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短歌作品

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#連作

新幹線に乗りながらつくった歌

ぶち猫の夢を見たならぶち猫は夢見るぼくに夢みさせてる

セブンイレブン厳選むぎ茶おいしいね厳選すごい厳選こわい

心すら新幹線と等速で移動するけどさびしいのかなあ

たぶんあれ富士山だったんだろうけどまぁいっか茶畑がながれる

キックボードさばきの上手い駅前のおんなのこおとこのこ幸あれ

わたしのたばこが吸えないの、って意地悪な顔してほほえんでずるかった

京都駅大階段をみ

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吸わないけれど(2015年12月)

3年ぶりにメールを送ってきたひとの、枯木立がぎしぎし鳴っている

自転車の空気を入れて漕ぎ出すとけやき並木が明るんでいた

バイト帰りにお店の前でファミチキを食べる A very Merry Xmas!

噴水のたまたま止んでいる池に建物の灯りは落ちてから揺れる

河原町三条六曜社地下店の吸わないけれど好いマッチ箱

ステファンさんに渡邉と間違えられて渡邉として返すほほえみ

(初出:「塔」201

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春合宿吟行詠(2016.3.23)

ちょっとだけ運転手さんが怒ってる3月23日のバス

船岡山 京都の自然200選 200はガバガバすぎんよとおもう

 〈人間五十年 下天の内をくらぶれば 夢まぼろしの如くなり……〉

ずっとずっと滅んでいこう参道の手すりのペンキが遊具みたいだ

 今宮神社

あぶりもちりたかったけれど競合のお店のふたつとも定休日

 やくも食堂でオリオンビール(缶)をいただく

クソリプのように生きたい平日の

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スペシャルサンクス

どのかなしみも引き受けるからはつなつの回転寿司を食べにいこうよ

あれはかつての恋人の家 遠いほど細かくなっていく夜景光

あなたとの短い会話 ゆっくりと土の山をくずしている重機

電車での女子大生のおしゃべりの、そういう日々が薄明りだよ

夏の花、ぼくら許して許されてそしたら見にいこう、冬の花

見てきたことを話してほしい生まれ育った町でのイオンモールのことを

海岸のようにあなたは眠るからずっ

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ワールドイズファイン

常緑樹に降る雨の音を聞きながらコーヒーはひとりで淹れられる

噴水がきらきら喘ぐ 了解ですみたいなメールをたくさん送る

終電をみんなうつむきドアの開く寸前  ほんとうに音がない

母親が見かねてくれたマフラーをやんわりと巻いてバイトいってきます

右も左もクリスマスだね。見上げればサノバビッチのような星々

ワールドイズファイン、センキュー膜っぽい空気をゆけば休診日かよ

だらしなく降る雪たちに

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