双極性障害の私が司法試験に合格する話(2)どうして司法試験なのか。
別に弁護士になりたいわけじゃない。お金持ちになりたいわけじゃない。ややこしい話は苦手だし、ルールなんて破るためにあるものだと思ってる。
それなのに、去年の今頃、私は、思い立ってしまった。
「司法試験やったるぞ!!!」
理由は挙げればキリがない。結婚していた当時の夫の将来の収入が当てにできなかったこと。なんなら早く別れたいと思っていたのでなにか手堅い資格を、と思っていたこと。父が検察官なので昔から興味はあったこと。いろいろあるけれど。今思えば、確かな自信が欲しかったんだと思う。女優を名乗って、表現の世界で仕事をしてきて、常に収入は不安定、仕事をしてもそれが正解か間違いかもわからない。とても曖昧な世界で生きてきたことに疲れていたんだと思う。もっと確かなものを掴むためにがむしゃらになりたい!と、そこで頭に司法試験の四文字が浮かんでしまったのだ。
そういえばさらに私を本気にさせたのは、映画『誰がために憲法はある』という作品との出会いだった。憲法なんて言葉、30年生きてきて2回も発したことないくらい私には遠い存在だったのに。井上淳一監督の情熱と、この映画の面白さ、そして、この映画の上映会を当時住んでいた島根で上映するために駆け回った思い出とともに私は燃え上がった。この映画のプロデューサーは、馬奈木厳太郎弁護士。弁護士で映画プロデューサー?!その肩書き、かっこよすぎる!!!妄想が始まる。
「弁護士で女優の松島彩です。」
かっこよすぎるじゃないか!!!肩書きなんていらねぇ、とカッコつけていたけれど、ほんとは私、社長とか弁護士とかドクターとか。そういう肩書きにどうも翻弄されてしまう生き物なのです。だってお金持ってそうでしょう?そうしたら、舞台のチケット買ってくれるでしょう?困ったら生活助けてくれるでしょう?根っからの河原乞食なのです。
話は脱線しましたが、これからしばらく、女優は休んで、司法試験に集中することに決めた。決めたのは去年ですがね。具体的に数字を提示しよう。5年間。必ず5年後(2025年、その時私は35歳)、司法試験に合格する。弁護士になりたいわけじゃないところが引っかかるけれど。先のことは合格してから考えることにする。目標ができたら即行動へ。司法試験の予備校に入学をした。ワクワクが止まらない。