消化できない、言葉にもできてない気持ちに寄り添って慰めてくれる本
泣きたい夜の甘味処 中山有香里 (著)
あらすじ
この本を読もうと思ったきっかけ
現在、KindleUnlimitedに入っています。(2023.3.現在)
軽くて優しい本を読みたいと思っていたところ、こちらに出会いました。
何より、表紙のドーナツがおいしそう。
昔ながらの手作りドーナツ🍩
高校の売店に売っていたドーナツを思い出しました。
卵の味を感じる素朴なドーナツ。
イラストの色合いも優しい。
また、あらすじにも「疲れて泣きたい人々」のお話とあったので、癒されるかもしれないと思って手に取りました(電子書籍ですが)
好きな場面、好きなセリフ
メインで第三章(第三夜と表記されている)あって、それぞれにアナザーストーリーもあるので、お話で出てくる脇の登場人物が主役になって、その時の心情が読めたりします。
ある人の話では、ちょっと一コマで出てくるあの人が今度は主人公、のような感じで。(基本的には一話完結です)
それがまた、「ああ、誰しも真摯に生きてて、疲れて自分が嫌いになるときもあって、でもそんな気持ちが消化しきれなくて泣きたくなる日があるんだ」と感じられる。
そんな優しい人ばかりじゃないとも、ひねくれた私は思うんですが、でも皆同じ思いになれるという、同じ世の中に生きる共同体としての安心というか愛しさみたいなもの感じられるお話でした。
店主兼甘いものを作る人が熊で、接客担当が鮭という、そもそも食う食われる関係性を思うとかなりシュールな2人(?)なんですが、このコンビがまたいいのです。
暖かいもの、そして甘いものってなんでホッとさせてくれるんでしょうね。
(いや、人によるかもしれませんが)
本当にしんどいときでも、温かい飲み物を飲むとホッとします。
熊は寡黙で口下手のようですが、そんなホッと安心できる一品を作ってくれます。そして、鮭はその一品を進める際に、また暖かくて優しい言葉をかけてくれる。
また恩着せがましかったり、負担にならない差し出し方なんですよね、熊も鮭も。こんなお店があれば、一人で店に入るのが緊張して難しい私でも、
きっと入れるし、なんだったら通ってしまうと思います^^
このお話の中から一番好きなものを選ぶのは難しい。どのお話も主人公の気持ちになって読んでいくと、胸がじんわりして涙がにじんでくる。
それでも、今の自分に一番重なってしまったのが、
「会社を辞めたOLさんといちご大福」です。
主人公であるOLの彼女が、退職日の帰りにふらりと寄った甘味処で出されたいちご大福を噛みしめながら、その日を振り返った際の気持ちです。
わかる…この不安な気持ち。納得して辞めるって決めても、自由への不安
はどこまででも続く深いものに感じる。
こんなに孤独な気持ちになっているときに、部屋でひとりでいるのは本当にさみしく終わりのない夜を感じるでしょう。
OLさんはふと、店の中に飾られた桜の花に気づきます。
それを見た鮭さんが、とても素敵なことを言うのです。
彼女はその言葉に何を感じたでしょうか。
残りのいちご大福を勢いよく食べ終わった彼女が、店を出たときに見せた
表情はすがすがしいものがありました。
最後に彼女が思ったこと。
是非実際に読んでいただきたいです。
多分、不安でしょうがないから次に進もうか(離れようか)、
でも進むこと(離れること)も不安っていう板挟みにあっている人たちへの
お守りになるような気持ちです。
「まずは自分を大切に」
なかなか難しいんですけど、苦しかったり不安だったりで苦しい、
でもそこから次へ進もうと思うのって、そもそも自分を大切にしようと
思ったからです。
今だって、私も「もっと頑張れたところがあるんじゃないか?甘えだった?」とふと思うことはあります。
でも、何度振り返ってもその先に心から笑えてる自分が想像できなかった、だから辞めたんだなって思い出しています。
そして、こうならない選択はどうしたら選び取っていけるのか…真剣に考えていますがすごく時間もかかるし、ただ座って考えをめぐらして向き合っていても使うエネルギー量は、想像以上に大きいです。
私は世間でいう「アラフォー」なので、現実的な就職活動って色々と難しいでしょうし(何を難しいと考えるかによりますけど)、私がどれほど今まで何十年と自分をないがしろにして我慢して頑張ってきたんだって気づいて取り戻すのに時間が欲しいと思っても、「就活は時間が勝負!!!」っていう世の中の声も大きいです。
はっきり言って、どれだけ甘ちゃんがって思われても、周囲の煽りによる焦燥感、それに伴う不安感は本当に疲弊させられます。
