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『天使の翼』第12章(59)~吟遊詩人デイテのネバーエンディング・アドベンチャー~

 『わたしが、人間の名前を持つことになるなんてね……』
 その後、彼女……エリザは、恋の舞について――生物学的に言えば、ディスプレイってことなんだろうけど、既に、わたしの心の中でマウンテン・デビルは動物じゃなかった――、それが、とても危険な飛行であること、危険であれば危険であるほど愛情の強さを表していることなどを、具体的に身振りを交えて語ってくれた。本来グライダーとして飛び続けなくてはならないものを、故意に失速させたりするらしい……聞いてるだけで足がすくむ……
 何となくわたし達の間に沈黙の帳が下りた。
 それを待っていたように、エリザに同行していた8匹のデビルが、次々と、岩棚を飛び下りていった。崖っぷちの向こうに見えなくなった彼らは、心配になるほど時間がたった頃、次々と上昇気流を捉えてわたしの視界に飛び込んできた。岩棚から100標準メートルほど離れた遮るもののない空間を大空へと駆け登っていく。

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