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フランスから食関連ニュース 2019.12.24

フランスにおける旬でコアな食関連のニュースを、週刊でお届けします。

1. 今週の一言

クリスマス休暇の名目で帰国してすぐに、東京日本橋、幕末の文久3年創業の割烹「日本橋 とよだ」に行ってきました。5代目の料理長で橋本亨さんは居合術の先生。初めて足を運ばせていただいた時から、カウンターにいらっしゃる姿に感動して、背筋が伸びるようでした。丹田に集約された強さからくる、その立ち居振る舞いの美しさというか。日本橋室町1丁目。ここには60年前、今の場所に移転されたということです。

しかし、室町東地区開発で第一弾のCOREDO室町が2010年に完成して以来、次々とこのあたりは開発が進んでいます。それでも「日本橋 とよだ」もあるCOREDO室町の裏通りは、老舗が立ち並ぶ昔ながらの下町風情に溢れていて、近年東京に戻ってくると、老舗魂を携えた伝統のある店に出会うために、必ず足を運んでいました。

「日本橋 とよだ」で虜になった料理の中の一品は芝海老の揚しんじょです。一般的なしんじょですと、長芋などの澱粉質を入れてねっとりとさせるのですが、橋本さんのしんじょは、生芝海老と卵だけで作っている。はんぺんのようなふっくらとした食感で、それをカラッと揚げているので、中と外のコントラストも絶妙。お出汁に浸して、お上品にかじるのではなく、丸々をほおばると、江戸前の粋な味わいがします。今回は、たまたま、長年お付き合いをさせていただいている某食品大企業の広報をされている方と、その方を通じて知己とさせていただいた84歳の江戸料理の大家、福田浩先生とご一緒したので、橋本さんの海老しんじょのレシピの秘密が明らかに。何でも、玉ねぎをすったものを種に加えるのだそう。それで火を通した時に、甘みが高まるのでしょう。玉ねぎというのは、和食には馴染みがないように思えますが、鱧鍋にスライスした玉ねぎを加える関西の料理もあるのだそう。淡路島の甘みの高い玉ねぎが良い、などなどの話に発展しました。ところで、玉ねぎの原産は中央アジア。それから地中海に沿岸に伝わったものが、江戸時代の長崎に渡ってきました。当初は観賞用で食用となったのは明治に入ってからだそうです。「日本橋 とよだ」のしんじょは、江戸前のレシピに橋本さんのオリジナリティが加わった味わいでした。

その「日本橋 とよだ」が2021年の秋まで店を閉められます。室町東地区開発の一環で、実はこのあたりの店のおおよそが、移転や建て替えを余儀なくされているということ。「日本橋 とよだ」は地震対策の建築基準法より、建て替えを余儀なくされ、その改装のために約1年半閉店。この開発は、「日本の中心だった日本橋地区の歴史や文化を再生させ、更に新しい文化を発信する拠点として、再び活性化させることを目標とした都市再生プロジェクト」で、主に海外に向けてのアピールを目的としているようです。耐震基準に満たないということを盾に、都市開発に有無を言わせないという感も否めず。フランスは年金改革法案で、現在大規模なストが起きていますが、仕方ないで済ませることのない執拗さで、最も納得できる解決法を双方で見出し、国を作ってきたフランスと、どうしようもない自然災害と対峙する日本という、根本的な精神構造の違いとは思いつつも、それこそ海外の人々が求める古きを残しながらの開発はできないものか、結局は誰のための事業なのかと思うと、日本の構造を寂しく感じてしまいます。

2. 今週のトピックス【A】 環境保護責任を徹底追及した、スタイリッシュな大型レストランがオープン。【B】GMS「カジノ・グループ」、新コンセプトのデジタルカーヴをパリ3区にオープン。【C】乾燥豆ベースのインスタント食品。【D】フランス初のノンアルコールリキュール誕生。【E】20世紀を切り取る写真展覧会「Pause Déjeuner(ランチタイム)」マルセイユにて開催。

2. 今週のトピックス

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