形で伝えるのか、書体の力ってすごいなと思えました。

私たちが何気なく暮らしている日常の風景に、鳥海さんをはじめ、書体設計士の方々が作り出した書体が溢れています。
この展覧会を見た後に見た街の風景は少しだけ違って見えました。

展覧会の鳥海さんのインタビュー動画もありました。
とても素敵なお話をされているので、興味がある方はぜひ見てみてください。

鳥海さんが文字の世界に入るきっかけとなった
小塚昌彦さん「日本人にとって、文字は水であり、米である」というお言葉もとっても素敵。

ちなみに、誰も聞いてないけど、
私が好きな日本語書体は「ヒラギノ角ゴオールド」!

ウェイトで印象がだいぶ変わります。
私が大好きな琥珀色の飲み物ポスターに使われていたことがあって、そこから書体も大好きに。。😘

展覧会の話から変わってしまいますが、
日本語だけじゃなく、欧文書体についてはこちらの本をお薦めしたい!
「フォントのふしぎ」著:小林章さん

フォントって色々あるけど、何を使ったらいいの?と思われる方向けに書かれた本とのこと。私は欧文書体の歴史が好きで、そういうところも書かれていたのでこの本を購入しました。
有名なHelvetica、Futura、Gill sans、 Times Romas、、一つ一つの書体について製作者や歴史も絡めて紹介されていて、とっても面白いです。
意外と知られていない文字と記号の話、というのもあり、勉強になります。
日本語では「×」はノー、NGとして捉えますよね?ドイツでは逆のYES!なんだそうです。国によって意味が変わるなんて!

そしてまた誰にも聞かれていないけれど、
私の好きな欧文書体はオプティマです!

最後に、鳥海さんの他のインタビュー記事をリンクさせていただき、
本記事は終了します。ここまで読んでくださってありがとうございました!

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