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Sghr スガハラ@Pierre Hermé Aoyama フランスの食関連ニュース 2021.08.25

今週のひとこと

弊社DOMAは、Sghrスガハラさんのフランスにおけるディストリビューションを手がけさせていただいています。ガラスメーカーとして89年の歴史があり、様々なことを乗り越えてきた企業であることもありますが、この1年半の間、大変厳しいコロナ禍にも負けず、さまざまな試みをされていたのには頭が下がります。その中の一つが、昨年発案して今年は2回目となった一般の方々から応募をして開催するデザインコンペ。コロナ禍で、リアルな繋がりが希薄になりつつある時、「作り手と、使い手である一般の方々が一緒になって物作りができたら」という思いで、デザインを一般の方々から募る、冷茶のグラスコンテストを昨年開催しました。評判が良かったことから続行を決めると、今年は日本のピエール・エルメ・パリの賛同を得ることができたということ。今年のお題は「マカロンのうつわ」でした。応募者数は、昨年も177名にも上るという嬉しい反応でしたが、今年は266名もの方々が奮って参加くださった。第一次審査は7月頭で、最終候補の8作品を選出。その後、実際に職人さんが試作を重ね、7月下旬に最終審査を行ったそうです。そして最優秀賞に選ばれたのが写真にある高さのある器。前田紗希さんデザインで名前は「coucher」。マカロンの軽やかな愛らしさが際立つ、マカロンを乗せればつまみたくなる、そんな器に仕上がっています。「coucher」はこの8月から商品化されていますが、青山のティールームでは最終選考に残ったいくつかの作品も展示されています。いずれも力作だと思いました。同ティールームで9月7日まで、「coucher」にマカロンを乗せたセットメニューを楽しめるのでオススメです。培ってきたリレーションシップ、物を作り上げる現場とフィロゾフィ。インプットとアウトプットまでの循環があって、有形無形のマージン(伸び代、余裕という意味での)を確実に生み出している。人も技術も含めて健康的だなと学ばされます。思ったら悩まず行動というフットワークも含めて、小さな規模ではあっても、あるいは個人単位でも、真似できることはたくさんあるなと思いました。

アウトプットばかりし続けるというのは問題外と思いますが、インプットしているにも関わらずアウトプットできないでいる、ということは人生において、よくあることではないかと思います。子供の教育に関して大人がよく口にする「自分が好きなことをしたらいい」という言葉に違和感を感じます。その言葉には、自身の失われた自由に対する漠然とした期待にもあるのではないかと。その言葉が重く、自分探しをし続ける人もいる。しかしながら、おそらく好きなことにめぐり合い、追求できたとして、歳月が過ぎたその先には必ず高い壁がやってくる。自分の好きなことが、すなわち人のためにもなっているという謙虚な分かち合いがあってはじめて、健康的なアウトプットができて、社会にマージンが生まれるのではないか。「好きなことをやりなさい」だけではなく、それとともにある社会的な責任、人のためになることの大切さについても、同時に伝えることのできる大人になりたいし、自分自身でありたいと、今更ながら内省する自分を恥じる今日この頃です。


今週のトピックスは今週のひとことの後に掲載されています。ご笑覧いただけましたら幸いです。【A】サステナブルを謳う、3つ星シェフ、マウロ・コラグレコのブランジュリーがモナコにオープン。【B】新型コロナウィルスワクチンの接種パスポートに対するフランス人の承認動向。【C】レストラン事業家David Lanher、地元の人々に愛されるレストランをオープン。【D】 K-FOODフェスティバル2021。【E】Singapore Food Festival2021パリでも開催。

今週のトピックス

【A】サステナブルを謳う、3つ星シェフ、マウロ・コラグレコのブランジュリーがモナコにオープン。

アルゼンチン出身の3つ星シェフ、マウロ・コラグレコが、このコロナ禍においても、ビジネスを着実に展開してきたことは、業界でも話題になっています。自身の店のある、コートダジュール・マントンからすぐそばのモナコ公国からのラブコールも受け、1月にはすでにトレトゥール(総菜店)BYOもオープンしていました。コンセプトショップKOMOのレストラン・メニューの監修も始めています。そして8月中旬にブランジュリーMitron Bakeryをオープンしました。

コラグレコは、「パンは人類の歴史とともに存在し」、「身体と魂に不可欠な食べ物」であることをもう一度取り戻したいという思いで、2020年にすでにMitron Bakeryをマントンで開始しています。地中海側のスペインにほど近いCucugnanにて、古代小麦粉を生産していることで知られるRoland Feuillasとの出会いが、コラグレコの、環境に配慮した持続可能なパンを提供していという、このプロジェクトの源に。Roland Feuillasの古代小麦を毎日マントンのアトリエの石臼でひき、天然の自家製酵母を使い、薪窯で焼き上げる。グルテンも少なく、体に良い本来のパンをもう一度思い出してもらいたいということ。Mitron BakeryはBYOともども、モナコのマーケット「Condamine」にあり、生活に根ざしたパンを見直してもらいたいという思いが世界に届くことになると感じます。

