【覚えておこう】社員のエンゲージメントを上げるための10の施策リスト
組織の『エンゲージメント』を高めることは、生産性にも寄与し業績に与える影響が大きいことが、英国の調査会社タワーズワトソンなど各種の調査で明らかにされています。(参考 https://www.adeccogroup.jp/power-of-work/027 )
ここでは、エンゲージメントそのものに関する理解を深めつつ、社員のエンゲージメントを高めるための施策を紹介したいと思います。
エンゲージメントはモチベーションと何が違う?
最近、ビジネス書やメディアなどで「エンゲージメント」という文字を目にすることが増えてきました。似たような文脈で「モチベーション」という言葉も使われがちですが、そもそも「エンゲージメント」と「モチベーション」は意味するところが違います。
ロッシェル・カップ著『日本企業の社員は、なぜこんなにもモチベーションが低いのか?』(2015年・クロスメディア・パブリッシング)を参考に、「エンゲージメント」と「モチベーション」について比較してみていきましょう。
まず、モチベーションとは、人が何かをするときの動機づけや目的意識、やる気そのものをさしています。モチベーションの向上に対するアクションとしては、アメリカの心理学者、マズローが提唱する「欲求5段階説」が有名でしょう。
第1階層は、食や睡眠などに関する本能的な「生理的欲求」。第2には、健康や居住についての「安全欲求」。第3に集団に所属することを求める「社会的欲求」、第4に「承認欲求」と続き、第5階層が創造的活動を求める「自己実現欲求」となっています。
会社においても、従業員ごとに欲求の段階が異なっていますので、それぞれの従業員にあわせて必要なアクションも変わってきます。
しかしながら、それぞれの従業員がどのような欲求の段階にいるのか、モチベーションの有無を把握することは簡単ではありません。それを測るための鍵となるのがエンゲージメントです。
その定義を見ていきましょう。
社員の企業に対する関与の度合いと仕事に対する感情的なつながり(ギャラップ社)
社員が組織とその目標に対して抱いている感情的なコミットメント(ウイリス・タワーズワトソン社)
モチベーションを、従業員と組織の結びつきという関係に落とし込み可視化された具体的な指標がエンゲージメントと言えます。
ここからは、そのエンゲージメントをより強固なものとするための施策リストをご紹介していきます。
社員のエンゲージメントを上げるための10の施策リスト
「働きやすい」と感じる環境は人によって異なっています。同じ環境でも同じような働きやすさを感じるとは限りません。まずは社員全体のエンゲージメントの状況を計測し、現在の状況を知ることから始めてみましょう。
Attunedのサーベイでは、社内のエンゲージメントレベルを可視化し、継続的に変化を確認できます。可視化されることで、チームで共有することもできるようになります。このようなサーベイなどを活用して現状を知ることでようやく、どこに生産性向上のヒントがあるのか、どのような改善策が打てるのかの議論を開始できるのです。
エンゲージメントに関する課題が見えてきたら、次は実際に改善の施策を行うフェイズです。社員エンゲージメントをいかにして高めるかを、具体的な施策とともに見ていきましょう。
1. 社員一人一人に合わせて環境を変化させる
エンゲージメントに大きく関わるのが、社員の「やる気・内発的動機(=モチベーター)」の充足度です。
注意すべきは、個々人のモチベーターは異なっている、という点です。組織レベルで大きな変化を取り入れるという発想だけで、全社員のエンゲージメントを一気に上げることは難しいでしょう。
例えば「チャレンジできる仕事」を重視する社員は、プロジェクト管理を強化するという方法で環境改善をしてもらった、と感じることは少ないかもしれません。そのような社員は、チームの中でも新規の業務を任せる、または新規事業チームに参加させるようなチャレンジングな業務を任せるほうがエンゲージメントは高くなると考えられます。
エンゲージメントの課題は個人ごとに異なるため、1to1マーケティングのように、一人ひとりに合ったアイデアを提供することで、やりがいを感じながら働ける社員を増やし、エンゲージメントを高めることにつなげられます。
2. 適切な1ON1ミーティングの実施
個々人のモチベーターを知れたら、適切な1on1ミーティングを実施します。
おすすめなのはAttuned式の1on1ミーティングです。
1on1とは本来、上司と部下とののギャップを知り、社員の成長を促し、エンゲージメントを高めるための時間です。ですが、実際には業務報告で終わってしまいがちなケースも多いでしょう。
そうならないよう、Attuned式では「やる気・内発的動機(=モチベーター)をもとに現状を振り返る」という方法を取ります。
自分の興味があることについて褒められたらやる気(内発的動機)が湧きますよね。つまり、言われたらモチベーションが上がることを上司に言ってもらえるので、部下のモチベーションの向上ができた、と好評です。
Attuned式1on1の様子を参考にしてください。
3. チーム文化に関する理解度を高める
リーダーであれば、自分のチームの文化についてどのようなものか、説明ができますか。また、そもそもどのような文化なのか把握できていますか。
こちらの図は、Attunedモチベーターサーベイを受験した社員の価値観をもとに企業文化(チーム文化)を可視化したカルチャーマップの例です。青色で示されている帯が組織におけるマジョリティーなカルチャーを、薄青の帯はマイナーなカルチャーをそれぞれ表しています。水色の点が部下のモチベーター、紫点がリーダーのモチベーターです。この図をもとにチームを理解していきましょう。
リーダーが、マジョリティを占めるカルチャーからかけ離れたところにいる場合、チームメンバーは自分とは違う価値観をもっている可能性が高いです。リーダー(自分)とチームメンバーが大切にしている価値観の違いを把握し、リーダーシップの取り方に留意するといいでしょう。