別に会社員として働く選択肢を完全無視してるわけではないので、優位な状況で得られるかもしれない選択肢を失うことに自分も飲み込めきれないから焦燥感を持ってしまう、というのもわかっています。
周囲の煽りも「こっちは現実を言ってるだけ」でしょうし、それを聞くのか聞かないのかって決めるのは自分ですから。
でもすぐに割り切れないのが人間では?とも思います(開き直り)。
「この時期を過ぎるともうダメ? この年齢ではダメ? この性別ではダメ?」と同時に「ちょっと待って。息を整えさせて、ペースが遅いって言われても、今の私には早すぎて頭が混乱して目も回ってる」って感じです。
私としては、生活できるためのお金は最低限必要でも、
自分を殺すような働き方、
「与えられたタスクをいかにストレス感知する前に効率よく早く終わらせてしまうか」に注力しすぎる毎日は送りたくはない。
(その仕事を受け取る人の為とか、お客さんのためを思ってとか、「効率重視」が悪いわけではないです)
没頭するものは、今の自分の先の自分も殺さないものがいい、と思っています。
甘ちゃん甘ちゃんとか厳しい言葉使いすぎましたね。
ここでは、なるべく優しい言葉を使うように気を付けてるのですが^^;
きれいごとって言われるものって、でも理想ですよね。
理想がないと改善はできない。しょうがないっていうのは時に救う言葉にはなりますが、絶望に近い言葉です(私にとっては)
できることを少しずつ、結果重視ばかりせず、自分が少しでも「面白そう」
「やってみようかな」って思えるものを、その時、その時、無視せず拾って、蟻の一歩だとしても行動に移したいと思いました。
そんな気持ちに何度も降り返させてもらえるお話ばかりでした^^
読んでほしい人、おすすめしたい人
読んでほしい人、おすすめしたい人は、
①今の仕事に少し疲れた人
②仕事で失敗して、自責が止まらない人
③HSP気質の人
④自分を見つめ直す時間が最近取れてないと感じる人
⑤泣くきっかけを無意識に探している人
⑥何も考えたくない人 etc.
ですかね…。独断と偏見ですが^^;
特に、最近自分の感情の蓋を閉じっぱなしで泣けてない人は、読んでみて
欲しいかもしれません。
じんわり来たら、そのまま泣いてしまってください。
きっとスッキリします。
涙にはストレスを解消する成分があるとも聞きます。
難しいと言われても、優しい人、頑張っている皆さんが、幸せを感じる、
穏やかで健やかな気持ちで過ごせる日々が一日でも多くあってほしいと
本気で思います。
頑張ってるって言っても力んでいることではななく、
ただ生きてるだけで十分頑張ってるという意味です。
作者の方への気持ち
中山有香里様、こんな素敵なコミックエッセイを描いて世におくりだして
頂きありがとうございます。
そして、拙い文で勝手に紹介してしまい申し訳ありません…。
この本に、このお話に出会えたことを心から感謝いたします。
変なことを言うかもしれませんが、この本が多くの方が読んでおられることに、私は嬉しい気持ちです。
みんなが、同じように悩んで泣いて、前を向きたい、優しい気持ちに触れたいと願ってるんだろうなって思うからでしょうか。
これからのご活躍も、遠くからではありますがずっと願っております!^^
最後に
すみません、勝手に作者様へのお手紙みたいな内容挟んでしまいました^^;
でも、何かの折に、このネットの海の中で小瓶に入れて流すようなものでも、気持ちを伝えておくことは大事かなと思いまして。
私、最近本を読んでいて、凝り固まった感情や感覚がほぐれつつあるのか、
エッセイでも小説でも、自己啓発書でもなんでも読んで感激することがあった際、「作者の方にお礼の手紙を書こう!」と思い立つことが増えまして、
まだどなたにも送ってないんですけど、時間を作ってせっせと送りたいなと思っています。
「推しは推せるときに推せ!」って色んな人が言いますし。
途中、私の不安な感情の吐露になる部分もありましたが、この本は本当に素敵な本だと思うので、私がおすすめする人とかに該当しないな~って思った人でも気になったら手に取ってみてほしいと思います。
ここまで、根気よく付き合ってくださった皆さん、ありがとうございます!
次回もなるべく早く発信したいと思っているので(気負い過ぎない程度に早く、ですけど^^;)、また読んでいただけると嬉しいです!
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