児童相談所とは?【初心者向け】相談する前に知っておきたいこと
1. 児童相談所(児相)とは?
児童相談所とは、子どもに関するあらゆる問題に対応する福祉の専門機関です。都道府県や政令指定都市によって設置され、困難を抱える子どもたちや家庭を支援しています。
児童相談所の主な仕事とは?
すべての子どもの権利を守るため、幅広い相談業務を行っています。虐待や育児放棄などの緊急性が高いケースでは、子どもを一時保護所やホームで保護することもあります。また、里親制度の推進や養子縁組に関する相談なども重要な業務の一つです。
専門職員が家庭を訪問し、保護者との面談を通じて適切な支援方法を検討します。必要に応じて、学校や警察などの関係機関と連携を取りながら、子どもの健全な成長をサポートしています。
児童相談所が対応する子どもの問題
虐待や非行、不登校など、子どもに関する様々な相談に対応しています。特に近年は、複雑な家庭環境による心理的な問題を抱える児童のケースが増加傾向にあります。
発達に関する相談も多く、専門的な知識を持つ心理司が適切な支援方法を提案します。また、医療機関との連携が必要なケースでは、スムーズな受診につなげる支援も行っています。
児童相談所の歴史と現状
1947年の児童福祉法制定を機に、各都道府県での設置が進められました。当初は戦後の混乱期における孤児や浮浪児の保護が主な役割でしたが、時代とともにその機能は大きく変化してきました。
現在は全国200か所以上の相談所が設置され、児童福祉司や児童心理司など、専門性の高い職員が支援にあたっています。ただし、相談件数の増加に対して人員体制が追いついていないという課題も指摘されています。
2. なぜ児童相談所に相談する必要があるの?
子どもたちの健やかな成長を守るためには、早期発見と適切な対応が不可欠です。児童相談所は、子どもたちの命と権利を守る重要な機関として、24時間365日体制で相談を受け付けています。些細な心配事でも、まずは相談することで、専門家からの適切なアドバイスを得ることができます。
身体的虐待のサインを見逃さないために
説明と一致しない怪我や、複数の傷が見られる場合は要注意です。特に、顔や首、お尻など、普段の生活では怪我をしにくい場所に傷がある時は、注意深く状況を確認する必要があります。
季節に合わない長袖の服を着続けたり、体育の着替えを極端に嫌がったりする様子が見られることがあります。これは傷を隠そうとする行動のサインかもしれません。
心理的虐待による子どもの心の傷
「どうせ私なんて...」「生きていても仕方ない」といった自己否定的な言葉を頻繁に口にする場合があります。また、大人の顔色を過度に伺ったり、些細なことでも必要以上に謝罪したりする傾向が見られます。
感情表現が乏しくなったり、逆に急な感情の起伏が激しくなったりすることもあります。友達との関わりを極端に避けたり、反対に攻撃的な行動が目立つようになったりすることも、心理的虐待のサインとして注意が必要です。
放置(ネグレクト)が子どもに与える影響
不適切な衣服や不衛生な身なり、また持続的な空腹感を訴えるなどの基本的なケアの不足が見られることがあります。宿題や提出物の提出がなく、保護者との連絡も取れないというケースも少なくありません。
年齢に不適切な家事や兄弟の世話を任されている場合もあります。また、夜遅くまで一人で外出していたり、不規則な生活リズムが続いていたりする様子が見られることもネグレクトのサインとして考えられます。
3. 児童相談所への相談の流れ
初めて相談する人が知っておくべき基礎知識
児童相談所(児相)は、18歳未満のお子さんに関するあらゆる相談に対応する専門機関です。虐待の通告だけでなく、子育ての悩みや非行、不登校など、さまざまな相談に応じています。相談は完全無料で、プライバシーは厳重に守られます。
匿名での相談も可能ですが、具体的な支援を受けるためには、実名での相談をお勧めします。緊急性の高いケースでは、24時間365日体制で対応していますので、深夜でもためらわずに連絡してください。
相談をスムーズに進めるための準備方法
相談をより効果的に進めるために、以下の準備をしておくと安心です。
お子さんの状況について、気になることをメモしておきましょう。いつ頃から、どんな様子が見られるのか、具体的なエピソードがあると相談員さんも理解しやすくなります。
学校や保育園での様子など、周囲の大人からの情報も可能な範囲でまとめておくと、より正確な状況把握につながります。
相談時には、お子さんの母子手帳や保険証があると便利です。すぐに提示を求められることは少ないですが、手元に用意しておくと安心です。
相談後に期待できるサポート内容とは?
児童相談所では、ケースに応じてさまざまな支援を提供しています。専門の児童福祉司による継続的な相談支援はもちろん、必要に応じて心理職による専門的なカウンセリングも受けられます。
また、一時保護所での一時的な保護や、専門機関との連携による治療的なケアなど、状況に応じた具体的な支援プランを提案してくれます。地域の子育て支援サービスの紹介や、関係機関との調整役としても機能しますので、一人で抱え込まずに相談してみましょう。
4. 児童相談所への相談でよくある質問
子育てや家庭での困りごとを抱えているとき、児童相談所(児相)への相談を考える方は多いのではないでしょうか。でも、実際に相談するとなると「こんなことを相談してもいいのかな」「誰かに知られたらどうしよう」など、様々な不安が出てくるものです。よくある質問について見てみましょうう。
相談は匿名でできる?
