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この時代に「言語の壁」を言い訳にはできないという話

これは反省としての備忘録。

 今回の仕事はコーディネーターではなくゲスト講師。合計4回、某高校でビジネスプランを立案する授業を担当していた。生徒は複数の授業から選択してきているため、25名のみ。わりと余裕のある1クラスではある。

だがしかし、私はうっかりしすぎていた

 この学校、外国にルーツを持つ子が多いんだった。これまでの数年はさほど困った状況になることはなかったので、いつも通りに準備をしてしまったのだが、今年は様子が違っていた。おしゃべりな子が多いこともあって、教室の中で聞こえてくるのは、中国語、英語、タガログ語。賑やかなんだが、どうも日本人の方が少ないみたい。たぶんクラスの1/3しかいない。

 そして、授業が始まってみると、深刻な問題がわかってきた。おしゃべりな子たちはまだいい。カタコトでも意思疎通ができるから。問題は、静かにしてる男子たちだ。どうやら英語なら通じるようなんだけど、日本語だとこっちの言っていることも伝わってないし、彼ら自身が言いたいことも言えてない。ワークシートなんてもちろん白紙で、グループでのディスカッションに参加できてない。(注:先生たちの名誉のために言っておくと、生徒の言語も考慮したグループ分けの工夫がされていて、中国グループとフィリピングループがあった。でも、どうにもならなかったグループはどうしても出てしまう。)

これ、なんていうか、本当に申し訳ないことをしたな、と。

 せめて、スライドとワークシートだけでも英語併記にするべきだったのだ。最後のふりかえりシートを英語併記にしたら、ちゃんと英語で回答してくれたよ。ほんと、最初からこうすべきだったんだ。本来なら、口頭でも英語でフォローしながら授業をすべきだった。だって、授業中は静かにしている子たち、休み時間はぜんぜん表情が違うんだもの。彼らは考えてないわけでも、表現できないわけでもない。問題は言語だけ。これだけツールが簡単に使える時代なのに、これは機会損失が大きすぎる。

 ちなみに、翻訳ツールはほんとうに使いやすかった。だが、問題は日本語の方で、主語がなくても通じる日本語を翻訳ツールに放り込むと不思議な英語が出現する。ある程度、「英文にしやすい日本語」を入力する必要はありそう。ということは、英語の基本的な勉強は必要なんだなと。もちろん、英語以外の言語もあるわけなので、翻訳ツールをどう使ってコミュニケーションを取るかは、もう少し考えたいところ。

松倉由紀
キャリア教育コーディネーター・教育研修プランナー。1975年長野県上田市生まれ。静岡大学人文学部卒業。地元での就職に失敗(4か月めで退職届!)ののち、大手通信教育会社、人材派遣会社、コンサルティングファームを経て現職。キャリア教育の領域で教育プログラム開発と「しくみ作り」をする「企画屋」「クリエイター」であり「風呂敷たたみ屋」。2016年4月個人事業主から法人成り(株)ax-factory(https://ax-factory.wixsite.com/corporate)を設立。2020年京都造形芸術大学通信教育部(グラフィックデザイン)を卒業。デザインで学びをおもしろくします。
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