【第2回 前編】新しい形、予約型ショップ
【あらすじ】
日本にインドの刺繍ブランドがあるのを知っていますか?
その名はitobanashi。
itobanashiの服やストールには、
インドの伝統的な刺繍がたっぷりと施されています。
その魅力を知ってほしいという想いから、
itobanashiのお話を3回に分けてお届けします。
第2回は、奈良県五條市と広島県東広島市志和町にあるお店について。
どちらも改修した古民家の一室を利用し、
「予約型ショップ」という少し変わった営業形態をとっています。
お買い物に行くまでの仕組みや「予約型」という形態ができた経緯を前編、広島と奈良、2箇所のお店空間が出来上がるまでの作業を後編とし、あますところなくお届けいたします。
伊達文香さん
●株式会社イトバナシ 代表兼デザイナー
●広島大学大学院教育学研究科修了
●大学院時代にインドへ留学し、現地でファッションショーを開催。
ビジネスコンテストでの優勝を経て起業。
まずは前編からどうぞ。
—この広島にあるお店と奈良にあるお店についてお聞きします。「予約型ショップ」というところが気になったのですが、これはどういった仕組みになるのでしょうか。
なかなか見かけない形態のショップですよね。
仕組みとしては、毎週1回メルマガやLINEグループ、SNSを通してその週ごとの予約ができる日をお伝えします。これまでお買い物をしていただいたお客様はもちろん、SNSを見てくださっているお客様でも興味のある方には情報が届く形にしたいなと。そして、予約をしていただいたらその日にお店を開けるという形を取っています。さらに今日のようにご予約が入って開けている日は、ご予約の方以外のお客様たちは予約不要で来店いただけるようになります。
—なるほど。確かに普通のお店とは違ってちょっと変わった営業スタイルですね。予約が入るとその日は1日開いていて、「開けているから誰でも来ていいよ!」という感じですね。
そうそう!そういうことです。
基本的には私がいる場所で開けることになるので、「今月(9月は)広島のオープンデイが多いけど来月(10月)は奈良が多い」といったようにオープンさせる地域に偏りが出てしまうことはあります。
いつ予約できるのか、お店が開いているかを確認しやすくするために、itobanashiのホームページにカレンダー機能をつけました。それから、公式LINEグループを作って毎週月曜にお知らせが流れるようにしました。お店の情報に関するお知らせはメルマガでもお届けしています。
お知らせ方法のメインはホームページ、LINE、メルマガの3つですね。
—なるほど!毎日開けているわけじゃなく、予約できる日をあらかじめ伝えておいて、お店に来たいお客様と日程をすり合わせるという形なんですね。
そうです。来店前からイトバナシとのコミュニケーションを楽しんでもらう機会になればいいなと思っています。あと、月に1,2回はこちらから「オープンデイ」を設定してイベント的に開催していく予定です。そのイベントとしての「オープンデイ」をオンラインコンテンツにもしようと思っています。店舗のみだとどうしても遠方の方は来づらいかと思います。そんな方ともオンラインを活用して繋がることができればいいなと思い、お店を開けておきながら同時にその様子をインスタライブで配信することも試みています。オフラインで来てくださるお客様もいれば、オンラインで見ていただけるお客様もいる状態にしたいと思っています。
—それは面白いです!めっちゃいい!
志和も五條もどちらかというとかなり田舎な印象を受けるのですが、その2箇所にお店を持とうと思ったきっかけはなんですか。
ものづくりをしているとそれを置く場所、届ける場所がほしいというのは自然発生的に思うんですが、「じゃあどこでやろうかな?」と思った時に「まずは東京かな?やっぱり人が集まるところじゃない?」というのはずっと思っていました。
百貨店に出店する中で、本当にたくさんのことを学ばせていただいて、やっぱり都市に集まるものや人の力はすごいなと感じています。ただ、「本当にここなのかな?」と思う瞬間はありました。誰がどこで作ったのか、なぜこういう素材で、このデザインで、この売り方なのかというストーリーをより効果的にお伝えできる方法があるかもしれないと感じていました。
作っているのも人間で買いに来る方もみなさん人間で、もっと有機的なつながりができるとすればどんな方法だろうって悩んでいたんですね。そんな気持ちの時にコロナの波が来て、百貨店さんが休業になりました。
だから、「有機的な関わりをお客さんとやりたいなぁ」という思いはずっと根底にあって、今回のコロナで自分たちの意思決定ができないと感じた時に、その”有機的なつながりができる場所”を自分たちで作っちゃおうというのは強く思いました。で、「それって東京じゃないよね。やっぱり自分たちが今まで縁とゆかりがあって大事にしている場所がいいんじゃない?」という思いが出てきたんです。
広島は私が大学生・大学院生として過ごした場所で馴染みがありますし、副代表の杉川さんも住んでいる場所なので。ほたる荘にある蔵の2階にしたのは、 屋根裏のスペースが空に近くて素敵で、活用できればいいなと感じたからです。
五條は私の生まれ育った町であり、すでに改修した古民家の一室を借りてイトバナシの事務所を構えていました。せっかくある空間だから、ショップ空間として活用しようとなりました。
―それで広島の志和と奈良の五條にお店があるんですね。
古民家を活用したからこその良さはありましたか。
そうですね…たまたまではありますが、どちらもお店を作る前から活用されていた場なので地域の方達にも認知されて受け入れられていたところですね。そんな土壌があるおかげで私としてもイトバナシとしても理想としていた”有機的なつながり”が実現できていると思います。
ー偶然にしてもいい状況が重なったんですね。それぞれの古民家とイトバナシの出会いもまた"有機的なつながり"のように感じられて素敵です。
お客様がお店でお買い物をする中で嬉しい瞬間はありますか。
嬉しいと感じるのは、お買い物に来ていただいて、お茶を飲みながら「この空間落ち着くよね〜」と言っていただいた時ですね。それで何時間もおしゃべりしたり、試着をたくさんしていただいたりして、「あー楽しかった!」って購入した洋服の入った袋を抱きしめて帰られる姿をお見送りする瞬間が一番好きです。
ーそれはとっても素敵ですね。お買い物の時間を楽しんでもらえたらこちらまで嬉しくなりますよね。
次はそんな素敵なお店空間がどのようにできあがったのかについて詳しくお聞きしたいと思います。
(後編へつづく)
(写真撮影:廣瀬佑太)
お読みいただきありがとうございました。
前編では、広島と奈良にある予約型ショップとその来店方法についてご紹介しました。
後編では、それぞれのショップ空間ができるまでのドキュメンタリーをお届けします。
>【第2回 後編】あるものをより良く活かして
<五條ショップ写真>
(写真撮影:松山晴香)
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イトバナシのお店情報
イトバナシ奈良五條・イトバナシ広島志和はご予約でのご来店が可能です。 オープンデイや予約可能日はこちらのカレンダーからご確認いただけます。
ご予約ご希望の方は、イトバナシの公式LINEグループよりご連絡ください。
▼イトバナシ奈良五條 / 刺繍と暮らしの研究所
〒637-0041奈良県五條市本町2丁目5-19 みよし邸 1階
*お車でお越しの場合
お隣のレストラン、源兵衛さんの駐車場にご駐車下さい。
*公共交通機関でお越しの場合
JR五条駅から徒歩15分。
▼イトバナシ広島志和 アトリエ
〒739-0269
広島県東広島市志和堀469ほたる荘 蔵2階
*お車でお越しの場合
裏庭の駐車場に5台駐車可能。満車の場合はお声がけください。