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【WS開催レポート】新規事業開発の新潮流 ―「新規事業2.0」が目指す組織と価値の創造
2025年2月5日、アウトレは新規事業開発をテーマとしたワークショップ「新規事業2.0 〜VUCA時代の新規事業開発のミッションとは?〜」を開催しました。本イベントでは、弊社代表の小林が講師を務め、様々な業界からの参加者とともに、これからの新規事業開発の在り方について議論を深めました。
新規事業開発の現状を考える
産業構造の変化と新規事業開発の必要性
冒頭、小林は現代の産業構造の変化について言及しました。特に印象的だったのは、調剤薬局業界の例です。「調剤薬局は医療と密接に関わっているものの、実は株式会社や有限会社として運営されている民間企業です。医療費の点数制度の変更や高齢化の進展により、従来のビジネスモデルの転換を迫られています」と説明。実際に多くの調剤薬局がオンライン服薬指導などの新規事業に取り組み始めている事例を紹介しました。
新規事業開発における三つの壁
続いて多くの企業が直面している新規事業開発の課題について解説しました。特に以下の「三つの壁」が、新規事業担当者たちを悩ませているとのことです:
会社の方向性との整合性
会社が求めていることと、実際に取り組もうとしている事業との間にギャップがある
判断基準が明確でないため、プロジェクトの評価が難しい
既存事業部門との関係
既存事業の売上規模と比較され、初期段階での評価が厳しい
リソース配分を巡って軋轢が生じやすい
担当者の孤立
社内で同じ文脈で会話できる相手が少ない
新規事業特有の課題を相談できる相手がいない
この説明を受け、小林は参加者に「皆さんの経験では、これら以外にどのような課題を感じているか」と問いかけました。参加者からは、以下のような課題が提起されました。
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「数字だけでは測れない価値をどう評価するかが課題です。例えば、オウンドメディアの制作など、直接的な収益には結びつかなくても、会社にとって重要な価値を生む事業があります。しかし、既存の評価制度ではそういった価値が適切に評価されにくい」
また、別の参加者からは「新規事業を担当する人材の評価も課題です。通常の人事評価制度では、新規事業特有の試行錯誤や、失敗から学ぶプロセスが適切に評価されないため、優秀な人材が外部に流出してしまうケースも少なくありません」という指摘がありました。
「新規事業2.0」という新しい視座
1.0から2.0への転換点
これらの課題を踏まえ、小林は「新規事業1.0から2.0への転換点に私たちは立っている」と指摘。その背景として、マーケティングの1.0から3.0への変遷を例に挙げ、時代や環境の変化に応じて、新規事業開発の在り方も進化していく必要性を説明しました。
「新規事業1.0から2.0への変化として、どのような要素が考えられるか」という問いかけに対し、参加者を交えたディスカッションでは、様々な視点が提示されました:
オープン化の促進
「社内リソースだけにこだわらず、外部との協業を積極的に検討すべき」
「競合と見なしていた相手とも、Win-Winの関係を築ける可能性がある」
評価軸の多様化
「収益性だけでなく、社会課題解決への貢献度も評価軸に」
「人材育成や組織活性化の観点からの評価も必要」
市場アプローチの変化
「より広い市場定義と、きめ細かいセグメンテーションの両立」
「若い世代の価値観を積極的に取り入れる必要性」
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組織文化の形成という視点
小林は新規事業2.0における重要な要素として、組織文化の形成を強調しました。特に注目を集めたのが「2-6-2の法則」の活用です。
「組織の中で、新しいことに積極的に取り組む上位2割の人材を活用し、中間層の6割への適切なアプローチを行うことで、組織全体の変革を促すことができます。ただし、重要なのは、この上位2割は必ずしも役職や年次と相関しないということです」
さらに、「企業文化は多数決で決まる」という興味深い視点も提示されました。例えば、100人の会社であれば、たとえカリスマ的な経営者がいたとしても、その一人の影響力には限界があり、むしろ日々の業務で関わる同僚たちの行動や価値観の方が、企業文化の形成により大きな影響を与えるという考え方です。
この点について、ある参加者からは「その通りだと思います。私の会社でも、トップダウンで新しい取り組みを始めても、現場レベルで受け入れられないと定着しないケースをよく見てきました」という共感の声が上がりました。
らしさの定義と共有
小林は新規事業2.0を実践する上で重要なステップとして、以下の3点を挙げました:
小さな成功事例の創出
自社らしさの定義と共有
それを支える制度・仕組みの構築
特に「自社らしさの定義」については、「これは一度決めたら終わりではなく、時代や状況に応じて更新していくべきもの」と説明。参加者からは「うちの会社でも社員全員で価値観を議論する機会を設けているが、若手社員の意見が既存の価値観を見直すきっかけになることがある」といった具体例も共有されました。
より実践的な取り組みへ
評価軸の設定と共有
小林は新規事業2.0の実践において、具体的な評価軸の設定が重要だと指摘します。その例として、ある企業の事例を紹介しました。
「この会社では、新規事業の評価基準として『刺さる』という言葉を定義し、全社で共有しています。これは単なるブランディングのためではなく、社員が新規事業に取り組む際の判断軸として機能しています。何をもって『良い』とするのか、という基準を全員が理解していることで、個々の判断や行動がぶれにくくなるのです」
三つのステップによる展開
新規事業2.0の実装に向けて、小林は以下の三つのステップを提示。これらは必ずしもこの順番で進める必要はなく、会社の状況に応じて柔軟に組み合わせることができると説明しました:
小さな成功事例の創出
新しい取り組みの価値を示す
組織内での理解を促進する
次のチャレンジへの布石とする
自社らしさの定義と共有
会社として大切にする価値観の明確化
判断基準としての活用
定期的な見直しと更新
制度・仕組みの構築
評価制度の整備
人材育成プログラムの確立
組織横断的な取り組みの支援
参加者からは「具体的にどのような順序で進めていけばよいか」という質問が投げかけられ、小林からは「会社によって最適な進め方は異なります。例えば、トップダウン型の会社であれば、まず制度から整備する方が良い場合もありますし、ボトムアップ型の組織であれば、小さな成功事例から始めることをお勧めします」と回答しました。
まとめ:新規事業開発の未来に向けて
本イベントの最後に、小林は新規事業開発の未来像について言及しました。
「新規事業2.0とは、単なるプロジェクトマネジメントの枠を超えて、組織文化の形成や社会的価値の創造と密接に結びついた取り組みです。重要なのは、この変化を一時的なトレンドとしてではなく、組織の持続的な成長のための本質的な変革として捉えることです」
参加者からは「具体的な実装に向けての示唆が得られた」「自社の課題に対する新しい視点を得ることができた」といった前向きな感想が多く寄せられました。
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■今後の展開について
アウトレでは、新規事業開発に関心をお持ちの方々が集まり、知見を共有できる場として、定期的な交流会も開催していく予定です。ご興味のある方はぜひこちらのオープンチャットにご参加ください。
オープンチャット「新規事業開発ならアウトレ」
■アウトレのご紹介
アウトレは、「人を、企業を、成長させる」をミッションとする新規事業開発プログラムです。ご興味をいただけた方は、ぜひこちらもご覧ください。
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