児童相談所では匿名での相談を受け付けています。初回の電話相談では、お名前を名乗る必要はありません。不安なことや心配事を気軽に相談できる体制が整っています。
ただし、具体的な支援が必要になった場合や、継続的な相談を希望される場合は、お名前や連絡先をお聞きすることがあります。これは、より適切な支援を提供するために必要な場合があるためです。
相談費用はかかる?
児童相談所での相談は、すべて無料で受けられます。電話相談はもちろん、来所による面談相談も一切費用はかかりません。
専門の児童福祉司や児童心理司による相談、助言も無料です。経済的な心配をすることなく、安心して相談することができます。
相談内容が外部に漏れることはある?
児童相談所の職員には、法律で守秘義務が定められています。相談内容は厳重に管理され、関係機関以外に漏れることはありません。
ただし、お子さんの安全を守るために必要な場合は、学校や保育所などの関係機関と情報共有をさせていただくことがあります。この場合も、必要最小限の情報共有にとどめ、プライバシーには最大限の配慮をしています。
5. 児童相談所と警察との違い
児童相談所(通称:児相)と警察は、子どもの安全を守るという共通の目的を持ちながら、それぞれ異なるアプローチで支援を行っています。児童相談所は福祉的な支援を主な役割とし、子どもの発達支援や家族関係の調整などを行います。一方、警察は犯罪の取り締まりや捜査、そして緊急時の保護を主な役割としています。
児童相談所と警察の連携
実は、児童相談所と警察は日頃から密接に情報共有を行っています。例えば、警察が虐待の通報を受けた際は児童相談所に連絡が入り、専門家による家庭訪問が行われます。また、深刻なケースでは、警察官が児童相談所の職員に同行することもあります。このような連携により、子どもの安全をより確実に守ることができているのです。
緊急性の高い場合は?
子どもの泣き声や悲鳴が聞こえる場合は、躊躇せずに110番通報をしましょう。警察には即時対応の権限があり、現場に急行することができます。
目の前で暴力が行われている場合も、まずは警察への通報が先決です。児童相談所では緊急時の現場対応が難しい場合があります。
生命の危険を感じるような状況では、警察と児童相談所の両方に連絡することをお勧めします。両機関が連携して対応することで、より迅速な保護が可能になります。
どちらに相談すべきか迷ったときの判断基準
子どもの発達の遅れや、不登校、家族関係の悩みなど、福祉的な支援が必要な場合は、まず児童相談所に相談するのが適切です。
近所の子どもの様子が気になる、といった見守りが必要なケースでは、児童相談所に情報提供することで、専門家による状況確認が可能です。
暴力や虐待が疑われる場合でも、緊急性が低いと判断される時は、児童相談所に相談することで、より専門的なアセスメントを受けることができます。
6. 児童相談所への相談をためらっているあなたへ
相談することへの抵抗感
児童相談所(児相)への相談を考えても、なかなか一歩を踏み出せない気持ちはよく分かります。多くの方が、まさに同じような気持ちを抱えています。「相談したら、すぐに子どもと引き離されてしまうのでは」「周囲の目が気になる」「自分が親として失格なのではないか」など、さまざまな不安が頭をよぎることでしょう。
特に多いのは、相談することで家族のことが近所に知られてしまうのではないかという心配です。実際に相談をためらっていた方々からも、このような声をよく耳にします。また、これまでの子育ての苦労を否定されたり、一方的に批判されたりするのではないかという恐れを持つ方も少なくありません。
相談することで何が変わるのか
児童相談所に相談することは、決して「子育ての敗北」ではありません。むしろ、より良い家族関係を築くための大切な第一歩となります。相談することで、以下のような変化が期待できます。
専門家と一緒に、具体的な解決方法を考えることができます。時には、私たちが気づかなかった視点からのアドバイスによって、状況が大きく改善することもあります。
同じような悩みを抱えている家族との出会いやつながりが生まれることもあります。実際に相談された方々からは「自分だけじゃないと分かって、少し心が軽くなった」という声も多く聞かれます。
子育ての不安や困りごとを、誰かに話すことができるだけでも、心理的な負担は軽くなります。話をすることで、自分の気持ちや状況を整理できることもあります。
相談者への支援
児童相談所では、相談者の状況に合わせて、さまざまな支援を提供しています。例えば、定期的な面談を通じて、子育ての悩みに寄り添いながら、具体的な対処方法をアドバイスします。また、必要に応じて、以下のような支援も行っています。
子育ての相談だけでなく、家族全体の生活環境の改善に向けた支援も行います。経済的な問題や住居の問題なども含めて、総合的なサポートを提供します。
一時的に育児に行き詰まった時には、ショートステイなどの短期預かりサービスを紹介することもできます。子育ての負担を一時的に軽減することで、心にゆとりを持つことができます。
必要に応じて、地域の子育て支援センターや、その他の専門機関と連携しながら、継続的なサポート体制を整えることもできます。
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