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超久しぶりに読書を再開した私が選ぶ今年のベスト本2024

今年、私が読んだ本を数えてみた。
10月初めに図書館に通い出して、約3ヶ月の間に読んだのは14冊だった。

たったそれだけ、と思われるかもしれない。
けれども、社会人になってから仕事に関する参考書以外ほぼ目を通してこなかった私が、読書を趣味として再開すると決意してから本当に久しぶりに読んだと言える14冊だ。

時に図書館内をぐるぐるしながら吟味したり、時にほぼ直感的に選んだりして手にとった本は1冊1冊がとても読み応えがあり、もっと読みたいと思わせてくれた。

どれもまた読み直したいと思える素晴らしい本に出会えたのだが、その中から厳選して、私の印象に強く残った3冊をここでは紹介してみようと思う。

①西尾維新 著
《ウェルテルタウンでやすらかに》

久しぶりに本を読むからには、まずは続けることができるようにと、学生の頃にハマっていた著者を探してみることにした。
西尾維新さんの《戯言シリーズ》は何度読み直したことか。彼の言葉遣い、文章力はみるみるうちに引き込まれ、どんどん先の展開が気になって仕方ない、そんな気持ちにさせてくれたのを思い出したからだ。今でも《戯言シリーズ》は全巻自宅の本棚に並んでいる。
そんなわけで私は、著者以外の前情報無しに期待を込めて《ウェルテルタウンでやすらかに》を選んでみたってわけだ。

自殺という重いワードが主題だが、期待通りに登場人物は漏れなく全員キャラが濃いし、読み終わる最後まで先の展開が読めず、どうなっちゃうの!?これ本当にどう終わるの!?ってわくわくどきどきしながらあっという間に読み終えてしまった。さすがである。

登場人物たちのブラックユーモア溢れる掛け合いがとても面白い。


②くどうれいん 著
《虎のたましい人魚のなみだ》

この本を手に取ったきっかけは、失礼ながらもタイトルの読み間違えからだった。
「……虎のけたたましい人形の涙?」
一体全体どういう意味だと本棚から抜き出し、タイトルを二度見して、ようやく自分が読み間違えしたことに気づいた。
思わず片手で両目を覆い、天を仰ぐ。
疲れているのか、私は。
それにしてもタイトルに惹かれたのは事実だと、せっかくなので読んでみることにした。

この本は、営業職として働きながらエッセイを執筆という二足の草鞋生活、そして退職までの日々が綴られている。

仕事前に「九千万年です」で始まった接客を受けた彼女。一度は退店したにも関わらずATMに駆け込んでお店に引き返して購入するぐらいのとてつもない衝動があることを知り、私もそれに出会いたくなった。

そして、私の耳朶で輝いてくれる琥珀のピアスが欲しくなった。


③小手鞠るい 著
《今夜もそっとおやすみなさい》

日々の終わりに少しずつ読み進めるには、エッセイ集が向いているのかもしれないと思い始めた頃、目についた青色の背表紙。
タイトルを見てなんとなく夜眠りにつく前に読むにはぴったりなのではないかと選んだ1冊だったが、この予感は的中する。

長すぎず短すぎずの一編のボリューム。
時にはっとさせられるフレーズもあるが、終始小手鞠るいさんの優しく紡がれる言葉は、なんだか疲れを忘れ、心が安らかになっていく感覚があるのだ。

挿絵のように森での生活の写真が散りばめられているのだが、それにもまた癒され、そしてどんなものなのかと想像し、思わず笑みがこぼれていた。

この本を読み終わった時、あなたはきっとどこか安心して眠りにつくことができるだろう。

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