2024年にFF15をプレイする意味【FF15感想】
はじめに
タイトルの繰り返しになるが、今更FF15をプレイした。振り返りと頭の中の情報整理のため、感想を書いてみる。もう結構前のゲームになるのでネタバレ全開で行かせていただく。
Steamで販売されているWINDOWS EDITIONの本編+DLC(追加エピソード)をシナリオクリアまで、という程度。やり込み等には殆ど手を出していない。プレイ前の事前知識としてはストーリーのネタバレを軽く踏んだ程度で、ゲーム部分に関してはほぼ初見。ゲーム外のFF15関連コンテンツについては何も知らない。続く感想についても「筆者がプレイしたゲーム部分」のみからのものになるので、悪しからず。間違い等があれば素直にごめんなさい。
さて、なぜ今更FF15をプレイするに至ったかについてだが、これは「FF16と比較したかったから」という理由がある。
そもそもPS5を持っていないという理由に始まり、なんか吉田直樹の態度がデカくてむかついたので去年時点でFF16をプレイする気は全くと言って良いほど無かった。しかし1年も経つと人は変わるもので、まあPC版が来たらやっとこうかな…くらいの気持ちへと軟化していた。そう思うと続いて、折角ならクソほど叩かれていた前作についても知っておく必要があるのでは?あれからFFの方向性はどうなったんだ?と、昔steamセールで買って積んでいたFF15に手を付けたという経緯である。
全体的な感想
【評価:良寄り】
前評判を覆す程度には面白かった…のだが、叩かれる理由もわかるなあという作品だった。間違いなく良いところはあるのだが分かりやすくダメな部分の方が目立つ。
個人的には結構楽しんだのでクソゲーとは言いたくない。傑作になりそこねたゲームという感じ。いや、本当に傑作になれたかもしれなかったと思うのだ。まあなれなかった訳なのだが…
細かくは以下に続きを書くとして、通して思ったことは「散らかったゲーム」ということだ。テーブルの上に料理、料理になりかけたもの、料理の素材、ゴミが散らかっているようなイメージ。料理になっている部分は良いのだが他が駄目。シナリオもそうだがとにかく全体的にまとまりがない。何を体験させたかったゲームなのかは良く分からなかった。
シナリオ
【評価:不能】
神話から連なる舞台設定は凝っていて良質だが、シナリオは微妙。細かい部分に逐一突っ込んでいるとこの項目だけでとんでもない文字数になるのである程度ざっくり行くことにする。
まず大筋だが、あまり救いがない。(これは個人的にマイナスポイントではない)
かなり雑に要約すると「星を救うために神によって定められた人間2人が役割を全うして2人とも死ぬ」という話。すごい。神話から語られるタイプのシナリオによくある「傲慢な神を人間の手で成敗だ!」みたいなことは全くない。どこまでも人は神の道具であり、神の定めた運命に抗うことはできない。カタルシスも何もないので賛否…というか否の方が圧倒的な気がするが、評価はかなり割れるシナリオだろう。
「神に言われた運命に従って役割こなして死ぬしかない」というどうしようもなさは斬新でいいと思う。ファンタジーものでラスボスチックに神が出てきても大体「ああこいつ倒して終わりなのね」みたいな気持ちになるから。
正直全体的な説明不足感も否めず正当に評価することが困難。DLCまでやってもいまいちすっきりしない。マルチメディアに展開された関連作品すべてを追い切れば全貌が明らかになるのかもしれないが…
FF15の問題点はシナリオ部分が大半を占めている。神話の続きがやりたいのか、ノクトの成長物語がやりたいのか、4人のおもしろ珍道中がやりたいのか、何もわからない。このまとまりの無さ、素人目に見てもシナリオ関連で何か問題が起こったことを察せる出来である。ベース部分(世界設定)と本編シナリオの温度差がありすぎて明らかにおかしい。そもそもタイトルも変わってるし
キャラクター
【評価:主要キャラはそこそこ、他は×】
ホモ臭いとか何とか言われていた気がするが思ったより気にはならなかった。むしろ20代前半の男4人なんてこんなもんだよな、的な納得感の方が強い。とはいえ男オタクにはウケないやりとりというか、そういう空気感であることには違いないので嫌われている理由も納得できた。
ちなみにノクト一行とアーデン以外は特に深掘りされることもなく話が進んでいくので特に語ることがない。ヒロインに始まり、敵国の将軍だの准将だの、果てには皇帝すらもメインの話には大して絡んでこないので考えなくて良いと思うことにした。
・ノクト
かわいそう。神の犠牲者。
主人公であり王子だが、その辺にいる若い兄ちゃん的な印象。釣りが趣味なのはかわいいね。
真の王になることを運命づけられており、中盤あたりでは覚悟が決まらずゴリラに怒られたりする。最終盤で「王になる=ルシスの王になる」かと思ったら「星を救うための生贄になる」ってことでした~!という真実が明かされる。何が王やねん仲間との旅以外にいい思いをしていないのでひたすらにかわいそう。FF主人公の中で一番幸せになってないと思う。
・グラディオラス
