ミックスってどうやったらいいの① (2024.4.25改稿)

※読み返したら誤解しか生まなそうな
 文章になってたので修正させていただきました。
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作編曲に重きを置いているDTMerなら
「これが主軸じゃないんだけどな……」と言いたくなる。
それがミキシング、いわゆるミックスというやつです。

その道のプロに君臨している“エンジニア”さん達には
どうあがいても届かないことをわかった上で
それでも自分なりに高めていかねばならない技術
(しかも奥が深すぎて泥沼に陥りやすい分野)なので、
中にはあまり勉強したくない方もいらっしゃることでしょう。

でも悲しいかな、ミックスが一定の水準に達していないことには
そもそも楽曲を最後まで聴いてもらえなかったりするのが現実。
その意味では、作編曲と同じくらい重要なスキルともいえますので、
本記事以降においては、私がさんざん練習してきて得られた成果を
包み隠さずに共有してまいります。
今回は①と題して、パンについて掘り下げていこうかなと。

■パンニング

パンニングって基本のはずなんですけどメチャクチャ大事です。
「なんか物足りないんだよな……」と自作品の仕上がりに
イマイチ納得がいっていないかた。
原因はここにあることが多いのでどうか甘く見なることなかれ。

一般的に、音源ってステレオ状態で使用するかたちになりますよね。
でもいざデフォルトのセンターで鳴らしてみたときに、
6:4で左の波形のほうが強い(音が大きい)、みたいなことって
往々にしてあるじゃないですか。

とりわけ、全体うち7割の音程は普通にセンターで鳴ってくれるのに
一部の音程だけがそんな感じで偏ってしまっているパターンの音源。
これ、「まあいいか」で放置するとあとあと問題が起こります。

一つは、その“強い波形のところ”以外のニュアンスが
相対的に死ぬ点。音源のパンに謎のギャップが生じていると、
コンプレッサーのスレッショルドが正常に機能しなかったり
EQにしろリバーブにしろ不自然に掛かる嫌いがあるので、
四苦八苦しても結局オケに馴染んでくれず、
存在意義の問われるようなパートが出来上がりかねません。
せっかく作業したのに、そうなってしまったら悲しいですよね。

もう一つは“強い波形のところ”自体が悪い意味で浮く点。
一番厄介な例は、バイオリンソロ音源とかで、
レガートしてるのにパンが変なせいで
全然滑らかに聴こえない演奏になってしまうケース。
これでは本末転倒なのに、なぜか高い音源でもよくあるんですよ……。

上記の問題を解決する方法はいくつかあります。

・いっそ一度モノラル化し、改めてパンを振る
・オートメーションで泥臭く、該当音程だけ修正する
・帯域別にかけられるプラグインを導入する

一番上は、ステレオ前提で収録されている音源を
強制的に一音にまとめてしまうので“良い音感”は消失します。
でも内声やらせてるパートとかであれば意外と効果的ですよ。
もちろんモノラル化のあとにリバーブとかを入れて
Widthを調整するのも有効な手段です。

※余談ですが、むかし音楽仲間にこの話をしたら
 「は? 何いってんのこいつ」って顔で見られました……。

中段は地道ですが、確実に違和感を緩和できます。
ただし三個目のプラグイン導入と比べてしまうと
根本的な治療にはなりません。逆にいえばそれだけ
“帯域別にかけられるプラグイン”が優秀ともいえますね。

その手のプラグインを導入した場合、たとえば
「1000Hz以下の周波数以下はそのまま」
「1001Hz以上の周波数だけパンニングする」
このような具合の処理ができるようになります。

結果として帯域レベルで“強い波形のところ”だけ
的確にパンをいじることができるんですね。
これなら音の全体に加工をいれるわけではないので
“良い音感”を完全に失わずに済みますし
より自然な響きを保ったパンニングが可能になります。

さて、ではそのプラグインとは何を指しているのか。
たぶん現時点でこれしかないんじゃないかと思いますが
それはずばりBoz Digital Labsから出ている“Pan Knob”です。
これ使い始めてから、私は長年の悩みが解決しました。
気になるかたはぜひ調べてみてくださいね。

※ところで、個人的にBoz Digital Labsは本当に
 クリエイターのことを考えた商品を出していると感じます。
 他のプラグインも優秀なので要チェック。

音源のパン問題を解決できましたら、
以降のミックスが格段によくなります。
次回の記事では、より具体的なお話をしていきましょう。

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