また、チームが新規事業開発部だとして、「創造性」のスコアが低かったとします。その場合、メンバーが創造性のある環境を提供できているかを確認する必要があります。メンバーが「創造性」に関するモチベーターが低い場合は、創造性が満たされているため低いスコアが出てしまっている場合も考えられるので、追加で工夫が必要なのかすでに満たされているのか見極める必要があります。
あるいは、「自律性」が低かったとしたら、チーム文化・企業文化として自走しにくい可能性があります。そうであるなら、強いリーダーシップを働かせる、または自律性を育む研修を提供することで文化的な弱点を克服できるでしょう。
4. 上司と部下のコミュニケーションを改善する
部下のキャリアや評価に関する面談がわずか年に1-2回しかなく、しかも実務内容に関する話や査定の話だけ、という会社もあると聞きます。
業績が好調ならば問題ないかもしれませんが、もし当人の成果が落ち込んだり、人員が欠けたりした場合は、どうやって問題を把握し解決すれば良いのでしょうか。
そうならないよう、平時から相談を受けられる体制を整えておくことをおすすめします。たとえば、2週に一度は30分以上の時間を取って、上司と部下の1on1ミーティングを半年分あらかじめセットしてしまう、部下の成長にフォーカスしたコミュニケーションを行なうのも良いでしょう。事実、競争が激しいと言われる外資系企業では、何も社員に素手で戦わせているわけではなく、このような1on1ミーティングを会社文化として定着させています。
業務の問題を相談できる環境は「働きやすさ」という意味でもエンゲージメント向上に寄与する可能性があります。加えて社員と会社側(部下と上司)が真剣にコミュニケーションをとり、共にキャリアを形成していく姿勢はエンゲージメントの形成に欠かせません。
5. 社員同士のヨコのつながりを増やしていく
“従業員同士が親睦を深め”ることは、エンゲージメント向上に良い影響を与えるとされています。
(引用:あしたの人事 従業員エンゲージメントを上げるための5つの方法 3.社内コミュニケーションの活性化 )
特に「社交性」を重視する社員が多い職場では、従業員同士のヨコのつながりをもつことは重要です。テレワークやリモートワークが増えているとしたら、そのような社員はリアルでのつながりが少なくなっていることを残念に思っているかもしれません。
オンライン社員総会を行なう、「同じ職種同士」「同じ趣味同士」など有志で集まったオンライン懇親会グループを作る、オンライン交流へ補助金を提供するなど、工夫をしながらメンバー同士で交流できる機会や、顔が見えるミーティングを増やしていきましょう。
6. ハレの場(表彰制度など)を増やしていく
「ステータス」を重要視している社員は、役職名や賞賛される機会を重視します。また、「競争性」が高い社員は結果がはっきりと伝えられる環境を好みます。「利他性」を重視する社員も、自分の行ないがどれだけメンバーを助けているかに興味があります。
表彰制度を設け、営業成績に優れたMVPだけでなく、様々な切り口から社員にスポットライトを当てるような、ハレの場を用意してみましょう。
近年のスタートアップでは、成果だけでなく、企業文化を体現した行動をとった社員を表彰し、ロールモデルを示すことによる会社文化の強化によるエンゲージメント施策も見られます。
たとえばメルカリでは、自社が掲げるバリューを体現する人物には、各バリューの名を冠したGo Bold賞、All for One賞、Be Professional賞といった賞を贈り、表彰を行なっています。
7. 社会から承認された企業であることを理解してもらう
「利他性」がより強い社員は、メンバーや会社への貢献だけでなく、社会全体への貢献も喜びに感じます。同時に「ステータス」を重視する社員も、誇りをもって働ける会社であるかは常に気にかけています。
たとえば、エンジャパンでは「en soku!(エンソク!)」というオウンドメディアを運営していますが、「自社の魅力に気づけない」という社内課題を解決し、社内のコミュニケーション活性化を目的に、社員に執筆をしてもらいながら運営しています。
自社が社会的意義の大きな業務を行なっていることや、社会から注目されていることを、可能であれば事例も交えて社内外に周知しましょう。
8. 社員が取材される機会を増やしていく
社内向け、外部向けの媒体で社員が取材される機会を増やすのもおすすめです。上で説明したことと近しい話ですが、「自社の魅力に気づけない」社員への発信としても効果的ですし、何より話をしている本人の会社理解も深まります。
会社のPR担当に相談する、または任命して売り込みの活動してもらいましょう。PR会社がやっているテクニックを一例に挙げると、外部メディアに対して、自社の強みとする適切なテーマを設定した上での寄稿を相談するということが効果的でしょう。
9. 社員のトレーニング機会を増やす
「成長」を重視する社員は、業務のなかで成長できる機会があればエンゲージメントが上がります。社員への業務・資格などのトレーニングの機会を増やすと効果的です。
また、社員のトレーニングは、仕事のやり方を確認してほしいと考えている「フィードバック」を望む社員も、モチベートすることができるでしょう。
10. 個人の性格・モチベーターにあわせた人事配置を行う
先に触れたカルチャーマップで、もしもチーム文化と大幅に異なるメンバーがいた場合、そのメンバーは今の業務内容が合っていないと感じている可能性があります。
そんなときは、本人へのヒアリング次第ですが、チーム内での業務内容の変更や配置転換も視野に入れて検討してみましょう。無事に配置転換が成功して価値観に合った働き方ができるようになれば、エンゲージメントの向上も期待できます。
エンゲージメントに関するサーベイも一度実行して終わりにするのではなく、継続的に変化を記録・確認し、一人一人に対する施策が適していたか振り返りを忘れずに行いましょう。
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