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経産省発行の「令和3年度電子商取引に関する市場調査 報告書」のポイントをまとめてみた

こんにちは。awoo株式会社です。普段我々はawoo AIというサービスをEコマース運営の事業会社様に対して販売をしています。

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今回は、我々のお客様である「EC業界」について触れてみたいと思います。22年8月に経産省が発行した「令和3年度電子商取引に関する市場調査 報告書」について取り上げ、EC業界とはどのような業界なのか、どのような成長をしているのか、そのポイントをかいつまんで解説したいと思います。

それではまいりましょう。

ECといっても4つに分類されます

E-commerceとはご存知の通り、電子上で取引される商売全体を呼びます。みなさんが馴染み深いのは、いわゆる小売系の企業がネット上でサービスを提供する「ネット通販」ですが、じつはECにはほかにもいくつかの種類があります。

  • BtoC-EC(事業会社が消費者に対して提供するEC)

  • CtoC-EC(消費者が消費者に対して提供するEC)

  • BtoB-EC(事業会社が企業に対して提供するEC)

  • 越境EC(事業会社が日本以外の国に対して提供するEC)

なかでもBtoC-ECは「物販系」「サービス系」「デジタル系」の3つに分類されていますが、物販系とは食品・化粧品・アパレルなどの物を扱うもの、サービス系とは旅行、チケット販売、金融などデジタル系は電子出版、有料音楽配信・動画配信などを差します。

さて、この4つのECのなかで、最も市場規模が大きいのはどれだと思いますか?

もしかしたら、BtoC-ECを想像した方が多いかもしれませんね。実は、正解は「BtoB-EC」です。

EC市場規模(21年度)

  • BtoC-EC:20 兆 6,950 億円

  • CtoC-EC:2 兆 2,121 億円

  • BtoB-EC:372 兆 7,073 億円

  • 越境EC:3,727 億円

なぜBtoBが最も多い、しかも桁違いなのかというと、ポイントはこの「BtoB-EC」のカテゴリーには、企業間取引の受発注なども含まれるためです。例えばスーパーマーケットなどの小売業者が、お店に陳列するためにメーカーに商品を発注したりしますよね。その様な取引も含まれます。なので、対消費者よりもロット数・単価ともに高いため、金額の規模が大きいのです。

BtoC-EC市場の市場規模と伸長率

awoo AIは主にBtoC-ECの市場がメインなので、こちらの市場を見ていこうと思います。

BtoC-ECは「20 兆 6,950 億円」ですが、この内訳を見ると以下の様になります。

BtoC-EC分野別市場規模

  • 物販系EC:13 兆 2,865 億円

  • サービス系EC:4 兆 6,424 億円

  • デジタル系EC:2 兆 7,661 億円

物販系ECが最も多いのが分かります。では、伸長率(昨年対比の成長率)はどうでしょうか?

BtoC-EC分野別伸長率

  • 物販系EC:8.61%

  • サービス系EC:1.29%

  • デジタル系EC:12.38%

伸長率でみると、デジタル系ECが最も多いのが分かります。理由を探るために、ここを少し詳しくみていきましょう。

デジタル系ECは以下の様に細かく分類されています

デジタル系分野


  • (1) 電子出版(電子書籍・電子雑誌)

  • (2) 有料音楽配信

  • (3) 有料動画配信

  • (4) オンラインゲーム

  • (5) その他

続いて、上記分類ごとの市場規模のデータをみると、以下の様に記されています

令和3年度電子商取引に関する市場調査 報告書より

これをみると、デジタル系分野は物販系・サービス系に比べて伸長率が高いだけでなく、2020年も14.90%と高いことがわかり、「継続的に高い伸長率」を出していることが分かります

では、この伸長率はいつから続いているのか?という疑問を解いていきましょう。

2018年と2019年を見ていくと・・・

令和元年度内外一体の経済成長戦略構築にかかる国際経済調査事業(電子商取引に関する市場調査)より

2018年:4.64%
2019年:5.11%
2020年:14.9%
2021年:12.38%

という推移になりました。ここから何が推測できるかというと、「新型コロナウイルス」による「巣ごもり消費」の影響が見てとれますよね。実際レポートのなかでもこう引用されています。

2021 年は前年に比べると市場規模の成長がやや鈍化しているが、新型コロナウイルス対策で発出された自粛要請や休校要請、緊急事態宣言による「巣ごもり消費」の対象として利用を始めた消費者が定着していること等から市場規模は拡大傾向にあった

