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次期学習指導要領に向けての議論が始まりました【社会人のための“教育ってそうなってるのか!”講座】

中央教育審議会に学習指導要領改訂の諮問がされた
というニュースが年末に流れましたね。

中央教育審議会とは
文部科学大臣の諮問機関で、
国の教育施策に関する重要事項を決定する際に
さまざまな専門家が議論を行う場です。
 ※諮問とは専門家等に意見を求めること。

学習指導要領の改訂がニュースになるのは
この「諮問」のタイミングと
「答申」(議論の結果の回答)のタイミングです。

ちなみに、中央教育審議会の開催情報や
配布資料はすべてWEBサイトで公開されていますので、
誰でも閲覧することができます。
今回の配布資料も同様です。
概要版を見るだけでも内容がわかるものになっています。
 ※正式には
 「初等中等教育における教育課程の基準等の在り方について
  というタイトルですね。

学習指導要領はおよそ10年に一度、改訂が行われます。
前回、2017年3月に告示された学習指導要領は
戦後70年で最大の改訂だと言われています。
「学ぶ内容(知識・技能)」だけでなく、
「どのように学ぶか」「何ができるようになるか」
まで言及されるようになったのが、
最大の改訂ポイントでした。

これから議論される次の学習指導要領は、
前回の改訂を「より深化させるためのもの」
ということになります。

顕在化している3つの課題に対し、
主な審議事項が4つ提示されています。

<顕在化している課題>
・主体的に学びに向かうことができていない子供の存在
・学習指導要領の理念や趣旨の浸透は道半ば
・デジタル学習基盤の効果的な活用

<主な審議事項>
・質の高い、深い学びを実現し、分かりやすく使いやすい
 学習指導要領の在り方
・多様な子供たちを包摂する柔軟な教育課程の在り方
・各教科等やその目標・内容の在り方
・教育課程の実施に伴う負担への指摘に真摯に向き合うことを
 含む、学習指導要領の趣旨の着実な実現のための方策

https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo0/toushin/mext_00003.html

タイトルだけだとキレイな文章にしか見えないのですが、
その背景としてふれられているのは、
生成AIの普及、グローバル化、デジタル化、
コロナ禍による制約の影響、
「正解主義」「同調圧力」からの脱却など。
とくに
「学習指導要領の理念や趣旨の浸透は道半ば」
というのは
もしもコロナ禍がなかったら、
もっといろいろなことが進んでいたかも、
という想いもあるように思います。
(一方で、GIGAスクール構想は
 コロナ禍だったからこそ進んだのですが)

さらに、
教員への負担についてもふれられている点が
とても重要だなと感じています。
同日の別の諮問では
教職員の育成や採用についての検討も始まっており、
施策として両輪なのだということも
忘れてはいけない点でしょう。

これからどのような審議がされて
どのような方向性になっていくのか、
注視しておく必要がありますね。


松倉由紀
キャリア教育コーディネーター・教育研修プランナー。1975年長野県上田市生まれ。静岡大学人文学部卒業。地元での就職に失敗(4か月めで退職届!)ののち、大手通信教育会社、人材派遣会社、コンサルティングファームを経て現職。キャリア教育の領域で教育プログラム開発と「しくみ作り」をする「企画屋」「クリエイター」であり「風呂敷たたみ屋」。2016年4月個人事業主から法人成り(株)ax-factory(https://ax-factory.wixsite.com/corporate)を設立。2020年京都造形芸術大学通信教育部(グラフィックデザイン)を卒業。デザインで学びをおもしろくします。
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