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『天使の翼』第11章(94)~吟遊詩人デイテのネバーエンディング・アドベンチャー~
「アンコーナに戻れるなら、それはそれで……」
わたしの台詞は、思案顔のシャルルを見ているうちに萎んでしまった。
その時シャルルが何を考えていたにせよ、わたしの思いは、再びあの指揮官の登場によって破られた。
「マイヤー博士、そして吟遊詩人のお二人は、私が、責任をもってハイ・アンコーナまでお届けいたします!」
どうやら指揮官は、わたし達との会話をよく覚えていなかったか、山岳地帯に行く上でのケインの持つ意味合いを全く軽く見ていたようだ。そして、これは偶然だが、彼らの捜査はまだ続きがあって、ハイ・アンコーナ方面に向かう必要があったのだ……