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ささいなこと

ほんの些細な出来事で、感情はすぐに変わってしまう。些細な感情が行動すら変えてしまうこともある。

毎朝、必ず測っている体温。ある日、いつも通り測っていると、検温終了の音がした。体温計を取ろうと腕を動かしたら、脇から一直線に体温計が落ちて足に当たった。落ちるときに重力で加速するのか、接触した面積が小さいせいで感じる威力が強かったのか、物理は苦手だからわからないけど、もうそんなことどうでもいいくらいとにかくめちゃめちゃ痛かった。

その後数分間は不機嫌。そんなささいなことで、と思うかもしれない。それでも痛いものは痛いのだ。

ちょっと落ち着いたので本でも読もうかと本棚に手を伸ばした。図書館で借りていた本。「雲を紡ぐ」。思った通り素敵な本だった。

たしか、noteで誰かがあらすじを書いていて、これは絶対面白いに違いないと、その場ですぐに図書館の予約をしたんだっけ。

大体の展開は想像できたけれど、主人公の進む道はどうするんだろうとか、周囲の人たちの声掛けにハラハラしたり、主人公の悩みに共感したりしていたら、2時間ほどであっという間に読み終わってしまった。

本を読み終えたころには、足の痛みや不機嫌な気持ちなんて1ミリも残っていなかった。

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ちょっと電車で出かけなければいけなくて、帰りは自分へのご褒美にミスドのドーナツを買うことにした。用事が終わったらミスドのポンデリング。それだけを楽しみに、心の支えにしていたのに、いざ無事に用件が終わったらあまりにも疲れて、お腹が空きすぎて、せっかくミスドの前まで来たのに何を思ったのか(もはや何も思わなかったのか)、何も買わずに帰ることにした。

やっぱ買えばよかったかなあと多少の後悔を蓄積させながら、玄関に倒れこむように到着すると、家ではおいしい夜ご飯が待っていた。もうご飯なんていいから早く寝たいと思いながら食べた最初の一口が本当においしかった。味はいつもと変わっていないはずなのに、とんでもなくおいしい。さっきのドーナツの後悔や疲労はどこへやら、お腹空かせて帰ってきてよかった~と心底感じた出来事でした。

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最近、やるべきことが荒波のように押し寄せてきて、生きてるだけでも偉いのになんでこんなに手いっぱいやることがあるんだ、、、と半分泣きそうになりながら(いや、もう泣いてるかも)、ひたすら波に向かってもがいている。

そんな落ち込んだり、嫌だーと思う日でも天気が晴れていて心地の良い風が吹いていると、ちょっと外に出てみようという気になる。空の機嫌がいいと、私もつられて、ま、いっかと顔がほころんでしまう。これだけで気持ちが穏やかになるのなら、まだ大丈夫だって思いながら、また自分のやるべきことへ向かう。

些細な出来事や感情に左右されてしまうけれど、きっとそれが人間らしくて、私らしくて心地よい。

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