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サミットが主催するお祭りに行ったらサービス精神に圧倒された
サミットが好きだ。
一人暮らしを始めて不安だったときに支えてくれたのはサミットだった。
週ごとに別の商品を2割引してくれるやさしさ。ご機嫌で鼻歌を歌いながらレジをこなしていた元気な店員さん。
疲れたときに元気をもらった回数は数えきれない。
そんなサミットが主催しているお祭りがあるという。
行ってみると、サミットのサービス精神がこれでもかと襲ってくるとんでもないお祭りでした。
サミットのお祭り
サミットは首都圏を中心に展開するスーパーマーケットだ。
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サミットはほかのスーパーと比べてどこか明るい。
おそうざいコーナーには「写真を撮って家族に送って相談してね」とやさしく書いてある。レジの人も他のお店より明らかに元気で、「楽しく働いている感」が伝わってくる。
疲れたときに行くとちょっと元気が出る店。それが僕にとってのサミットだ。
金曜日の仕事後、いつもの習慣でサミットの公式アプリを開いた。土~月曜日のチラシをチェックするためだ。
裏面に気になるものを見つけた。
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調べると、どうやらサミットが主催するお祭りがあるという。(大宮八幡宮との共催)
サミットファンとして、これは行くしかあるまい!
大宮八幡宮へ!
当日、電車に乗りながらスマホでぽちぽちと検索する。ちょっと予習しよう。
「杉並花笠祭り」は、サミットが「地域の方々に日頃の感謝を伝える」ために始めたものだという。
感謝を伝えるために何をしようかと考えたとき
「山形のいも煮がうまかったから食べさせたい!」
「それなら山形の花笠祭りと組み合わせよう」
と意見が出て決まったとか。
食べ物がきっかけで始まったお祭りってのがスーパーらしくていい。
西永福町駅から歩くこと10分、立派な鳥居が目に入ってきた。到着だ。
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行列は何だろう。数十メートル辿ると――
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いきなりの山形に出会った。しかも無料!
いいんですかサミットさん。
いつもお世話になっているのに、ここまでしてもらっていいんですか。
と思いつつ、Uターンしていそいそと並んだ。
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いも煮に並んでます。
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僕「いも煮を欲してます」
25分後、ようやく約束の地にたどり着いた。
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用意されたベンチに座っていただきます。
自然と笑顔になった。いも煮は、想像の倍は満足できるものだった。
はじめて食べる巨大サイズの里いもがひたすらにやさしい。ネギと牛肉が汁にとけこみ、スープを引き立ててくれている。山形名物の玉こんにゃくが入っているのもうれしいところだ。
山形に初めて行ったとき、山寺で食べた玉こんにゃくがうまくてびっくりしたんだっけ。
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何より予想外だったのは、量がたっぷりあることだ。こういう無料のものって、たいていは量が少ないものだ。しかし、このいも煮には野菜と牛肉がこれでもかとごろごろ入っていた。
さすが、いも煮のためにお祭りを始めただけはある。サミットの本気を見た。
サミットの本気はこれからだった
サミットのおもてなしに、さっそく満足してしまった。
ただこれで帰るのはもったいない。もう少し歩いてみよう。
角を右に曲がると、もう一つの参道が現れた。
その先の光景に足が止まった。
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いも煮の行列よりも熱気がある。
人の流れに飛び込んでみると、その正体がわかった。
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チャリティーはいも煮だけではなかったのだ。
しかも、様々な企業がアベンジャーズのように集って提供を競っている。
ちなみに、「チャリティープレゼント」なので受け取るときに募金もできる。しかし、その募金は各企業ではなく社会福祉の団体に寄付されるという。
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ひたすら続くチャリティーの連なりに揺さぶられてフラフラしてきた。
「サービス精神王選手権」の会場はここですか。
そんな企業たちの姿を見て思ったことがある。
これ、「サミットカップ」と似てるな。
サミットカップとは、24のメーカーが自社製品を使ったレシピを提案し一番人気を決める、トーナメント形式のイベントだ。
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このイベント、サミットが謎に力を入れているのだ。
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見てほしいのが、参加者の肩書きだ。
エバラ食品工業株式会社 代表取締役社長 森村 剛士
理研ビタミン株式会社 代表取締役社長 山木 一彦
各会社の食品の仮装をしているのが、社長なのだ。
つまり、参加する24社すべての社長と調整し、衣装を決め撮影する手間を踏んでいることになる。
コメントも「シーソー(紫蘇)ゲーム」「負けてもへこタレないでくださいね」と異様な凝りようだ。
ポイントはまだある。対決時のコメントは対戦ごとに変わるので、
24(予選)+16(決勝1戦)+8+4+2…=54パターン
も考えることになる。
54個のダジャレを考える仕事、僕にも手伝わせてください。
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サミットが全力を尽くして企画を立ててやりぬく姿に、サミットカップと今日のお祭りが重なった。
そんなことを考えながら歩くと、競い合って出しているブースがお互いをたたえるような場所に見えてくる。
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まさかのVIP登場!