ヒステリックバカゴリラ。褒めるところが見つからない。この描写でゴーサイン出した奴はこいつが嫌いか興味がないかの2択。ノクトに対しての関係性としてはイグニスは兄、プロンプトが友-弟のような感じだと思うのだがじゃあこいつは何なんだ?男らしいのは見た目だけで中身は親戚のヒスババア。怒りのボルテージも突如MAXになるのでなんやねんお前…という気持ちにしかならない。
途中で「強くなりたい…」みたいなことを言いながら一時離脱。帰ってきても特別強くなってる感じがなかったので意味不明だった。
・イグニス
料理もできる、参謀もできる、ビキビキビキニ123。
基本冷静なまとめ役といったところだが大規模な戦闘で失明する。DLCで何があったか語られるが本編中ではマジで大規模な戦闘の一言で片付けられる。ゴリラがヒスり始める原因の一つ。その後も失明してる割にはキビキビ動いているので謎。
・プロンプト
ちょっとバカっぽいムードメーカー。写真を撮ってくれる。ゴリラとイグニスは王国関係者だが彼のみ一般人。
終盤に差し掛かったあたりで列車から落ちて消息不明になる。その後最終盤で復帰し、敵国の人間だったことが判明するがストーリーへの影響はあまりない。
・アーデン
かわいそう。神の犠牲者。
本作のラスボスであり、藤原啓治の声がマッチしていて魅力的。
本名はアーデン・ルシス・チェラム、つまりルシス王家の人間であるという魅力的なバックボーンを持ちながらも本編中では行動の動機などがぼんやりしたまま終わっていく悲しき男。真の王になったノクトを倒したい、それ以外確かな思いがない。詳細はエピソードアーデンへ…じゃねえんだよ本編でやれ。
・六神
FF恒例の召喚獣だが、今作では神になっている。
星の病を消すためにノクトには協力してくれるが、基本的に人間に対しての態度はでかく愛情のようなものは無い。特に人間視点だとバハムートは紛うことなきカスなのだが、このくらい人間に対して傲慢な方が神話的リアルがあっていいとは思う。FF13が運命に反逆する話であったのに対し、FF15は神に従って運命を受け入れる-向き合う話というのが特徴だと思っていて、「従うしかない力」としての描写は完璧。
だが、プレイヤーは人間視点でシナリオを見ているはずなのでバハムートをしばきたいという気持ちの方が強くなると思う。結局しばけないのだが…
グラフィック・ロケーション
【評価:良】
グラフィックは現在のタイトル等と比べても遜色なくかなり良い。飯がうまそうなのもプラスポイント。
個人的に評価したいのはロケーション。作り込みは勿論なのだがファンタジー的フィールドと現代・未来的な街が同居しているキモさ(褒め言葉)がかなりFFらしくて好き。過去作で言うとFF8に近い。FFは王道ファンタジーではなく、ぐちゃぐちゃのごった煮ファンタジー的世界観で出来ていると思っているので、その遺伝子がしっかり受け継がれていると感じられるポイントだと思う。
しかし立ち寄れる街そのものが少ないという問題は無視できない。敵国の帝都には行かない。テネブラエには寄らねえので何もわからない。母国はボコボコにされているので壊滅後の部分しか見られないうえ、夜固定。うーん…
オープンワールド部分
【評価:微妙】
旅、旅行感は非常に良いが、ゲーム開始後まもなく母国が爆発するので、お前らこんなにのんびり遊んでていいのか?という感情を無視しなければならなし。それさえ割り切れればそこそこ楽しく世界を駆け巡れる。とはいえ別に高クオリティのオープンワールドかと言われれば間違いなくNO。そんなに自由度が高いわけでもない。アイテムを拾う、人に話しかける等のアクション全般のレスポンスが悪くイライラするポイントもある。まあ、景色はいいので…
ほぼ常に仲間が付いてくるオープンワールドというのはちょっと新鮮で、みんな適度に喋ってくれるので寂しさがなくて良い。
過去作の音楽聴きながらドライブできるのが一番のウリだよと昔言われたが、プレイした後でもこの評価には頷ける。
音楽
【評価:超良】
欠点が目立つ作品だが音楽はガチ。フィールドで時々流れてくる曲とリヴァイアサン戦が特にお気に入り。
戦闘
【評価:良寄り】
やりこみ部分は語れないがシナリオ完走程度ならそこまで詰まるようなゲーム性ではない。思っていたよりも爽快感があって楽しめた。シフトブレイク・マップシフトが楽しい。非戦闘時でもマップシフトできたらよかった気がするが、仲間を連れて歩いているので難しいのだろう。ファントムソード展開時は無双感もあって良い。イベントバトル的ではあるがリヴァイアサン戦は間違いなく面白かった。
不満点は魔法使用が面倒なところ、敵のモーションがかなりわかりにくいところ。
写真システム
【評価:最高】
たかがシステム1つに項目を作るなと言われそうだが本作で一番良いと感じたところがこれ。1日の終わりにプロンプトが撮ってきた写真を眺めて気に入ったものを保存できる…という単純なシステムだが、割といい写真を撮ってくれるので侮れない。選んでいる最中は仲間がちょこちょこコメントもくれる。
結局、このゲームのオープンワールド部分が何だったのかといえば「ノクトが死ぬ前の思い出作り」的な面が大きいと思うのだ。そして最後、旅の思い出の大切な1枚を持ってノクトは死にに行く…誰が何と言おうとここの流れは評価したい。
DLC(追加エピソード)
【評価:ゴリラの話以外は良】
全部最初から本編に入れとけ!