令和3年度電子商取引に関する市場調査 報告書

在宅ワーク、巣ごもり消費などが大きく影響していると言えますね。

サービス系ECは2020年にマイナス成長

もう1つポイントをあげると、サービス系ECは2020年にマイナス成長をしているという点です。

令和3年度電子商取引に関する市場調査 報告書より

この図をみると、サービス系ECが2020年に大きく落ち込んでいます。これも新型コロナウイルス蔓延の影響によるものです。具体的にサービス系ECの小分類のカテゴリーの市場規模と伸長率をみてみましょう。

令和3年度電子商取引に関する市場調査 報告書より

旅行サービスとチケット販売が大きくマイナス成長になっていますよね。ご存知のとおり、新型コロナウイルスが蔓延したことで、消費者の移動が大きく制限されたおかげで、旅行にいくこともできず、ライブなどの公演もほとんど行われませんでした。

2021年も、思い返してみると、第3波・第4波というふうに、新型コロナウイルスが消えることはなく、ピークアウトを繰り返していましたよね。チケット販売の市場では多少盛り返した感じはありますが、旅行は依然としてマイナス成長を続けています。

このように、業界によって新型コロナウイルスの影響の程度はかなり違っており、はっきりと明暗が分かれることになりました。

2023年以降はどうなる?

そろそろ新型コロナウイルスも収まりつつあり、旅行支援も復活するなど、消費が活性化する兆しも見えてきています。ただし、円安や物価高騰など他の要因により、このまま伸長率が伸びるとも限りません。EC業界にとって、2023年はどのような年になるのでしょうか?

ここで、当調査で取り上げられているトレンドについて押さえておきましょう。

実店舗の位置付け・役割の変化

実店舗とECというのはこれまで切り離されたものとして扱われてきましたが、OMOという言葉があるように、いまでは実店舗もECも1つのプラットフォームでみるべきだという風潮に変わってきており、それぞれの強みを生かして、相互作用するような戦略が重要になってきます。例えば

EC 購入商品の店舗受け取りは「BOPIS:Buy Online Pick-up In Store」と言われ、着実に浸透し始めている。消費者にとっては送料負担がない、好きなタイミングで商品を受け取ることができる他、商品を探す時間の短縮や返品のしやすさといったメリットがある

令和3年度電子商取引に関する市場調査 報告書より

というような方法がとられたり

ショールーミングとは、実店舗で商品の現物をチェックし EC で購入する消費行動を指す。以前からショールーミングの消費行動は広く認識されており、実店舗側からはネガティブな印象で捉えられていたことが多いが、新型コロナウイルス感染症拡大を契機に消費者の新たな生活様式に即した販売スタイルとしてショールーミングを積極的に促す取組も行われている

令和3年度電子商取引に関する市場調査 報告書より

といったように、ECと実店舗の垣根をなくす取り組みが今後もトレンドになっていくでしょう。

DtoC(Direct to Consumer)

メーカーが直接自社ECを立ち上げ、モールなどを通さずに直接ECで消費者と取引を行うのがDtoCです。このモデルも最近増えてきました。元々この業態はいわゆる「単品通販」の市場で元からあったものですが、この取り組みが食品や日用品などにも普及してきて、ちょっとしたムーブメントになっています。

この市場も少しずつ伸びていくものであると報告書では述べられています。

サブスクリプションサービス

サブスクリプションサービスも同様、今後もトレンドとして押さえておくべきものでしょう。最近では以下のように、業態の幅も広がってきました。

クオリティ オブ ライフ(QOL)という言葉も流行っていますが、サブスクリプションはこのQOLを向上させるために重要な要素となります。

元々インターネット上でのサブスクリプションは、主に食品の定期宅配便、有料動画配信、有料音楽配信といったものから始まったが、ここにきてバリエーションが増えている。具体的には化粧品、ファッション、家具、車がある。化粧品については、単に商品を消費者に送るのではなく、プロのビューティアドバイザーが選んだコスメや消費者個人にあった商品がセレクトされるといったサービスが見られる。

令和3年度電子商取引に関する市場調査 報告書より


今回のブログでは、経産省発行の「令和3年度電子商取引に関する市場調査 報告書」のポイントを挙げてみました。

ほかにも何か解説して欲しいものがあればどしどしコメントをお待ちしております。