『天使の翼』第10章(83)~吟遊詩人デイテのネバーエンディング・アドベンチャー~
引き裂かれた心は、はたして、立派な別荘と水棲動物のコレクションだけで癒すことができるだろうか……
「この星の住民も、長官が閣下だったからこそ、おとなしく統治されているのですよ」
ハーゲン博士が喋ると、いい内容も世辞にしか聞こえないのが残念だ。
この星のバランス・オブ・パワーは、一触即発の危険な状況にあることは間違いないが、わたしは、フランク長官はどうにかこうにか持ちこたえている、と思った。軍隊や警察の力を借りて力ずくの行政を断行しているようではないし、あれだけの悪法を施行してなお何とか治安を保っていられるというのは――今日の出来事はさておき――、並大抵の政治センスの持ち主にできることではない……
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