インターハイの中止。社会人になった私が高校生に伝えたいこと。
インターハイ中止は私にとってもとても衝撃的なニュースでした。
私を形作る大きな要素の一つは部活動にあり、その中でもインターハイを目指して頑張っていた高校3年間はかけがえのないものです。
もしも私が今この時代を生きる高校生だったら?
どんなふうに思っただろうか?
何て声をかけるだろうか?
そんな思いから、あくまで個人の考えですが、インターハイ中止のニュースを受け止めている高校生に伝えたいことを書いてみることにしました。受け取り方も人それぞれだと思いますが、これを読んで何かが良い方向に変わってくれる人が少しでもいてくれたら嬉しいなと思っています。
はじめに…
私は中学から大学まで約10年間、陸上競技部に所属していました。(内容は陸上部以外の方も該当する内容になっています)
典型的な部活っ子で特に高校生の時は、生活の全てが部活動のため「インターハイで勝つため(予選含め)」といっても過言ではない毎日でした。(結局全然勝てなかったですが…)
その後社会人になり、新卒採用に関する企業のコンサルテーションや就活生のキャリアアドバイスをする仕事を経て、今は採用を中心に人事の仕事をしています。
そんな仕事を通して、初めて部活時代を振り返り気づくものが沢山ありました。特に私は、仕事で多くの学生と話をする機会があり、その中で学んだことも沢山あります。部活をやっていた時には気づかなかった「今だからこそ伝えたい」ことを4つ書いてみたいと思います。
1.やってきたことは無駄じゃない
毎日当たり前に練習をしている。それだけで凄いことで、全然「当たり前でないこと」に大人になってから気がつきました。もちろんそれは目標があってこその努力だったかもしれません。でも、確実にその経験は人としての成長につながっていると思います。
就職生のキャリアアドバイスをしている時に「部活のことは結果が出ていないとアピールできない」と思っている人が多いです。でも、大人になってスポーツを仕事にする人はごくわずかです。結果はもちろんあるに越したことはないと思います。でもそれ以上に大切なことは、それまで努力したことや、考え悩んで頑張った経験です。それは社会人になってからでも生きる経験だからです。それに自信を持ってもらいたいです。
私自身社会人になった今でも、部活動で頑張った経験があるからこそ踏ん張れているのだろうと思うことは沢山あります。もちろん高校生の時はそんな風になるとは思っていませんでしたが、今振り返ると本当にその経験があってよかったなと気が付きます。
2.不完全燃焼だから見えるその先もあるかもしれない
私はどのタイミングでも、自分が目指した結果に手が届かない部活生活でした。だから、高校進学した時も、大学進学した時も、もう続けないかも?違うことをやろうかな?という思いを持ちながらも、結局なんだかんだ続けて、社会人なった今でも細々と続けています。
きっと目指した結果に手が届いていたら燃え尽きていたのだと思います。
高校時代は「好き」という気持ちよりも「勝ちたい」という気持ちが強くて、がむしゃらに目標に向かって走っていたので、正直練習は「しんどい」と思うことも多かったからです。
燃え尽きることができなかったから、なんだか後ろ髪ひかれる思いで続けることになった。「有終の美を飾り引退する」はずだったのに、ずるずると続けてなんだかかっこ悪いと思ったこともありました。でも、今は結果的に良かったと思っています。(人にもよるかもしれませんが。)
続けたからこそ「好き」という気持ちにたくさん気付くことができました。
もちろん完全燃焼をして別の道に進むということも良いことです。でも、燃え尽きるためのチャンス(目指していた目標)がなくなってしまって「もうダメだ」と思っているとしたら、案外その先に面白いものもあるかもしれない!と思ってほしいなと思っています。私は実体験からそう感じています。
3.部活以外にも案外活動できる場所はいろいろある
学生の頃は部活(というよりスポーツそもそも)は学生までのものだと思っていました。なんなら高校生までと思っている人も多いと思います。
でも、社会人になって、いろいろな人との繋がりが広がる中で、思った以上に世の中にはクラブチームなど、学校以外の場所でスポーツをする場所が探せばあるということを知りました。これは陸上だけでなくその他のスポーツでも共通していると思います。(地域差もあると思いますし、網羅的に調べたわけではなく、あくまで個人の主観で「思っていたより全然ある!」というニュアンスですが。)
もしもなかったとしてもチームを作ることだってできるんです。
大学生で部活でやるのはちょっと…となったら、サークルを作ることだって、そういったクラブチームに入ることだってできる。(実際私が入っている陸上のクラブチームは、大学の後輩が社会人になってから作ったチームです。)
もちろん学生の頃はそんなこと全く思っていなくて、社会人になって沢山の人に出会い学び気づいたことです。だからこそ、今、この先に悩む高校生に知ってもらいたいと思いました。
4.部活動を通して手にした「結果」以上に大切なもの
高校生の時は結果を出すことが全てと思っていました。
もちろんそれもとても大切なことです。
結果が出なければ、勝てなければ、意味がない瞬間もある。
「結果」ももちろん心の支えになります。実際ある一定の結果が出せたことは私の自信になりました。でも今思えばその「結果」は長い人生の中では瞬間的な喜びで、時間の経過と共に薄れていくものでした。
そして、その「結果」以上に大切でずっと人生を支える糧となるものは、結果に向かう過程で手に入れた沢山のものだと、社会人になってから気がつきました。具体的には、結果を手にするために努力したこと、悩んだ時間、頑張ったこと、そしてかけがえのない仲間などです。
特に個人的には今でも部活の仲間は本当に大切な仲間です。社会人になってから出会う仲間もとっても素敵な人たちばかりですが、同じ目標に向かって頑張っていた部活の同志の特別感はすごいなと思っています。
あと1つ大切なこと
色々書きましたが伝えたいことは…
やってきたことは無駄じゃない。部活を通して、かけがえのない時間を過ごしていたはず。きっと目指す先がなくなってしまった今、これまでのことが無駄に思えることが沢山あったとしても、いつかあの時の自分の頑張りがあったから今があると思える日が来るはず。ということです。
私はそう思っています。(正確には大人になってそう思いました)
ただ、そうなるには1つ大切な条件があると思っています。
それは腐らずに頑張ること。
これまでの頑張りを生かすも殺すも自分次第。
「なんだ、結局頑張らなくちゃいけないのか」と思うかもしれないですが、これまで部活を頑張った人は、これまでも出来たのだからきっと大丈夫だと思います。
部活でも違う何かでも何でもいいと思います。
これまで頑張った自分に自信を持って腐らずに頑張ってほしいなと思っています。
でも無理して空元気でいるというのも違うと思うので、まずは無理せず落ち込んでダラダラして、気持ちが切り替わってから頑張ってもらえたらと思います!
最後に…
今後もしかしたら状況が好転し、何らかの形でインターハイの代替になる試合ができるかもしれないですし…先がこのまま見えず来年もインターハイがなくなるかもしれない。何もわかりません。
でも少なくとも言えることは、部活を頑張るということは、みんなが元気で健康であることがまずは大前提です。
早く思い切って部活動をみんなができる日が来ることを願っています。