【B】新型コロナウィルスワクチンの接種パスポートに対するフランス人の承認動向。

ワクチンの接種パスポートの提示に関し、意見が分かれるところではありますが、BFMTVのために行われた世論調査によりますと、レジャーや文化施設における入場では72%、長距離移動(飛行機、列車、長距離バス)の提示に関しては77%、さらにレストランやバーの入店に関しましては64%のフランス人が承認をしているということがあきらかになりました。しかしながら35歳以下に関しては、レストランやバーの入店またショッピング施設の提示に対して消極的であり、 42 % から53 %の賛成にとどまることもあり、世代での意識の相違の表れでもあるでしょう。また黄色いベスト運動の呼びかけによる、フランス全国の都市での、接種パスポートや義務的ワクチン接種に反対するデモが実施されていますが、この動きに関しても半数以上のフランス人が反対しており、その意見は徐々に上昇しつつあるようです。

【C】レストラン事業家David Lanher、地元の人々に愛されるレストランをオープン。

佐藤伸一シェフによる「パッサージュ53」も一世を風靡した場所、パッサージュ・デ・パノラマ通りを世界的にも食い倒れ通りとして知らしめた立役者、David Lanher。同通りには自然派ワインと自然派の料理である「Racines」、さらにイタリア風のカフェ・レストラン「 Caffè Stern」、サンジェルマン・デプレ界隈のビストロ「 Le Bon Saint-Pourçain」、おしゃれな竈を店内に設置したピザ店「Anima」など、時代に合ったレストランを次々にオープンしてきた実業家です。そのDavid Lanherがコロナ禍を経て、新しいビストロ「Cèna(ラテン語で夕食の意)」をパリ8区にオープンしたことを表明しました。コロナ禍において、非常に困難な状況に追いやられてきたが、新しい事業に挑戦したいということ。地元の人々に愛されるレストランがコンセプトです。場所は日本でも知られるシェフ、ドミニック・ブシェのレストランのそば、ビジネスマンとシックな住民の多い8区。デュカスの元パートナーでDavid Lanherとのビジネスも以前から展開しているLaurent Plantierとのプロジェクトでもあり、しっかりとした土台の上での挑戦といえます。シェフはブリストルやアラン・デュカス、メゾン・ピックなどのガストロノミーの経験を経た32歳のAlban Chartron。マルシェの食材を洗練された形で、地元の人々に愛される提供。ランチメニューは42ユーロと決して安くはありませんが、ボリュームはたっぷりで味わいも確か。業界での生き残りを図る指針発見ともなるのではないかと思います。

【D】 K-FOODフェスティバル2021。

2013年からパリ郊外に拠点を置いて、韓国農水産食品貿易公社(aT)の欧州事務所として活動するaTcenter Paris。韓国の農産物のプロモーションを図り、世界への輸出を支援することを目的としています。今は、イギリス、フランス、ドイツばかりでなく、ヨーロッパの他国、オーストリア、ブルガリア、クロアチア、フィンランドなど、ほぼ全域にその勢力を強めています。そのaTcenter Parisが作戦から試みているプロジェクト、 K-FOODフェスティバルが今年も開催されることになりました。K-POPの次はK-FOODというべく、人気が高まっているところの追い風を得たフェスティバルと言えるでしょう。期間は2021年9月9日から26日まで。https://k-foodfan.com/

参加店は30店舗。レストランがイベントのために考案した料理を提供して、多くの人々に韓国料理の豊かさを知ってもらうことを目標としています。キムチやコチュジャンなどの朝鮮半島の代表的な食材をはじめ、フランスではあまり知られていない調味料を使用するということ。参加店がアジア店やフュージョン店だけでなく、フレンチ・ビストロやレストランでもあることが魅力でしょう。参加店はサイトから検索できます。


【E】Singapore Food Festival2021パリでも開催。

Singapore Food Festivalは、シンガポール政府観光局が主催するフードフェスティバル。シンガポールの豊かな食文化を象徴する地元の食材を紹介することを目的に、1994年から開催されています。昨年のパンデミック下では、オンライン化を最大限進めることにより、海外からの参加者を一挙に得るという成功にも結びつけることができました。そうした経験を経て、今年は、「Singapore Food Festival 2021」がパリでも開催されることに。場所はアジア料理で知られる「The Hood」。8月27日から9月12日まで、100%シンガポール料理のメニューを提供します。https://www.thehoodparis.com/

シェフは「Masterchef 2015」の優勝者でもあるベトナム出身のKhanh Ly Huynh。シンガポールに最初に移住した中国系の移民と地元のマレー系住民との料理が融合して生まれた食文化であるシンガポールの伝統的なプラナカン料理を紹介するということ。店での食事はもちろん、テイクアウトやデリバリーでの対応もしているというサービスも、アフターコロナを感じさせます。





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