本編でやたら唐突にPARTY OUTする仲間たちが何をしていたのかわかるという内容になっている。マジで最初から本編に入れとけ。本編に必要な情報を後出しにするな。
DLCのクオリティは後発のものになるほど良くなっているという印象を受ける。もう何本かあったらしいが開発中止になったためアーデン編で終了。全DLCが作り切られていればまた違う評価ができたのかもしれない。
・エピソード・グラディオラス
これいる?
力が欲しいとか言って出て行ったゴリラだが別に大したことしてなかった。これをやったからといってこいつへの印象が良くなる訳でもないので正直存在意義がよくわからないエピソード。敵倒して進むだけなのでゲーム的に特殊な面白みがあるわけではない。
・エピソード・プロンプト
結構面白い。プロンプトが敵国の人間でした、という話は本編でもちらっと出てくるのだが、真実は思っていたよりも重い。本編のプロンプトは軽いノリの側面しか見せてくれないため新鮮味もあり、キャラ造形の深堀りにつながっている。パーティ復帰後のノクトのセリフも染み渡る。
ゲーム部分は本編とはうって変わってステルス&ガンシューティング気味に。パッドでシューティングした経験がほとんどなかったのでAIMがブレブレで割と苦労した。
アラネアの出番が多いのもポイント。
・エピソード・イグニス
失明の経緯は勿論IFルートまで用意されている特別仕様。ずるいぞ。
イグニスはDLCでかなり好感度が上がった。ノクトの兄貴はイグニスで決まり。先にノクトが王になることの真実を知ってしまうので旅はここまでにしないか?というひとことが悲しみに満ちている。
IFルートはよかったね…と思っているがそれはそれとしてどうやってノクトを死なせずに星の病を払ったのか説明しろ。
ゲーム部分も割と面白い。ただ、フックショットでめちゃくちゃ街を駆け巡れると思ったら割と早めに没収されてしょんぼりしたのでちょっと残念。
・エピソード・アーデン
ソムヌスとかいううんこ野郎とバハムートとかいううんこ神の犠牲になった悲しき男、アーデンのお話。
シナリオで語られる部分だとソムヌスがひたすらにクソ。最初の頃はアーデンの主観だから露悪的に描かれているのか…?とも思ったが、ラストバトルの時ですら俺兄上に嫉妬しちゃってたかも…みたいなことをボヤきながらアーデンを殺しに来るので印象が変わることはない。
ここまでソムヌスをボコボコに言っているが、最後の最後で結局全部バハムートの掌の上の物語でした〜をやられるので本当に悲しいだけの存在と化す。星の犠牲のために産まれてきました、ただそれだけ。
最後の選択肢にもよるがこのエピソードをやっておくと本編のラストも結構エモになる。というかこれをやって初めて本編のアーデンの目的がわかる。はぁ…
DLCで一番ゲーム部分が面白かったのは間違いなくこれ。操作キャラとしてはノクト以上に爽快感たっぷりのアクションを味わえる。また、昼のインソムニアを歩けるのがここだけなのでその点だけでも+10000億ポイント。
ただ、ここのインソムニア襲撃って本編で何か匂わせあったか…?と思いながらやっていた。あったっけ…?
というか、そもそも作り込みからして全体的に力の入り方が全然違うのでどうした…?という気持ちになっていた。ゴリラの話の100倍くらいのパワーで作られている気がする。
おわりに
僕個人としてはそこそこ楽しめたタイトルだが、FFのネームバリューを終焉に向かわせた一作だと断言できる。正直言ってフルプライスでは買いたくない。だって未完成品だもん、これ…
ぶっちゃけヴェルサス13とは別物になっていると思うので、元々のプロットだけでも発表してほしいな。
(色んな意味で)プレイして良かったと思っているし、FF15を踏まえてFF16がどうなったのか、それを確かめるのは俄然楽しみになった。オープンワールドの系譜としてはFF7Rebirthも気になるところ。PC版の発売をお待ちしております。
最後に。
僕が最近やったFFの中で一番面白かったのは間違いなく「STRANGER OF PARADISE FINAL FANTASY ORIGIN」なのでみんなもプレイしよう。