「まもなく花笠踊りがここを通ります!」
人をかき分けて歩いているとアナウンスが耳に入った。えっここ通るの。
そういえば、今回の「お祭り」のメインをすっかり忘れてた。いそいそと見やすそうな場所に移動する。
和楽器が鳴り出した。
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スタッフの方がくるくるとひもで通路を作っていく。
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そういえば、杉並花笠踊りでは会社ごとのグループで踊るとか。
だんだん列が近づいてきた。
最初に現れた団体は――
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サミット社員さん、いつもお世話になっております。この法被、どこで買えますか。
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男性陣を見ていると、一気に顔が熱くなった。
「えっ!!」と声が出た。
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ぴょんぴょん跳ねたくなるのをこらえてスマホをかまえた。
えー、ここを読んで多くの人は「なんで社長を知ってるの」と疑問だと思う。お答えします。カギは、またまた「サミットカップ」だ。
さっきの画像の下のほうをよく見てほしい。
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サミットカップには、「レフェリー」として社長が参加しているのだ。
サミットカップは7月から12月までの長いイベントだ。そして、広告には対決のたびに社長が映ることになる。
気づいたらすっかり姿を覚えていた。
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ちなみに、サミットの花笠踊りは一糸乱れぬというよりは人によって踊り具合が様々で味わい深かった。
社員がスーパーで踊るけど乗り具合が人によって全然違う「サミットファンの歌」みたいで、こういうのもいいものですね。
そのあとも列は続く。
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そういえば踊っている人たち、休日出勤のサラリーマンなんだよなとちょっと我に返った。
クライマックスへ
列がとぎれた。彼らはみんな、本堂のほうへ進んでいった。
ついていってみよう。
門をくぐる。
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花笠の赤とサミットの緑、そして空の青が混ざり、まるでこの世とは違った世界が生まれていた。
理由はうまく言葉にできないけど、ずっと見ていたい。そう思った。
太鼓の音が止んだ。踊りが終わる。
世界は現実に戻っていく。
お祭りのメインイベントも見られたし、そろそろ帰ろうかな。
後ろを振り向くと、
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どうやら、この境内ではゆるキャラの撮影会が行われているようだ。
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ふと遠くに目をやると、花笠踊りの参加者が記念撮影を始めていた。
手前にはゆるキャラを見て笑顔の子ども。
奥には踊りを終えて笑顔の大人たち。
平和って言葉は、こういう風景のことをいうのだろう。
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終わりに
時計を見ると、会場に来てから3時間もすぎていた。
サミットのお祭り、まさかここまでサービス精神旺盛だとは。
食べ物に踊りにゆるキャラにと、心も体もお腹いっぱいだ。
帰り道、通りの先に見覚えのあるロゴがあった。
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このお祭りは、サミットが「地域の方々に日頃の感謝を伝える」ために始めたという。
気持ちは嫌というほど伝わった。
ありがとう、サミット。
また、お店に行くね。
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